トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成30年6月定例会 > 平成30年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(柳下礼子議員)
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掲載日:2023年5月2日
Q 柳下礼子議員(共産党)
県は、今年4月に魅力ある県立高校づくり実施方策策定に向けて、再編整備の進め方として、2029年度までに10から13校程度の県立高校を統廃合する計画を公表しました。この進め方では、繰り返し、中学校卒業者数の減少が予測されることが強調され、学校統廃合が結論付けられています。魅力ある県立高校などの文言はありますが、私は、本計画は公立高校統廃合先にありきだと言わざるを得ません。
まず、本計画の県立学校をめぐる現状と課題の分析が一面的です。子供の貧困が社会的に論議されているように、子供のいる家庭の経済状況は深刻です。労働者の実質賃金は10年間で15万円下がり、非正規労働者が広がっています。ひとり親家庭が増大していますが、シングルマザーの平均年収は200万円程度です。私立学校父母負担軽減制度は、いまだ不十分で重い学費負担があります。このような中で、県立高校に行きたいという子供たちの願いは切実です。
そもそも県立高等学校は、憲法第26条の「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」、この保障こそが最大の役割と言えます。だからこそ革新県政時代、「15の春を泣かせない」というスローガンの下、多くの困難を乗り越えて県立高校を県内各地に造ってきたのです。県立高校の役割の議論に必要不可欠な子供たちの貧困状況、家計状況について、学校間、地域間及び定時制、全日制の経済格差について、進め方は一切触れておりません。これでは県立高校のあるべき姿など議論は不可能と考えますが、教育長の答弁を求めます。
また、進め方策定に当たり、実態把握のために学校や市町村教育委員会を訪問し、意見交換を行ったとの説明です。しかし、保護者、高校生、地域の人にはまだ十分聞いていないということでした。長い年月と時間をかけて策定していますが、一番声を聞くべきところを調査されていない。これでは地域の実情を反映した方針策定は不可能だと考えますが、教育長の答弁を求めます。
県教委は1999年のいきいきハイスクール構想に基づき、全日制高校19校、夜間定時制を14校減らしてきました。その際、地元首長をはじめ議会、保護者、OBほか地域住民の存続を求める多数の要望が寄せられたことを私は忘れません。私は、子供たちをめぐる経済状況の分析もない、地域、保護者、高校生のヒアリングもない、統廃合先にありきの再編整備の進め方を認めることはできません。
どの子も豊かな学力、人間性、社会性が身に付くように支えるのが本来の教育です。魅力ある学校づくりというなら、まず第1に、少人数学級で充実した学校生活を保障すること、第2に、修学旅行、部活などの重い負担をなくすための給付性奨学金創設などを先行して実施すべきです。教育長の答弁を求めます。
A 小松弥生 教育長
まず、「県立高校の役割の議論に、子どもたちの貧困状況などの現状は不可欠ではないか」についてでございます。
県立高校の再編整備は、生徒数の減少に対応し、適正な学校規模の維持と社会のニーズに応える特色化を図り、生徒にとってより良い学習環境を整備することを目的とするものでございます。
議員御指摘の経済的困窮などの課題を抱えながら、高校で学びたいという生徒の意欲に応え、学習機会を継続的に提供することは、再編整備にかかわらず県立高校の重要課題と認識しております。
そのため、県立高校の授業料は一定の所得要件はあるものの、実質的に無償化されるなど、家庭の経済状況などに十分配慮された支援となっております。
次に、「保護者、高校生、地域の人など一番声を聞くべきところを調査していないのではないか」についてでございます。
今年度、小中学校の各地区PTAの会議や、県内イベント会場におきまして、これから高校へ通うことになる小中学生の保護者や地域の方々に再編整備の進め方を御説明し、生の声を伺っております。
引き続き、地域や学校関係者の方々からも幅広く御意見を伺いながら、魅力ある県立高校づくりを進めてまいります。
次に、「魅力ある学校づくりには、まず少人数学級や給付制奨学金を実施すべき」についてでございます。
県立高校におきましては、学習内容の確実な定着を目指し、少人数指導、少人数学級編制や習熟度別授業を導入するなど、生徒の状況に応じてきめ細かく対応しております。
経済的に修学が困難な生徒に対しましては、修学旅行などの費用に充てるため、返還不要の「奨学のための給付金」が支給されており、さらに本県では、無利子で、希望者全員が利用可能な奨学金制度で支援をしております。
再編整備も含めた魅力ある高校づくりは、生徒数の減少に対応し、適正な学校規模の維持や、社会のニーズに応える特色化を進め、高校教育の充実を図るためのものですので、御理解を賜りたいと存じます。
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