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掲載日:2021年12月14日

平成30年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(並木正年議員)

アルコール依存症対策について

Q   並木正年   議員(県民

厚生労働省によると、依存症とは、特定の何かに心を奪われ、やめたくてもやめられない状態になることを指します。依存症は大きく2種類に分けられ、1つは、特定の行為や過程に必要以上に熱中し、のめり込んでしまうプロセスへの依存。もう1つは、アルコールや薬物など依存性のある物質の摂取を繰り返すことによって、以前と同じ量や回数では満足できず、次第に量や回数が増えていく物質への依存です。中でも、日常親しまれているお酒は、本人の体質により肝臓障害や脳卒中、がんなどとの関連が指摘されており、さらには飲酒運転、DV、家庭問題、自殺など、多くの社会的な問題にも影響を及ぼしていることが分かっています。
最近では、航空会社のパイロットからもアルコールが検出され、飛行機の出発が遅れたという報道もありました。また、アルコールに起因する病気も問題視されており、アルコール関連医療費が1兆円を超えているとの報告もあります。
しかし、アルコール依存症は「否認の病」と言われるなど、本人は依存症であることの自覚がない、また、薄々気付きながらも放置しているなど、治療に至ることが難しい疾病だと言えます。相談にちゅうちょし、又は病気と気付かずに医療機関を受診していない隠れ依存症者は、全国で100万人以上と報告されています。
この隠れ依存症者を早期発見するためのスクリーニングテストとして、WHOの研究から作成されたAUDITが日本を含めた世界で多く使われています。AUDITは、約30年前の1990年初めに作成されたこともあり、純アルコール換算を、ビール中瓶は20グラム、日本酒1合は22グラムで表現するなど、近年、早く安く酔えるとして人気の出ているアルコール度数の高いビールや缶酎ハイなどには表現が合っていないと感じます。
そこで、アルコール依存症かもしれないと不安に思う本人や御家族が保健所や医療機関に相談する前に、自らの飲酒習慣を見直すきっかけになり、早期の相談、受診につながるものとして、県独自の分かりやすいアルコールスクリーニングテストなどを導入できないか、保健医療部長に伺います。
次に、アルコール度数の表示についてです。
日本洋酒酒造組合では、お酒をジュースや清涼飲料などと誤って飲んでしまうことがないように、アルコール分が10%に満たない低アルコールのリキュール、いわゆる缶酎ハイなどを対象に、「お酒」というマークを容器に表示する自主基準を設けています。また、酒類の表示義務と表示基準では、表示義務事項の字体は楷書体とゴシック体、容量やアルコール分など数字はアラビア数字を用いるなど、細かく定められています。
しかし、缶製品には、アルコール度数のほかに、栄養成分としてエネルギーや脂質、糖質などが表示されていますが、1缶当たりの純アルコール換算の量が表示されていません。自分が飲んだお酒のアルコール量が分かれば、飲酒量を制限することもできるのではないかと思います。そこで、簡単にお酒に含まれるアルコール量が分かるような方法を周知できないか、保健医療部長の見解を伺います。
次に、健康日本21への取組についてです。
厚生労働省が進める健康日本21は、健康寿命の延伸と生活の質の向上を目指した国民運動で、2013年度からの第2次の方針では、1つ目として生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合の減少、2つ目として未成年の飲酒ゼロ、3つ目として妊娠中の飲酒ゼロといった3つの目標を設定しています。そこで、本県では、目標達成に向けた取組をどのように進めていくのか、保健医療部長の見解を伺います。

A   本多麻夫   保健医療部長

まず、「独自の分かりやすいアルコールスクリーニングテストなどを導入できないか」についてでございます。
議員お話のとおり、アルコール依存症かもしれないと不安に思う御本人や御家族が使いやすいスクリーニングテストを普及し、自己チェックなどに関心を持っていただくことは意義のあることであると考えております。
「AUDIT」は、WHOが推奨するスクリーニングテストですが、アルコールの摂取量を自分で計算しなければならないなど、使いにくい面がございます。
アルコール量を計算しなくても、アルコール依存症の心配があるかどうかを自分で簡単にチェックできるスクリーニングテストとして、国立病院機構久里浜医療センターで作られたKAST(カスト)というものがございます。
県では、保健所の相談窓口において、このカストをアルコール依存症を心配して御本人や御家族などが来所された際に活用しております。
今後は、県のホームページにカストなど簡単に自分でチェックできるスクリーニングテストを掲載し、一般の方々が利用しやいすように工夫することで、早期に気づいてアルコール依存症の相談や受診につながるよう努めてまいります。
次に、簡単にお酒に含まれるアルコール量が分かるような方法を周知できないかについてです。
1日当たり純アルコール量として男性40g以上、女性20g以上摂取すると生活習慣病のリスクが高まると言われています。
生活習慣病のリスクを高める飲酒量や自分自身が実際に、どれだけの量を飲酒しているのか知っていただくことは、アルコール依存症や生活習慣病の予防を進めていく上で大事なことであると考えています。
現状では、アルコール飲料の容器に表示されているアルコール度数やミリリットル単位の容量をもとに、自分で計算してみないと摂取したアルコール量が分からない状況となっております。
このため、県としては、専門家や民間支援団体等との協議の場において関係者の御意見をよく伺い、アルコール摂取量のわかりやすい周知方法や、表示のあり方について検討してまいります。
次に、健康日本21の目標達成に向けた取組をどう進めていくのかについてお答えを申し上げます。
本県では、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している方の割合が、平成28年現在、男性12.8%、女性9.9%となっており、男性はすでに国の目標を達成していますが、女性については、まだ、目標達成には至っていない状況です。
生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している方の割合、特に女性の割合を減少させるためには、県民一人一人がアルコール健康障害について正しい知識を知っていただけるよう地道に普及啓発を続けていく必要がございます。
県が、この11月に国、さいたま市と共催で開催しましたアルコール関連問題啓発フォーラムでは、この問題に造詣の深い本県出身の漫画家、菊池真理子さんに、女性の目線から飲酒問題についてお話をいただきました。
また、健康長寿サポーターの養成講習では、講習のテキストに健康にアルコールと付き合う方法や休肝日などの内容を盛り込み、サポーターが自ら気をつけながら、アルコールに関する健康知識を家族や友人など周りの人にも広めていただけるよう努めています。
健康長寿サポーターの数は、8万人まで増えてきましたが、アルコールの健康問題も含め、こうした輪が更に広がっていくよう普及啓発に努めてまいります。
妊婦につきましては、飲酒の危険性について記載された母子健康手帳や副読本を保健センターなどで交付し、周知に努めているところです。
妊婦の飲酒の危険性に特化した啓発リーフレットを作成、配布するなど、引き続き更なる周知に努めてまいります。
未成年につきましては、教育局や県民生活部などと連携しながら、様々な機会をとらえ、飲酒ゼロに向け、取り組んでまいります。
今後とも、こうした取組を通じ、市町村や関係機関、民間団体等と十分に連携を図りながら、3つの目標が達成できるよう努めてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

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