トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成30年6月定例会 > 平成30年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(諸井真英議員)
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掲載日:2023年5月2日
Q 諸井真英議員(自民)
私が今スタジアムについて最も危惧していることは、それは猛暑の中、サッカースタジアムにとって命と言えるグラウンドの芝がいい状態を保つことができるのかということであります。その理由は2つあります。
まず第一に、埼スタの芝は、寒冷地型の芝だということです。通常、日本のサッカー用グラウンドに使用する芝は、寒冷地型と暖地型、2種類に分類をされます。オリンピックでサッカーが行われるスタジアムで寒冷地型は札幌、仙台、埼玉の3会場、関東以南に位置するスタジアムでは、寒冷地型を使用しているのは埼スタだけであります。寒冷地型芝は、見た目は美しいんですけれども、高温多湿に弱いため、埼スタでは夏場は使用間隔を開けて芝生を休ませ、グラウンドの下に設置されている地温コントロールシステムを使って冷却をすることで、芝の状態を良好に保つ努力をしております。
しかし、オリンピック期間は7月末から8月初旬であり、連日35度以上、グラウンドレベルでは40度以上の猛暑が予想をされます。それに耐えられるのかということであります。
第2の理由は、私が関係者に聞いた限りでは、埼スタでは、男女合わせてオリンピックでは11試合と多くの試合が行われることが決まっているからであります。大会期間は2週間ですけれども、その間に11試合ということは、1日2試合の開催も含めて連日連戦となります。ただでさえ高温多湿という悪条件下で過酷な使用をすれば、大会途中で芝はぼろぼろになり、使用に耐えられず、世界中に醜態をさらすことになるのではないかと、大会組織委員会をはじめサッカー関係者は心配をしております。
また、オリンピックでのサッカー会場でJリーグのホームスタジアムとなっているのは、カシマ、東京、横浜、埼玉の四スタジアムでありますけれども、埼玉以外は寒冷地芝は採用しておらず、大会終了後は張り替えることによって迅速な対応が可能となりますけれども、埼玉だけは、さきに述べた理由で期間中に大きなダメージを受けた場合、寒冷地芝の特徴として、芝の養生、修復にはかなりの時間を要することになります。
しかし、大会期間前から埼スタをホームとする浦和レッズはアウエーゲームが続くこととなり、終了後は逆にホームゲームを多く行わなければならないことになります。つまり、このままの状態で大会に臨めば、高温多湿、過酷な使用で傷ついた芝生を回復させる十分な時間がないままに、今度はJリーグのホームゲームで過酷にまた使わなければならないということになります。
そこで、何点かお伺いをいたします。
1点目、今のままの寒冷地型の芝で真夏の過密日程のオリンピックを問題なく行えると考えているのか。
2点目、芝を張り替えることによるメリット、デメリットについて、現時点でどう考えているか。
3点目、グラウンドの芝生の張替えに伴う工期及び費用はどの程度かかるのか。また、張替えの費用については、大会組織委員会に負担を求めることはできないのか。
4点目、暖地型もしくは人工芝と天然芝を組み合わせたハイブリッド芝への張替えをすることで、サッカー以外の使用にも対応できるようになり、結果的に稼働日を増やすことにつながると考えますが、いかがでしょうか。
以上4点、都市整備部長にお伺いをいたします。
A 野川達哉 都市整備部長
今のままの寒冷地型の芝で真夏の過密日程のオリンピックを問題なく行えるのかについてでございます。
埼玉スタジアムは、寒冷地型芝を採用しておりますが、真夏の高温をカバーするため、地温コントロールシステムを用いることにより、これまで夏場の試合も大きな支障なく実施してまいりました。
お話のとおり、オリンピックでは、1日2試合や連日使用ということも想定されることから、地温コントロールシステムを使ったとしても、ピッチを適正な状況に保つことは、非常に厳しいと言わざるを得ません。
このため、現在でも損傷が出た場合、予備の芝で部分張替を行っておりますが、短期間に広い面積が張替できるよう、予備の芝の育成面積を拡大するなどの対応策について、指定管理者とともに検討しております。
次に、芝生を張り替えるメリット、デメリットについて、どう考えているのかについてでございます。
埼玉スタジアムは、2001年の開設以来、芝生の張り替えは実施しておりません。
そのため、芝生を張り替えるメリットといたしましては、芝生の下の土壌の入れ替えや地温コントロールシステムなどの機器類の改修により、施設面を含めたピッチのリニューアルが図れることなどでございます。
また、デメリットにつきましては、芝の張替えや養生に伴う期間中、グラウンドの使用ができないことなどが考えられます。
次に、グラウンドの芝の張替に伴う工期及び費用はどのくらいかかるのか。また、費用について大会組織委員会に負担を求めることはできないのかについてでございます。
芝生の張替えに要する期間は、張替え用の芝の育成に1年から1年半程度、芝生の張替えに養生期間を含めて半年程度、合わせて1年半から2年程度の工期が標準となっております。
芝生の張り替え費用につきましては、諸条件によって異なりますが、平成29年度カシマサッカースタジアムの芝生の張替えでは約2億円程度と伺っております。
また、大会組織委員会からは、期間前における芝生の張り替えに要する費用については、補償の対象外と伺っております。
次に、暖地型芝もしくは人工芝と天然芝を組み合わせたハイブリッド芝への張り替えをすることで、サッカー以外の使用にも対応でき、稼働日数を増やすことにつながると考えるがいかがかについてでございます。
ハイブリッド芝は、FIFAの規定によりますと天然芝と3%から5%程度の人工芝が混合しているものでございます。
まだ歴史が浅く国内での導入実績が少ないことから、サッカー以外の使用に対して明確な知見は出ておりませんが、全て天然芝の場合と比較しまして強度が高いといわれております。
国内では、ラグビーワールドカップで使用されるノエビアスタジアム神戸、日産スタジアムで導入されております。
また、暖地型芝につきましては、様々な所で採用されており、東京スタジアムなどコンサートを開催しているスタジアムもございます。
いずれも埼玉スタジアムにおいて、サッカー以外の使用に対応できる可能性がございますので、スタジアムの稼働日数を増やすという観点から、様々な事例について調査研究してまいります。
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