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掲載日:2024年12月11日
Q 蒲生徳明 議員(公明)
災害から県民の命を守るためには災害時の情報発信が非常に重要です。しかし、報道によると、224名の方が亡くなった平成30年7月豪雨で、最も被害の大きかった広島県では217万人に避難指示や勧告が出されていたにも関わらず、実際に避難したのは僅か0.3%の6,000人余りにとどまったそうです。広島県では今回の災害における県民の避難行動とその行動理由を調査し、より効果の高い被害防止策の構築に取り組んでいます。
災害時に人はなぜ逃げ遅れるのでしょうか。このことについて関西大学社会安全学部の元吉忠寛教授は、「常識的には情報を出せば人は逃げると考えがちだが、そうとは限らない。人は目の前の危機からは身を守るために逃げる選択をするが、警報など間接的な情報は必ずしも避難行動の動機付けにはならない。そして、人には一般的に都合の悪い情報を過少評価し、自分は大丈夫だと思い込む心理的特性、正常性バイアスと呼ばれるものがあり、これはむしろ人間として当然の反応であるということを私たち一人一人も、行政側も理解する必要がある」と話しています。
また、元吉氏は、「災害の危険性をできる限り正確に情報で伝える一方、情報だけでは人は逃げないことを前提に対策を講じていくことが重要で、普段から心掛けることは安全な場所への移動を習慣化することと、例えば行きたくなるような避難所にするために、快適な避難所にしていくことが求められる」と話しています。
避難所は、災害により被害を受けた、あるいは受けるおそれがある人たちが不安を抱え、逃げ込んでくる場所です。少しでも生活しやすい環境を確保するためには、空調設備の設置、安否確認や災害に関する情報収集を行うため、携帯電話、スマートフォンの充電も必要となります。首都直下型地震や大型台風などの災害時において長時間の停電が想定され、電源の確保も極めて重要です。
そこで、お聞きします。まず、災害情報を迅速かつ確実に県民に伝えるための情報発信の在り方と、そして空調設備、電源確保対策などが整った、行きたくてしようがない、行列のできる避難所の整備など逃げ遅れを防ぐための環境づくりについて、今年の災害も教訓にした今後の県の取組について、危機管理防災部長にお聞きします。
A 槍田義之 危機管理防災部長
まず、災害情報の発信のあり方についてです。
昨年度、市町村長を対象としたトップフォーラムでは兵庫県豊岡市の中貝宗治市長から、平成16年の大規模水害の際に自ら陣頭指揮にあたった経験を踏まえ、多くの示唆に富んだお話をいただきました。
その中で「災害に際し、人は逃げないものであるため、災害情報は緊迫感をもった言葉で語るなど、逃げる気にさせる技を持つことが重要。」と強く訴えられていました。
現在国では平成30年7月豪雨の教訓を踏まえ、避難行動に結びつく災害情報の発信手法などについて検討しています。
災害の切迫度を直感的に理解しやすくするため、レベル1からレベル5といった5段階の警戒レベルで防災情報を発する案などが示されています。
また7月豪雨では、防災行政無線の屋外スピーカーの音声が風雨で聞こえないという以前から指摘されていた課題も浮き彫りになりました。
こうした状況を踏まえ、災害情報が確実に伝達され、適切な避難行動に結びつく情報発信の手法について、市町村とともに検討してまいります。
次に避難所の環境整備についてです。
ご質問にございました避難所の電源対策についてですが、県内に市町村の指定避難所が約2,300か所ございます。
これに対し、市町村では発電機を約2,700台備蓄しています。
県でも5つの防災基地で発電機を152台備蓄し、市町村からの要請があり次第、速やかに提供する体制を整えています。
さらに、埼玉県冷凍空調工業会からは空調機器とともに移動式の非常用発電機を、また携帯電話会社からは発電機付き充電器などを避難所に配備していただくことになっています。
今年の一連の災害を受け、改めて関係団体や企業と災害時の連携体制について確認をしたところでございます。
県では、段ボールのベッドや間仕切りを提供する体制を整えるなど、大きな災害が発生するたびにその教訓を踏まえた取組を進めてまいりました。
7月豪雨の被災地・倉敷市真備町で避難所運営に携わった本県職員からの報告によりますと、コミュニケーションを図りやすくするため、避難者からの要望で避難スペースの間仕切りをあえて低くしたとのことでした。
被災者支援において、状況に応じた対応の必要性を改めて感じたとその職員は述べていました。
今後とも、災害からの学びを生かしながら、被災者の方々が安心して避難できるよう、市町村とも連携して避難所の環境整備に取り組んでまいります。
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