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掲載日:2023年3月14日
Q 田並尚明 議員(民主フォーラム)
我々の生活は、技術の進歩により、ここ数十年で激変したと言っても過言ではないのではないでしょうか。数日前、スマホが壊れ、買い換えましたが、アップルIDのパスワードを忘れ、電話帳が全てすっ飛んでしまい、パニックになりました。
私が3歳くらいまでは家に電話はなく、裏の家に電話を借りに行っていました。風呂は銭湯、テレビは白黒、自家用車は小学校1、2年生の頃、そしてクーラーが家にやってきたのは小学校3年生の頃でした。まあ、周りもそんな生活だったので別に不便は感じませんでしたが、レコードの録音はスピーカーの前にラジカセを置き、あともう少しで録音が終わるところで親が部屋に入ってきて、「今、録音しているんだから入ってこないでよ」という声もしっかり録音されていて、また最初からやり直したなんて経験は私だけではないのではないでしょうか。
今や、スマホ1台で外に居ながら風呂を沸かし、クーラーの電源を入れ、動画を見たり好きな音楽をダウンロードができてしまう。さらには、世界中の情報を得るのも発信するのも手軽に行えてしまい、その情報処理能力は、アポロ11号打ち上げた当時のコンピューターに匹敵すると耳にして、驚愕した覚えがあります。
最初に買った車は先輩から10万で買ったおんぼろで、今はハイブリッドとか、あとは燃料は電子制御ですが、当時は機械式のキャブレターというやつで、特に冬などは手順をしっかりと踏まないと、一発でエンジンがかからないということも度々ありました。もちろん、カーナビなんて当時は影も形もありませんでしたから、遠出をするときは、付箋がつきまくった地図が相棒でした。
今や、カーナビは当たり前、さらにはもう少しで自動運転も当たり前の世の中になりそうです。今の軽自動車の方が、当時の高級車より装備も性能も優れているのではないでしょうか。この質問を書くのにも、パソコンと格闘したところです。
このように、便利な世の中になると、もう昔の生活に戻るのは難しいことかもしれません。しかし、技術の進歩は、我々に便利な世の中をもたらせてくれたのと同時に、その裏側で、世界中では環境破壊が進み、地球温暖化による異常気象など、我々の将来に大きな不安をもたらせようとしています。環境問題は、待ったなしの政策であり、さらにその政策は加速させていかなければなりません。財政政策と並んで、我々の将来への責任だと思います。
令和5年度当初予算案にも、様々な分野でデジタルの活用や脱炭素に関する予算が組まれております。私も今回の質問で、ハイテク企業の誘致やデジタルトランスフォーメーションの推進を取り上げているように、これらの予算案に異を唱えるものではありません。
その一方で、半導体やEVをはじめとするハイテク機材に欠かせないのは、レアアースです。レアアース鉱石は、多くの場合、トリウム232やウラン同位体などの放射性物質を含有しており、その採掘や精錬の過程で放射性廃棄物が大量に発生するそうです。中国のある地区では、レアアースの採掘に伴い、人が生存するのには適さないほど環境汚染が深刻になり、中国政府は、2010年に周辺住民の移住計画を決めたそうです。
また、古くなりますけれども、1980年代には、マレーシアにおいて日本企業の子会社による放射性廃棄物の管理不備によって、異常出生率が全国平均の3倍、子供たちの白血病やがんの発症率も全国平均の40倍になったとの報告があるなど、レアアースの採掘には放射線汚染のリスクが常につきまといます。
また、報道によると、パソコンをはじめとする電子ごみは、世界中で毎年およそ5,000万トンも生み出されているそうです。その行き着く先は、先進国から発展途上国へ運び込まれる電子ごみの削減を目的とする国際的なルール、バーゼル条約が制定されているにもかかわらず、今もなお貧しき人々が暮らす途上国の電子ごみの墓場です。そこで人々は、汚染物質にさらされながら貴重な金属類を取り出し、生きる糧にしているそうです。
この写真を御覧ください。皆さんの方は、サイドブックに入っています。この写真は、ドイツ写真家カイ・ロッフェルバインさんが、ガーナの首都アクラにある世界最大の電子ごみ集積場、アグボグブロシーを撮ったものです。
写真には、有害物質を含んだ黒い噴煙が空に向かって立ち上がり、汚染された空気が充満する中で、ブラウン管から貴重な金属を取り出すため、今、正に少年が地面にブラウン管をたたきつけようとしている瞬間の姿が映し出されています。この写真家は、「ここは地獄の門だと説明を受けました」と語っています。
このような事実を突きつけられると、我々が便利だ、環境に優しいと思い使用しているものも、そのトレーサビリティというのでしょうか、商品の生産から消費、廃棄までの過程を考えると、これは本当に環境に良いのかと考えさせられると同時に、先ほども述べましたように、将来への責任として、環境政策は加速的に進めていくべきだという矛盾にさらされてしまいます。
私も含めてですが、環境問題に取り組む場合、これが環境に良いという製品や政策などが発表されると、社会全体が一気にその方向を向いていく嫌いがあります。環境のために山の木を切って太陽光パネルを設置するなど、本末転倒な例ではないでしょうか。
私が載っていたカローラは、20万キロ乗ってもリッター15から17キロ走りました。しかし、古いというだけで税金が高くなりました。これがSDGsなんでしょうか。反対に、大切に長く乗りましたね減税というのが正しいのではないでしょうか。これは愚痴ですので答弁は結構ですが、そこでお伺いします。
このような社会のうねりを止めることは難しいかもしれません。しかし、これから環境問題を進める場合、せめて心のどこかにトレーサビリティーを考えた場合、これって本当に環境に良いのかという問題意識を持つことも必要なのではないかと考えます。
実際に廃棄まで考えて環境を考えていくという問題意識を持ち、これから取り組まなければならない課題と捉えている企業も増えてきています。加えて、行政も問題意識を共有してくれると進めていきやすいという御意見も頂きましたが、知事の御所見をお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
議員お話しのとおり、製品の製造から流通、消費、廃棄に至る一連の過程を通じて本当に環境にも良いものであるかを考えることは大変重要と考えます。
技術の革新的な進歩は、便利な世の中をもたらした一方、大量消費・大量廃棄型の社会を生み出し、資源の枯渇や地球の温暖化などの環境問題を引き起こしています。
限りある資源を無駄なく、大切に循環利用いただくためには、製品の設計の段階から長期的な使用や再利用を前提とし、廃棄する場合も資源に変えて有効利用していくことが必要であります。
本当に環境に良いかを考えるとき、私は、日本人が古来より大切にする「もったいない」の精神が、指針の一つになると考えます。
私の地元で盛んであった鋳物工業は、たくさんの熱を捨てていますが、日本固有のもったいないという精神からすれば、この熱資源を活用できる仕組みを作り上げることができるのではないかと期待しています。
捨てるものをなくし、徹底的に活用することにより、経済活動を行うことが、結果として持続的な循環型社会の構築につながると考えるために、令和5年度予算に、既にこれまでも進めてきているサーキュラーエコノミーをさらに重点的に推進するための事業を提案させていただいております。
具体的には、ワンストップ支援拠点を設置するとともに、県内中小企業等が連携して取り組むサーキュラーエコノミー型ビジネスを支援し、リーディングモデルとして発信していく予定です。
環境問題は社会全体で解決するべき課題であり、全庁的に取り組む必要があります。
県政の施策展開や事業執行に当たっては、「環境」という「横串」を刺すことを強く意識しながら施策を進めてまいります。
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