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掲載日:2021年12月14日

平成30年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(並木正年議員)

気候変動適応法への対応について

Q   並木正年   議員(県民

世界では、今世紀に入り、異常気象による局地的な豪雨、干ばつ、寒波などが発生しています。米国でも先月、大規模な山林火災から100名近くの犠牲者と200名以上の安否不明者が出ています。国内でも、平成30年7月豪雨をはじめとする豪雨災害が頻発している上、今年の夏は、暑さも「災害級」と表現されました。東日本における今年7月の平均気温は、気象庁が統計を始めた1946年以来過去最高、中でも7月23日には、熊谷市で国内観測史上最高となる41.1度を記録するなど、平均気温の上昇と異常気象はしばらく続くと予測されています。
今年の消防防災課の発表では、7月と8月の2か月間で5,300人以上が救急搬送されました。県内でも、高齢者、乳幼児を中心として熱中症の疑いによる搬送が急増していたことから、私たちの会派では、いち早く暑さ対策の要望を知事に行っています。
世界気象機関(WMO)の発表では、代表的な温室効果ガスである二酸化炭素の世界平均濃度が、2016年に続き昨年も過去最高記録を更新したことから、温室効果ガスを急いで減らさなければ、地球上の生命に対して気候変動が及ぼす破壊的かつ不可逆的な影響が増すことになると警告されています。
このような中、本年6月に気候変動適応法が公布され、12月1日に施行されたことから、本県の環境科学国際センターの役割が大いに期待されます。環境科学国際センターは、ドローンを活用した光化学スモッグの発生や解消のメカニズムの解明、国立研究開発法人海洋研究開発機構との共同で、スパコンを用いた暑熱環境シミュレーションによる熊谷スポーツ文化公園のヒートアイランド対策の提案などに取り組んでいます。
そこで質問ですが、先日、県では環境科学国際センターに地域気候変動適応センターを設置しましたが、適応センターとして今後どのような取組をするのか、環境部長に伺います。
次に、気候変動適応計画について伺います。
気候変動適応法では、自治体に対して、地域の状況に応じた地域適応計画の策定が努力義務とされています。県では地域適応計画は策定済みですが、法の施行に伴い見直しする考えはあるのか、環境部長に伺います。
また、法律では、市町村に対しても都道府県と同様に地域適応計画の策定や情報収集などを行う拠点機能を担う地域気候変動適応センターの確保を求めています。こうした市町村に対しては、県として地域適応計画の策定の支援を行う必要があると思いますが、環境部長の見解を伺います。

A   加藤和男   環境部長

まず、「環境科学国際センターは地域気候変動適応センターとして今後どのような取組をするのか」についてでございます。
近年、気温の上昇、大雨の頻度の増加、農作物の品質低下、熱中症リスクの増加など、極端な気候変動及びその影響が本県でも顕在化しておりこのようなリスクは更に高まることが予想されます。
環境科学国際センターでは、国連の気候変動に関する専門機関であるIPCCが示した気候変動シナリオを基に、本県の2100年までの気温上昇予測を行うなど適応に関する研究を着実に行ってまいりました。
このようなことから法の施行日である12月1日に、全国に先駆けて環境科学国際センターに「地域気候変動適応センター」を設置したところでございます。
県内には中山間地域や平野部など様々な地域があり、熱中症、土砂災害、洪水など、地域に応じて気候変動リスクが異なります。
気候変動への適応では、人の生命・財産や企業の事業活動に対するリスクの回避が重要ですが、一方で新たな農作物の収穫が期待できるなど、ビジネスチャンスにもなり得ます。
地域の特徴に応じた適応を進めていく上で、気候変動に関するデータや影響予測などの科学的な情報は何より重要です。
環境科学国際センターでは国立環境研究所などと連携し、国の研究プロジェクトから得られた最新の気候変動や影響予測などを基に、県内各地の詳細な情報を収集・分析し、分かりやすく公表してまいります。
次に、「法の施行に伴い地域適応計画を見直しする考えはあるのか」についてでございます。
本県では平成27年11月策定の国の適応計画を受け、平成28年3月に地域適応計画を策定いたしました。
策定から3年近くが経過し、今年の夏の猛暑により熱中症搬送者数が急増するなど、策定時の想定を超えた気候変動の影響が出てきております。
また、国では適応法の施行に伴い本年11月27日に新たな適応計画を閣議決定したところでございます。
こうしたことを踏まえ、環境科学国際センターの知見を生かし、地域適応計画の必要な見直しを行ってまいりたいと考えております。
最後に、「市町村に対して、県として地域適応計画の策定の支援などを行う必要があると思うがどうか」についてでございます。
適応法では、市町村に対しても地域適応計画の策定や地域気候変動適応センターの設置を求めております。
しかしながら、県内のほとんどの市町村は温暖化対策を専門的に担う体制を持っておりません。
まずは、適応法への理解を深め地域に応じた適応策を推進できるよう、市町村を対象に説明会を開催してまいります。
その上で、市町村が地域適応計画を策定する又は県の環境科学国際センターを各市町村が地域気候変動適応センターとして位置付けるなどのニーズがある場合には丁寧に対応してまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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