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掲載日:2024年12月11日
Q 山本正乃 議員(立憲・国民・無所属)
現在、国内経済はいわゆるアベノミクスにより順調に回復していると言われていますが、その果実は平等に分配されておらず、一部の富裕層を除き消費は冷え込んでいます。また、非正規雇用者の増加などで格差が拡大した結果、かつて「一億総中流」と言われた社会構造は過去のものとなり、子供の相対的貧困率も極めて高い状況です。そして、民間の調査によれば、シニア世代の9割が老後に不安を持ち、また、若い世代も結婚、子育てに希望を見出せず、将来に不安を抱えています。
こうした状況において、本県では上田知事の下、旧来の価値観を打破し、県民に夢を与え、新たな未来を創造する取組に積極的に挑戦しており、高く評価しています。
例えば、高齢者が健康でいつまでも活躍できるようにするためのシニアの活躍推進や健康長寿プロジェクトは、高齢者の不安を解消するだけでなく、齢を重ねるということを前向きに捉えた取組です。また、少子化に歯止めをかけるための「ウェルカムベイビープロジェクト」や、貧困の連鎖を断ち切るための「アスポート事業」、県内中小企業の技術と研究機関の先進的な研究結果を融合させイノベーションを起こすための「先端産業創造プロジェクト」なども、正に新たな未来を創造する取組です。人口減少や急速な高齢化などに対処し、将来の不安を取り除き、持続可能な成長と発展ができる社会を創造することは、私たちの目指すところです。
そこで、知事にお伺いいたします。1、新たな時代の課題への挑戦、2、希望・活躍・うるおいの埼玉の更なる推進、3、「賢く」「省く」事業の重点化と財政健全性の堅持の三つを基本方針として掲げられた基本的な考え方について、知事の御見解をお伺いいたします。
A 上田清司 知事
間もなく「平成」という時代が幕を閉じようとしております。
この時代が幕を開けた30年前、日経平均株価が最高値を記録し、世界企業の時価総額ランキングでは日本企業が上位を独占しておりました。
しかし、バブル景気が崩壊し、負の遺産処理に「失われた20年」と呼ばれる長い時間を要した結果、産業構造の転換を果たした各国の後塵を拝し、その状況は現在も打破しておりません。
この間、戦後一貫して増え続けてきた人口が減少し始め合計特殊出生率も1.5を下回る水準が続く一方で、高齢化率は異次元の伸びを見せ、この30年で倍以上となる30%近くまで上昇しております。
こうした困難な時代の潮流の中、本県では新たな未来を切り開こうと、地方自治体の枠にとらわれず、他団体や国のモデルとなる数多くのプロジェクトに取り組んでまいりました。
今後も積極果敢に挑戦を続けることで、持続可能で活力あふれる本県の新しい時代を築いていきたいと考えております。
そこで、平成31年度予算編成に当たり三つの基本方針を掲げております。
まず第1に、「新たな時代の課題への挑戦」です。
持続可能で活力あふれる本県の新時代を築くために、将来を見据え早めに対応すべき課題に着実に取り組んでいくことであります。
例えば、今後、少子高齢化による生産年齢人口の減少が更に進み、人口構造の変化が見込まれます。
2040年頃には高齢化率が高い水準で安定するとの見込みもあり、経済成長の減退や社会の活力低下が懸念されます。
そのため、平成30年度から開始したAIやIoTなど新たな技術を活用した「スマート社会」や「スマート県庁」を実現する取組を更に加速させ、生産性の向上を図ってまいります。
また、高齢化が進んだ社会では高齢者の活力がますます不可欠なものとなります。
そのため、これまで進めてきたシニアの活躍拡大や健康長寿などの取組を更にバージョンアップしていく必要があります。
誰もが希望に応じあらゆる場面で活躍することができる「人生100年時代」を他の自治体に先駆けて実現できるようにと思っております。
さらに、平成27年に国連で採択されたSDGsにもあるように「持続可能」という言葉が、現代社会において最も大切なキーワードの一つになっております。
例えば、本県が先駆けて行い、全国に広がりを見せた生活保護世帯の子供たちへの学習支援は、SDGsに最初に掲げられた「貧困をなくす」という目標に資するものではないかと思っております。
このような取組に加え、「子ども食堂」への支援なども充実させ、子供の居場所づくりという持続可能な社会を構築する上で欠かせない取組を更に進めてまいります。
改めて「持続可能」という視点を再確認し、豊かな未来を切り開いていかなければと考えております。
第2に、5か年計画に基づく「『希望・活躍・うるおいの埼玉』の更なる推進」であります。
これまで様々な施策に取り組み、特に「新たな産業の育成と企業誘致の推進」や「医師・看護師確保対策の推進」は目標達成に向けて順調に推移しております。
一方で、「児童虐待防止・児童養護対策の充実」など進捗が遅れている施策もあります。
そのため、計画期間の折り返し地点となる平成31年度は11の宣言をはじめとする各分野56の施策に係る取組を更に推進していかなければなりません。
そして、「希望と安心」「活躍と成長」「うるおいと誇り」のある埼玉の実現を確かなものにしてまいりたいと思います。
第3に、「『賢く』『省く』事業の重点化と財政健全性の堅持」でございます。
積極果敢に新たな課題に挑戦していくには、無駄を「省く」ことで真に県が行うべき事業に財源を集中させ、十分な効果を「賢く」生み出す必要がございます。
各役所に「省」という文字が充てられているのは古の賢人が行政は肥大化していくことを知っており、その戒めとして「省く」という文字を充てたのだと解釈しております。
そこで、全ての歳出を総点検し、必要性・緊急性の低い事業は思い切って「省く」ことで財源を生み出し、本当に必要な事業に重点化を図ります。
例えば、今年度から総務事務システムなどのヘルプデスクに職員の質問に対応できるAIを導入いたしました。
質問への対応に要する時間を「省く」ことでコスト削減につなげ、財源の重点化を図ることができます。
単一的・画一的な削減ではなく、「賢く」無駄を「省く」ことでメリハリのある予算として、財政の健全性を堅持してまいります。
以上の3点の基本方針に基づき、予算編成を進めていきたいと考えております。
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