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掲載日:2021年4月9日
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7-9 均等均衡待遇について
質問です
私が働く工場では、定期採用された正社員と不定期に採用された契約社員とが一緒に働いています。契約社員はパート従業員と位置付けられ、1年契約で毎年4月に更新され私は4年目です。正社員とパート従業員は同じ生産ラインで同じ組立業務に従事していますが、正社員は例年4月には昇給が、また夏と冬に賞与が支給されますが、パート従業員は原則として昇給も賞与もありません。退職金についても同様です。
会社には、パート従業員の正社員登用制度があると言われますが、めったに採用されません。待遇差の理由について説明を求めると、「正社員は長期間の労働力として期待されており、パート従業員とは期待度が違う、イヤならば頑張って正社員になればよいと言われますが採用基準も公表されません。」
最近「同一労働・同一賃金」ということが叫ばれますが、会社のこのような格差は仕方がないのでしょうか
ここがポイント
2020年4月に「パートタイム・有期雇用労働法」が施行され、正規雇用労働者と非正規雇用労働者(パートタイムや有期契約の労働者及び派遣労働者)との間の「不合理な待遇格差」が禁止されています。
お答えします
パートタイム・有期雇用労働法では、同じ企業内において働く、(1) 正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇の禁止、(2) 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化、(3) 行政による事業主への助言・指導や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備が図られています。
(1) 不合理な待遇の禁止
同一企業内において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間で、基本給・賞与その他の待遇は、職務の内容(業務内容、責任の程度)、職務内容・配置変更の範囲、その他の事情を考慮して不合理と認められる内容であってはなりません。均衡待遇を実現するために厚生労働省はいわゆる「同一労働同一賃金ガイドライン」(平成30年12月28日、厚生労働省告示第430号)を公表し、不合理な待遇差についての具体例を示しています。それによれば、基本給、賞与、各種手当等の賃金の相違について、「将来の役割期待が異なる」とか「正社員は長期間雇用が前提である」などの抽象的な説明では不十分で、職務の内容、職務内容・配置変更の範囲、その他の事情の客観的・実体的な実態に照らして不合理であってはならないとされています。
また事業主は、社員に対する研修・教育訓練の実施、食堂や休憩室等の福利厚生施設の利用に関しても、正規雇用労働者との待遇の均衡を図ること求められています。
(2) 待遇に関する説明義務の強化
非正規雇用労働者は、雇用されたとき及び待遇に疑問などを感じたときは「正規雇用労働者との待遇差の内容や理由」などについて、事業主に説明を求めることができます。
事業主はこれに応え、正規雇用労働者との間の待遇の相違の理由や待遇を決定するに当たって考慮した事項などを説明しなければならず、説明を求めた労働者に対し不利益取扱いをしてはなりません。
(3) 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備
正規雇用労働者との間の均衡待遇や待遇差の内容・理由等の説明に関する苦情や紛争に対しては、都道府県労働局長による事業主への助言・指導、勧告や第三者委員会である紛争調整委員会による調停の制度が設けられています。
ここにも注意!
雇用形態に関わらない公正な待遇の確保を図るため、従来のパートタイム労働法の改正のほか、関係法令(労働契約法及び労働者派遣法)が一括して改正されており、パートタイム労働者・期間の定めのある契約労働者のほか、派遣労働者を含めすべての非正規雇用労働者の不合理な待遇差の解消が図られることになります。
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