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掲載日:2023年3月14日
Q 西山淳次 議員(公明)
私は、孤独・孤立問題は、現代における非常に重要な社会問題であると考えております。無差別に人を殺傷する通り魔事件の加害者は、しばしば「誰でもいいから人を殺したかった」あるいは「世の中に復讐する」といった犯行動機を口にします。多くの犯人は社会的に孤立し、行き詰まり、自暴自棄になった挙げ句に、凶行に及んでいます。果たして、彼らは理解不能なモンスターであり、ただただ社会から排除すればよいのでしょうか。
私は、彼をしてこのような犯罪に至らしめた社会のゆがみ、私たちが暮らしている現代社会こそが、孤独・孤立を生み出し、このような犯罪を生み出す一因にもなっているとの視点が必要だと考えます。その意味で、孤独・孤立対策は、決して他人事ではありません。
内閣官房が定めた孤独・孤立対策重点計画は、その理念として、「孤独・孤立は、人生のあらゆる場面において誰にでも起こり得るもの」として、「当事者個人の問題ではなく、社会環境の変化により、当事者が孤独・孤立を感じざるを得ない状況に至ったものであり、社会全体で対応しなければならない。」、さらに「『人間関係の貧困』とも言える孤独・孤立の状態は、『痛み』や『辛さ』を伴うものであり、命に関わる問題である」と記しています。私はこの考え方に全面的に賛成です。こうした基本認識に立って、孤独・孤立対策を進めることが重要です。孤独な誰かを救うことは、私自身やあなたの孤独を救うことにつながるからです。
さて、本県は、国の呼び掛けに応え、いち早く孤独・孤立対策をスタートさせました。その見識に深く敬意を表します。
先日、2月9日には、県内市町村長を対象にしたセミナーとトークセッションがオンラインで行われ、私も視聴させていただきました。孤独・孤立対策の重要性を広く啓発する大変有意義な取組と感じました。
セミナーでも指摘されていたことですが、孤独・孤立対策に特効薬はありません。孤独・孤立の特別な相談窓口を設け、カウンセラーを配置することはもちろん重要ですが、それで終わりではありません。大事なことは、そして困難なことですが、孤独・孤立を生み出さないような地域社会をいかにつくっていくかということです。それには、何が有効でしょうか。
私は、本県が積極的に進めてきた地域包括ケアシステムの構築やコミュニティ・スクールといった取組に期待したいと思います。心身に不自由を感じ始めた高齢者を見守り、地域の皆で支え合う地域包括ケアシステム、おらが学校、おらが子供たちを通して地域のつながりも深まるコミュニティ・スクールは、地域全体を変えていく可能性をはらんでいます。
また、富山市などで実践されている高齢者、障害者、子供のデイサービスを共通の場で行う共生型、ごちゃまぜのケアも重要と言われます。ほかにも、NPO団体やサークル、ボランティアなどが様々な取組、活動をしています。
そこで、知事に伺います。孤独・孤立対策を実施していく上での基本認識と今後の取組の方向性についてどうお考えでしょうか、見解を伺います。
A 大野元裕 知事
孤独・孤立対策を実施していく上での基本認識についてであります。
一人暮らし世帯の増加や地域社会のつながりの希薄化が進むとともに、新型コロナウイルス感染症によりコミュニケーションが制約された影響もあり、孤独・孤立の問題は一層深刻化しています。
孤独・孤立の問題は、家族の死別や生活困窮、DV、虐待などの要因が複合的に絡み合っていることも多く、個人の問題ではなく、社会全体の問題として捉え、まずは県の施策の連携を進めると同時に行政、社会福祉協議会、NPOなど様々な主体が分野や種別の枠を超え連携して対応することが重要と認識しています。
本県では、令和4年2月に、福祉部をはじめ保健医療部、教育局など8部局29課で構成する埼玉県孤独・孤立対策推進会議を設置し、県庁全体がワンチームで取り組む体制を整えました。
そして、県とともに市町村、社会福祉協議会、民間企業、NPOなどが連携し、孤独・孤立対策を推進するため、令和5年2月9日に埼玉県孤独・孤立対策官民連携プラットフォームを立ち上げました。
立ち上げに合わせ、市町村の首長向けトップセミナーを開催するとともに、NPO等の支援団体や一般県民を対象としたキックオフイベントを実施し、私からも直接、孤独・孤立対策の重要性をお伝えしたところであります。
次に、今後の取り組みの方向性についてであります。
孤独・孤立の問題を抱える方々の中には、「他人に知られたくない」とか「恥ずかしい」といった感情から支援を求めることをためらう方も少なくございません。
そこで、「困ったときに支援を求めるのは良いこと」という認識を全ての世代に届け、声を上げやすい社会が実現できるよう、プラットフォームの活動や広報紙、ホームページ、SNSなどを通じて広く発信することが必要と考えます。
加えて、孤独・孤立の支援においては、行政等の支援制度に形式的につながるだけでは十分ではなく、人と人との「つながり」や自分の役割を実感できるようにすることが大切だと思います。
このため、身近な地域の中に居場所や交流の場を増やし、地域で支え合う取組を進めていきたいと考えており、こうしたことが議員お話しの孤独・孤立を生み出さない地域社会づくりにつながるのではないかと考えています。
孤独・孤立で苦しまれている方々を誰一人取り残すことなく、あらゆる人に居場所があり、活躍でき、安心して暮らせる「日本一暮らしやすい埼玉」の実現に向け全力で取り組んでまいります。
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