トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成30年6月定例会 > 平成30年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(永瀬秀樹議員)
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掲載日:2023年5月2日
Q 永瀬秀樹議員(自民)
このほど、2019年10月から実施する幼児教育・保育無償化の全体像が政府から示されました。今回の幼保無償化は子育て世帯に対する大きな福音ですが、一方、このことにより現在は利用を諦めている人たちの潜在的なニーズが掘り起こされ、今後、保育需要が急増することも予想されます。そうした保育需要の急増に対応するには、保育施設の整備と保育士の確保というハードとソフトの両面からの整備が必要ですが、本県の平成29年11月時点での保育士の有効求人倍率は、平成28年11月の3.73倍を大きく上回る4.69倍、今年4月の保育士の全国平均の有効求人倍率2.3倍の実に倍以上であり、多くの保育施設が保育士確保に苦慮しており、保育士の処遇改善を進めて早急に人材不足を解消する必要があります。
県内でも、とりわけ都市部における保育士確保は困難な状況となっており、さらに加えて保育士給与における公定価格が地域区分の等級により近隣の自治体間でかい離が生じており、地域区分の等級が低い自治体の保育士確保に影響を与えています。実際に、川口市の保育士が東京都やさいたま市など地域区分の等級が高い自治体の保育所へ転職するケースもあり、深刻な課題であると言えます。
私は、現在国が定める公定価格の地域区分は地域の実情に合っていないのではないかと考えます。埼玉県は地域加算割合が3%から16%の区分に分かれており、私の地元川口市や戸田市など32の市町は6%加算の地域、鶴ヶ島市や新座市は10%、川口のお隣の蕨市やさいたま市は15%、東京23区は20%加算であります。
ちょっとこれ、パネルを御覧いただきたいと思うんですが、6%加算がこれだとしますと、基本は一緒ですから10%加算、それから15%加算、東京都が地域加算が20%なんで、東京と同じラインに示すと、例えば6%ですと2.8万円の差があります。10%だと2万円差がついてしまう。それから、15%で1万円差がつくというようなことになっているんですね。ちなみに、6%が川口、戸田、32市町、10%は鶴ヶ島、新座、さいたま市、蕨は15%です。こういう状況です。
初めからこのように差がある上に、さいたま市は市の単独補助で約1万円、東京都は単独補助で更に4万4,000円上乗せしておりますので、さいたま市とは2万8,000円、東京23区とは約7万2,000円の給与格差がついてしまう。公務員の地域手当に準拠して国が設定したというこの地域区分に対しては、県も国に対し設定の見直しなどを求めていますが、早急な改善を図ることが必要と考えます。
そこで質問ですが、まず国に対し、例えば地域加算割合を市町村の定める地域手当の範囲内で選択させるなど、より具体的に県内の市町村の実態とニーズを反映した地域区分のスキームとなるよう要望してはいかがでしょうか。また、地域区分の見直しには、それなりの時間がかかることに加え、既に東京都や千葉県においては保育士の賃金に上乗せをする新たな補助メニューを創設していることなど、様々な実情も鑑み、子ども・子育て支援新制度の地域区分格差の是正、均衡化も考慮し、県としても市町村に対する新たな独自の補助制度の創設など、何らかの支援を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
以上、2点について福祉部長の考えをお聞かせください。
A 知久清志 福祉部長
まず、国に対して、県内の市町村の実態とニーズを反映した地域区分のスキームとなるよう、要望してはいかがかについてでございます。
保育の公定価格の地域区分は、公務員に支給される地域手当の地域区分に準拠して国が設定することとされております。
同じ生活圏域であっても、地域区分が違うと保育所の運営費に差が生じる仕組みであるため、都県境にある保育施設を中心に影響が生じております。
県といたしましては、同じ生活圏域の自治体間で大きな差が生じない仕組みとするため、地域区分の設定に自治体の裁量を認めるよう、かねてから国に対して見直しを求めております。
例えば、本年6月には、知事と国会議員との連絡会議において、地域区分の見直しについて意見交換するとともに、内閣府や厚生労働省に対して具体的な提案も行っております。
こうした動きを受けてようやく国では、公定価格の設定などに関する調査研究を実施し、本年夏を目途に、公定価格に関する検討会を開催する予定であると伺っております。
今後、国の動向も踏まえつつ、地域区分に自治体の意見を反映される仕組みとなるよう、具体的な見直しに向けて引き続き国に対して強く要望してまいります。
次に、県として市町村に対する新たな独自の補助制度の創設など、何らかの支援を行うべきについてでございます。
保育士の処遇改善は、県内で働く保育士を確保するとともに、保育の仕事を長く続けていただくためにも重要です。
優れた人材を確保するためには、一時的な処遇改善ではなく、研修などを通じた人材の専門性を高め、その質の高い専門性にふさわしい処遇で報いることが必要と考えております。
昨年度国は、保育士の処遇を改善するため、保育士のキャリアアップを図るための研修制度を設け、中堅保育士の賃金に最大で月額4万円の増額をすることといたしました。
現在は経過措置として、研修受講の資格があれば、申請に基づき、最大4万円加算しております。
しかし、県におけるこの処遇改善の保育所からの申請率は約7割と低く、まずはこの制度を活用していただくよう市町村や県内保育施設に対して周知してまいります。
また、保育士の方が長く働き続けキャリアを形成できるよう、保育士の宿舎借上げにかかる家賃補助をして、市町村に対して上乗せ補助を行っております。
一方で、保育士養成施設によると、平成27年度から現在まで県内出身の卒業生の約8割は県内の保育所に就職しているとのことで、就職先を選ぶ上では給与が全てではないと考えております。
このため、今年度から県内全ての民間保育施設を対象に、人材確保や経営に関するアドバイザーを派遣し、保育士の処遇改善を含め働きやすい職場環境が図られるよう、保育所の運営を支援してまいります。
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