トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成29年9月定例会 > 平成29年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(松坂喜浩議員)
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掲載日:2023年9月20日
Q 松坂喜浩議員(改革)
4月中旬に知人から、「私の息子もいよいよ就職しました」と連絡をいただき、「それはおめでとうございます。どちらかにお勤めになりましたか」と話したところ、「実は、ブラックと言われる教員なんですよ」と聞き、「体調を壊さないように頑張ってください」と伝えました。
今、深刻な長時間勤務をはじめとする勤務環境整備の改善が求められております。中央教育審議会、学校における働き方改革特別部会は、新学習指導要領を確実に実施し、学校教育の改善・充実に努めていくためにも、教員が授業や授業準備などに集中し、教員が健康で生き生きとやりがいを持って勤務ができ、教育の質を高められる環境を構築することが必要であるから、学校における働き方改革、それを早急に進めていくことが必要としております。
そして、特別部会では、教職員の長時間勤務の見逃せない実態を、その改善に向けて、今できることは直ちに行うという認識を共有するとともに、必ず解決するという強い意識を持って、それぞれの立場から取組を実行し、教職員がその効果を確実に実感できるようにするため、3つの緊急提言を行いました。1つは、「校長及び教育委員会は学校において『勤務時間』を意識した働き方を進めること」、2つ目は、「全ての教育関係者が学校・教職員の業務改善の取組を強く推進していくこと」、3つ目は、「国として持続可能な勤務環境整備のための支援を充実させること」としております。今回は、時間の関係上、1点目の「『勤務時間』を意識した働き方を進めること」に重点を置きたいと思います。
業務改善を進める基礎として、管理職も含めた全ての教職員の勤務時間を把握することが重要であります。勤務時間管理は、労働法制上、校長や服務監督権者である教育委員会に求められている責務であります。出退勤時刻の管理について、タイムカードや校務支援システムを導入する学校が増加しているものの、文科省が実施した教員勤務実態調査によれば、教員の毎日の退勤時刻の管理について、「タイムカードなどでの退勤の時刻を記録している」と回答した学校は、小学校で10.3%、中学校で13.3%、「校務支援システムなどICTを活用して退勤の時刻記録をしている」と回答した学校は、小学校で16.6%、中学校で13.3%にとどまっていて、いまだ限定的です。
そこで、以下、教育長にお伺いします。
1点目、まずは3つの緊急提言について見解をお伺いします。
2点目、教育委員会は、自己申告方式でなく、ICT、タイムカードなど勤務時間を客観的に把握し集計するシステムを直ちに構築することも必要と考えますが、見解をお伺いします。
3点目、部活動の適切な運営について、教員の負担軽減や生徒の発達を踏まえた適切な指導体制の充実に向けて、休養日を含めた適切な活動時間の設定を行うとともに、部活動指導員の活用や地域との連携など必要な方策を講じることが必要ですが、見解をお伺いします。
4点目、文科省が実施した、学校に対する業務改善方針・計画について「策定している」と回答した教育委員会が都道府県で85.1%と数値が発表されました。学校における業務改善をするためには、早急に所管する学校に対する時間外勤務の削減に向けた業務改善方針・計画を策定することとしておりますが、埼玉県の現状と改善について、併せてお伺いいたします。
A 小松弥生 教育長
まず、1点目の「学校における働き方改革に係る緊急提言」の見解についてでございます。
今年の4月に公表された国の調査において、教員の平日における一日あたりの在校時間は、小学校で11時間15分、中学校で11時間32分という状況です。
昨年6月に実施しました県の調査においても、ほぼ同様で、教員の在校時間が長い状況であり、教育の質の確保・向上の観点からも、緊急提言を踏まえた取組を早急に進めていかなければならないと考えております。
次に、2点目の「ICTやタイムカードなどのシステムを構築すること」についてですが、議員お話のとおり、出退勤時刻を客観的に把握し、集計するシステムの構築も必要と考えます。
県立学校では、現在、教職員の出退勤時刻の記録について、教職員の自己申告方式で、定期的に管理職へ提出することにより勤務管理を行っております。
小・中学校では、ほとんどの市町村が出退勤時刻の記録を行っており、そのうちICカードなど客観的な方式は約半数でございます。
今後、県立学校では、ICカードなどの客観的な方式を検討し、小中学校では、ICカードなどの方式が広がるよう、市町村に対し一層の周知を図ってまいります。
次に、3点目の「部活動の適切な運営」についてでございます。
議員お話のとおり、教員の負担軽減や生徒の発達を踏まえた部活動を実施する上で、その適切な運営を図っていくことは、大変重要であると捉えております。
県では、平成28年3月に、活動時間や休養日の適切な設定が行われるよう、各県立学校、市町村教育委員会に通知をしておりますので、今後もその内容が定着するよう指導をしてまいります。また、部活動指導員の活用や地域との連携についてでございますが、県では、顧問がいなくても単独で指導や引率ができる運動部活動支援員を、3市に12人配置し、モデル事業として取り組んでおります。
この事業は、地域と連携し、専門的な指導力を有する地域の人材を運動部活動支援員としてお願いし、教員の負担軽減や運動部活動の充実・活性化に協力をしていただくものです。
今後は、この運動部活動支援員などを県内に広め、部活動における教員の負担軽減に鋭意取り組むとともに、地域と連携した部活動の活性化を図ってまいります。
次に、4点目の「業務改善方針・計画の現状と改善について」ですが、平成24年3月に県の業務改善方針・計画として、「学校における負担軽減検討委員会報告書」をとりまとめました。
この報告書では、文書作成や調査回答事務の効率化、ノー会議デーの設定などが報告され、毎年フォローアップを実施しております。
また、今年度から新たに、県教育委員会が学校に対して行う調査等の2割削減に向けた取組を行っております。
現在、学校における業務改善のために、伊奈町をモデル地域に指定し調査研究を行っておりまして、今後こうした取組を生かした業務改善方針や計画を新たに策定し、学校の負担軽減に積極的に取り組んでまいります。
再Q 松坂喜浩議員(改革)
働き方改革の2点目でありますが、ICT、タイムカードの関係が50%普及されているということでございました。これを把握しながら、今後参考にしていくということでもありましたが、よく聞きますと、タイムカードだとかICTを、逆に押してからまた業務に携わるという方が多いということでありますが、その辺を認識されているのか、御確認をいただきたいと思っております。
再A 小松弥生 教育長
今、議員御指摘のようなタイムカードを押してからまた仕事をするというケースも有り得るとは考えられますので、形式的な勤務時間の把握ではなく、きちんと実質の勤務時間を把握して、それが課題にならないよう市町村に対しても指導をしてまいりたいと思います。
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