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掲載日:2023年9月25日

平成29年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(新井   豪議員)

荒川水系の貯水容量と治水対策のビジョンについて

Q   新井   豪議員(自民

一昨年9月に発生した豪雨によって鬼怒川が決壊し、広範囲にわたる浸水によって、約6,500戸の家屋被害と死者や多数の孤立状態が発生する災害となりました。この結果に対して、仮堤防の設置やポンプ車による排水という応急処置によって被害の拡大が防止されましたが、最も効果的だったのは、ダムによる洪水の調節だったのであります。この鬼怒川上流には、川俣ダムをはじめ4つのダムがあり、合計で2億5,000万立方メートルの貯水容量がありますが、これらのダムによって約1億立方メートルという洪水調節が行われました。この調節によって、鬼怒川の決壊地点の水位を低下させ、あふれる水の量も氾濫面積も3分の2に抑制されたのであります。
近年は気候変動と言われ、時間雨量50ミリ以上の大雨の発生件数が30年前と比べて1.4倍増えており、気象庁によれば、21世紀末までにその数は2.7倍に増加すると予測されております。
皆さん御存じのとおり、埼玉県は県土に占める河川面積が3.9%で日本一となっており、特に大きな2つの川は、利根川と荒川であります。利根川上流には8つのダムがあり、その貯水容量は4億6,000万立方メートルに及び、鬼怒川上流の1.8倍の容量があります。しかし、荒川上流の4つのダムは全て埼玉県内にありますが、貯水容量はわずか1億4,000万立方メートルしかなく、鬼怒川上流のおよそ6割、利根川上流のおよそ3割の容量しかないのです。
近年の気候変動は、治水だけでなく、利水にも大きな影響を与えております。今年の関東地方では、極端な空梅雨の影響で、一時は荒川水系の4つのダムの水の量が6割程度にとどまり、23年ぶりに取水制限が20%に強化されました。この100年間の観測によると、長く緩やかに降る雨が減り、短期に激しく降る大雨が多くなるなど、降水量の変動が大きいだけでなく、年間降水量そのものが減少しており、自然に任せているだけでは水を確保できないという状態なのです。それをコントロールできるのが、ダムの存在なのであります。
しかし、全国でも特に関東地方の事情は厳しく、首都圏の水資源のほとんどがダムを経由した水に依存しているだけでなく、全国平均の年間1人当たりに使える水の量が約3,000立方メートルなのに対し、関東地方ではわずか900立方メートルと、全国平均の3分の1の量しかないという実情であります。つまり八ッ場ダムが完成しても、関東のダムはまだ足りないという状況なのです。
現在、国土交通省によって公表されている荒川水系河川整備計画によれば、荒川の洪水調節容量の確保を目指し、流れる水量を調節する池の整備を行っており、さいたま市桜区と戸田市にまたがる第1調節池を平成16年に完成させ、現在は第2から第4までの調節池の建設を検討しているとあり、これらが完成すれば、合計でおよそ1億立方メートルの洪水調節容量が得られることになります。
しかし、一部の国の職員や専門家から、「計画されている調節池は東京都内や県南の流域を守るだけのものとなり、河川の安全面で南北格差が広がる。それ以北の流域を守るためには、上流、水源地でのコントロールが不可欠である」という見解を聞いております。いずれにしても関東地方、埼玉県の水がめの確保のため、洪水調節機能の向上のため、特に荒川水系の貯水容量を増加させるという計画を推進させることが必要なのではないでしょうか。
まず質問いたしますのは、今後増加するであろう大雨による水害対策について、県としてどのような治水対策のビジョンを持ち、事業を進めているのかを県土整備部長にお伺いいたします。
また、埼玉県では平成30年度の国の施策に対する提案・要望の中で、「治水・土砂災害対策の推進」を訴えており、具体的な内容として、八ッ場ダム建設事業の推進と南摩ダム建設を中核とする思川開発事業の推進を国に提案・要望しております。県として、新たなダムの建設や調節池の建設など荒川の洪水調節機能の向上のための直轄治水事業推進を国に対して要望するべきと考えますが、併せて県土整備部長に御所見をお伺いいたします。

A   西成秀幸   県土整備部長

まず、どのような治水対策のビジョンを持ち事業を進めているのかについてでございます。
本県の地形は西が山地、中央が丘陵地や台地、東が低地となっております。
県境の北部や東部には、国が管理する利根川や江戸川、県中央部には荒川が流れており、これらの大河川に流入する中小河川を県が管理しております。
県全体の治水安全度の向上を図るため、県と国が連携し上下流バランスを踏まえながら、治水対策を進めているところでございます。
県では、河川整備計画の目標を時間雨量50ミリメートル程度の降雨とし、地形の特性を踏まえながら、河道改修や調節池整備と河川に集まる雨水の流出抑制を組み合わせた、総合的な治水対策を進めております。
一方、大型化する台風や頻発する集中豪雨を考えますと、ハード対策とともに、被害を最小限にするためのソフト対策も進める必要があります。
そのために、県民一人ひとりが適切な避難行動を取れるよう、様々な手段を用いて河川情報の提供に取り組んでおります。
また、再度災害を防止する対策を迅速に行うことも重要です。
平成27年9月の関東・東北豪雨で多くの被害が発生した新方川では、堤防のかさ上げ事業を1年で完成いたしました。
平成28年8月の台風9号で被害のあった不老川では、平成29年度から床上浸水対策特別緊急事業に取り組み、6年間で集中的に河川の整備を行います。
今後も、国と連携し計画に基づく河川整備を着実に進めるとともに、本県の状況に応じ、様々な手法を取入れた治水対策を進めてまいります。
次に、荒川の洪水調節機能の向上のための直轄治水事業推進を国に対して要望すべきことでございます。
国が平成28年3月に策定した「荒川水系河川整備計画」には、概ね30年間の整備目標や整備内容などが定められております。
整備内容としては、既存のダムによる洪水調節機能を前提に、堤防の整備や河道の掘削、中流部の新たな調節池の整備などを組み合わせた河川整備を進めるとされております。
荒川の治水対策は、県民の安心安全を確保する上で非常に重要な課題であります。
荒川の河川整備計画が一日も早く実現するよう、直轄治水事業の推進を国に要望してまいります。

 

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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