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夜の8時すぎ、雨上がりの湿った空気のなか。街の明かりを横目に、ほんのりと赤い提灯を目指して歩けば―
柔らかな光を放つホタルがあちらこちらに。
聞こえてくるのは水の音、ひそやかな声、遠くに街の気配も感じられます。
ここは児玉郡上里町、御陣場川(ごじんばがわ)のほとり―「みちくさの道(ほたるの里)」
閑静な住宅街と商業施設に挟まれたこの場所で、毎年7月上旬ごろ、ホタルの鑑賞会が開かれます。
このホタルを育て、放流する活動を行っている「昭和会ほたるを育てる会」の代表である鈴木光雄さんにお話を伺いました。
ほたるの里でビオトープを見つめる鈴木さん
ヘイケボタルという種類です。山の清流に生息するゲンジボタルと比べ、体は小さく光もほのかです。
雄が雌を求めて飛び、相手に見つけてほしくて一生懸命光っています。
ホタルは光ることでコミュニケーションをとっています。懐中電灯や携帯電話など明るい光は苦手ですので、光を出さないようご注意ください。
静かに待っているとホタルがよく飛びます。近隣にお住まいの方もいらっしゃいますので、お静かにおこしください。
ホタルやタニシの生育環境を守るため、木道以外に立ち入らないようお願いします。
また、ホタルを持ち出さないようにしてください。
地域の子どもたちにもホタルに親しんでもらいたいと、昭和会では親子蛍教室や観察学習会を地元公民館で開催してきたそうです。
参加者は、幼虫と生育に適した土を持ち帰り、自宅で様子を見守ります。ヘイケボタルは幼虫のうちから光るので、上手く育ててあげれば、何度か光る瞬間があり観察できるはずとのこと。「光ったよ!」と興奮して鈴木さんに電話をくれるお子さんもいるそうです。
ほかにも地元小学生を招いてホタルの授業を行うなど、地域での取り組みを行っています。子どもたちの笑顔が、会員さんたちの大きな原動力となっているようです。
ホタルの観察学習会の様子(写真提供:昭和会)
昭和会の発足当初、ホタルに関する活動はやっておらず、もともとはソフトボールクラブでした。
しかし、とある宴席で「ホタルをやろう」という意見が出たことをきっかけに、鈴木さんを中心としたホタルを飼育・放流する活動が始まっていったそうです。
平成5年にホタルの活動を始めてから現在に至るまで、その活動は決して順調だったわけではありません。
鈴木さんたちは、河川工事によって旧河川敷となった場所を、ホタル放流の場として選びました。当時、地域のお荷物のような場所だった、と鈴木さんは語ります。
それから井戸水の使用許可や河床(かわどこ)整備など、利水関係者に地権者、上里町など、周囲へ協力を仰ぎました。
平成6年に会員宅でホタルの飼育を始め、翌年初めての放流。活動を始めてからわずか3年余り、無事にホタルが飛びました。会員だけでなく関わった多くの人々が歓喜した瞬間でした。
しかし喜びも束の間、平成9年になると、なぜかホタルの発生数が激減。餌となるタニシが定着しなくなりました。はっきりとした原因は分かりませんが、この場所は、かつて生活用水の排水路だったところです。当時の家庭洗剤などが滲み出たのではないか、と考えられました。
どうしたらまたホタルが飛ぶだろうと、鈴木さんたちは奮闘を続けます。
ホタル飼育小屋にタニシ飼育場の整備、農業用水の導入、ビオトープの整備など、生育環境の改善に取り組んできました。 会員だけでは手が足りない水路の清掃を、時々手伝ってくれる方も現れました。
その甲斐あって、最近では毎年安定してホタルが飛び立つ姿が見られるようになったそうです。
しかし、近年また別の課題が目立つようになってきました。 それは会員の高齢化です。 70代や80代の方が多く、活動に参加できない会員も出始めました。
今後この活動を続けていくためにも、「もっと若い人にも入ってもらいたい」と鈴木さんは考えているそうです。 同じようにホタルの活動をしている団体でも同じ悩みを抱えているところは多く、なかには学校PTAと連携して続けているところもあるそうです。「でももともと遊びで始めたようなものだから楽しんで続けます。」と決して悲観的でなく明るい表情でお話してくれました。
昭和会の皆さんがこの活動を始めておよそ30年。
困難を乗り越え、ここまで活動を継続してこられた秘訣は、こうした前向きな姿勢にありそうです。
鈴木さん、お話どうもありがとうございました。
みちくさの道(ほたるの里) 詳細
住所 | 埼玉県児玉郡上里町神保原町 |
昭和会Facebook | https://www.facebook.com/上里町-昭和会-蛍を育てる会-783643181690627/ |
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