トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成29年9月定例会 > 平成29年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(清水義憲議員)
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掲載日:2023年9月20日
Q 清水義憲議員(自民)
来年度から国民健康保険の新制度では、県が市町村から納付金を集め、その集めた納付金と国・県の負担分を財源に、保険給付に必要とする金額を各市町村に全額交付する形になっていると伺っております。市町村は、県への納付金に必要な分を保険税で集めることになります。県は、新制度に向け納付金などの試算を行っているようですが、新制度になると保険税が上がるのではないかと国民健康保険加入者から心配の声も上がっております。
そこで、今回の制度改革によって各市町村の保険税はどうなるのか、保険税の影響についてお伺いします。
県は、市町村からの納付金を医療費の支払いに充てることになりますが、仮に医療費が予想以上に増加し、市町村からの納付金や公費だけでは賄い切れなくなった場合、その不足分は誰が補てんするのでしょうか。不足分を市町村から追加でいただくことになると、市町村に大きな負担をかけることになると思いますが、不足分の補てん方法についてお伺いします。
県が国保運営に加わることによって、県にも新たな事務が発生します。一方で、市町村はこれまでどおり、被保険者証の交付、保険税の賦課徴収、保険給付、健康を保つための保健事業などを行うことになり、事務が減るという話はございません。逆に納付金を県に納付するなど増える事務もあります。今回の制度は、3,400億円の公費の追加投入による財政基盤の強化とともに、運営を市町村単位から県単位とし、運営規模を大きくすることで国保の安定を図ろうとするものだと思います。とはいえ、被保険者目線から見れば窓口は今までどおり市町村であり、余り変わることはないのではないかと感じます。
そこで、今回の制度改革は県民にとってどのようなメリットがあるのか、県や市町村の事務を増やしての制度改正となりますので、県民の方が広域化されてよかったと思えるような運営をしていかなければならないと考えますが、今後、県はどのように取り組んでいくのでしょうか。以上、保健医療部長に伺います。
A 本多麻夫 保健医療部長
まず、今回の制度改革による各市町村の保険税への影響についてです。
県では納付金と標準保険税率について、これまで3回程試算を行ってまいりました。
平成29年3月に行った第2回試算では、その時点での見込数値で計算せざるを得なかったことや、新たな追加公費を反映できていなかったため、多くの市町村で保険税が上昇するという過大な結果となりました。
試算結果を見て保険税が上がるのではないかと不安に感じた方もいらっしゃったのではないかと思います。
一方、8月の試算では、平成29年度のより実態に近い数値を使うとともに、追加が見込まれる国からの公費をほぼ反映させて計算いたしました。
その結果、1人当たりの保険税必要額が上がる市町村も17ありましたが、46の市町村では下がり、県平均でも下がるということになりました。
最終的に保険税率を決定するのは市町村でございます。
被保険者一人一人の保険税への影響が最小限となるよう、市町村と調整を進めてまいります。
次に、納付金等に不足が生じた場合の補てん方法についてです。
医療費の急増などにより県の保険給付費に不足が生じた場合には、県に設置している国民健康保険財政安定化基金から県が貸し付けを受ける形で対応いたします。
したがって、県が市町村に、年度の途中で納付金の追加負担を求めることはありません。
なお、県が貸し付けを受けた分の返済に必要な経費は、3年間かけて広く全市町村から納付金に上乗せをした形で納めていただくことになります。
最後に、制度改革の県民にとってのメリットと県の取組についてです。
保険は、いざという時の「安心」のために、加入者同士で費用を負担し合う支え合いの仕組みです。
今回の制度改正の最も大きなメリットは運営の安定化と継続性の保障にあると考えております。
国民健康保険は半世紀以上にわたり市町村ごとに運営されてきましたが、被保険者に低所得者が多いこと、医療費のかかる高齢者層が多いことなどから、厳しい財政状況が続いています。
規模の小さい市町村においては、高度な医療を必要とする患者の発生などにより医療費が急増した場合、保険税の大幅な引き上げや財政運営そのものが困難となるといったリスクがございます。
自治体そのものの財政力にも差があるため、市町村が負担できる範囲にも違いが生じます。
今回の制度改革は、国民健康保険財政の破たんや国民皆保険制度の崩壊が懸念される中で、議論がスタートいたしました。
国と地方で議論を重ねた結果、持続可能な国民健康保険制度とするため、財政支援の拡充として全国で約3,400億円の公費が新たに投入されることとなりました。
この新たな公費負担により、市町村の財政負担が軽減され、被保険者の税負担の軽減やその伸びの抑制が図られます。
また、広域化により県全体で国民健康保険を支え合う仕組みができることで、財政基盤が強化され、県民が安心して医療を受け続けられるようになると考えております。
このほか、市町村間の違いが明らかとなり、運営の改善につながる議論がしやすい環境ともなります。
事業運営に当たってより効果的な手法が県内で共有されることによって、効率的な運営が可能となり、予防事業や医療費適正化の取組も含め、結果的に保険税負担の軽減に貢献する可能性も考えられます。
県といたしましては、こうしたメリットを十分に生かしながら、市町村と議論を重ね、より良い国保運営となるよう責任を持って取り組んでまいります。
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