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掲載日:2023年2月7日
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本庄駅の北口、銀座通りには昔ながらの建物が並びます。その一角にある、元は料亭として使われていたおよそ築100年の「新喜庵」の建物の改修が進んでいます。2021年秋この場所にコワーキングスペース+シェアオフィスやコーヒーとクリームソーダの専門店を併設した「本庄デパートメント」がオープンすると聞いて、本庄デパートメントの榎本さんと早川さんにお話を伺いました。
お二人は本庄へ移住してきた方です。榎本さんは建築家でデザイナー。本庄駅のテラスバ(別ウィンドウで開きます)の設計も榎本さんが手がけました。一方早川さんは行政出身。公務員として働いていたそうです。
本庄デパートメントの榎本さん(左)と早川さん(右)
ーお二人は本庄へ移住されたそうですね。まず「本庄デパートメント」を作るきっかけを教えてください。そもそも本庄を選んだ理由は何でしょう。ー
(榎本さん)話せば長くなりますが、一言でいうと「古い建物が好き」だからです。前の仕事で本庄の街中を車で通ることがあり、以前から本庄っていいなと思っていました。仕事で他の地域とも関わってきましたが、何か他と違ってすごく魅力的なので。
ー他とは違う魅力とは。ー
(榎本さん)距離感っていうとすごくふんわりした言い方なんですけど、人と人の距離感もそうなんですけど、建物の規模感とか、人と建物の距離感、建物をくぐった時の感覚っていうか、すいません、本職が建築なんでこんな言い方しちゃうんですけど。規模が大き過ぎない。いい感じに小ぢんまりとした感じがすごく私にはクリティカル・ヒット!
ーお二人はこちらにいらっしゃる前のお住まいは。ー
(榎本さん)東京です。会社員をしていました。会社を辞めた後はコーヒーの修行をして、本庄に移住しました。設計やデザインの仕事をしています。
(早川さん)私も都内から本庄へ引っ越しをして、群馬の市役所に勤めていました。今は映像関係の仕事と行政と民間をつなぐ、公民連携の仕事をしています。
ーデパートメントというネーミングがとても面白いと思ったのですが、お二人が考えたのですか?ー
(榎本さん・早川さん)はい。「素敵なモノとかコトとか人が集まるデパートメント」っていう言い方をしています。デパートが作りたかったということではなくて、デパートっていう言葉にいろんな意味を持たせて魅力を感じていたので。私たちは、50平米のデパートメントなんですけど(笑)。イメージで言っている感じです。情報とか素敵なものが集まっている印象で付けたネーミングで、概念的なものです。
ー実際に本庄に住んでいただいて、どんな感想を持たれました?榎本さんは商店街で暮らすのが夢だったとか。ー
(榎本さん)今は長屋に住んでます。肉屋さんやそば屋さんがある商店街の中。「サザエさんみたいな暮らし」をいつかしたいと思っていて、それが本庄にあった感じです。建物がすごくいいし、その商店街に住めるなら移住したいと思っていて、たまたま長屋が見つかったので暮らしてるんです。
個人の顔が見えるところを自分のお金の落とし先にしたい、この人のためにここでお金を使う、そういった暮らしがしたかったんです。
ーちゃんと相手とコミュニケーションをとって品物を選ぶということでしょうか。ー
(榎本さん)はい。スーパーで10分で終わる買い物も商店街を何店舗も回って1時間かける意味がある。ちゃんとおしゃべりして、コミュニティに足を突っ込んでいるというか。子供にもその姿を見てもらいたい。
ー「コミュニティに足を突っ込む」とおっしゃいましたが、本庄デパートメントは地域とどう関わっていきたいんですか。ー
(早川さん)ふらっと入れる場所が町にあるとうれしいじゃないですか。あんまり自分が構えていなくても、ちょっとあそこに行って、コーヒーを一杯片手に町の情報が聞ける場所があったらいいじゃないかと。
新喜庵(銀座通りに面した建物を改修中)
(早川さん)そういう場所づくりは公共だと難しい。やるなら民間で。
カフェ的な要素なんだけども、カフェとはまた別の要素のものを僕らは用意していて、そこに対して皆さん価値を見い出して来てくれればいいなって思っていて。その仕掛けとして、最初から本庄デパートメントのDIYワークショップとかで皆さんを巻き込んで、あそこに行けば何か面白いことあるよねっていう価値も与えていきたい。コーヒー一杯がきっかけになるところ。
後はお店としてコーヒーとクリームソーダとコワーキングスペースという空間ではあるんですけど、コミュニケーションを作っていきたい。
ー私たち行政が出来ないことをまさにやっていただいてるなっていうのをすごく感じます。ー
(早川さん)僕は行政出身なんですが、まちづくりをやっていたので、もっとみんなが立ち寄る場所があれば町にとっては一番いいのではないかと。
(榎本さん)官ができないことは、民がどんどん進んでやっていかないと。そういう人は、(民間に)いるにはいらっしゃるわけですけど、同じ世代ぐらいの人にあんまり出会えなかった。
(早川さん)僕らも子供がいますが、子供たちに街中の記憶も残していきたい。やっぱり今って、車でどっか郊外に出て大きな複合施設とかで遊んで。それはそれでいいんですけど、街の中にも面白いことはある、楽しいことがあるよっていうのを示したい。それからその街のエリアから波及して、みんなにも楽しい場所を教えてもらえるみたいな、そんな点(場所)を打とうとしてる感じです。
ー「場」を作る。クリエイティブな空間を街の中に広げていき、結果として街が活性化するみたいな感じですか。ー
(榎本さん)そうですね。まちづくりをしようと私たちは少しも思ってなくて。でも楽しいことをやっていってその結果がまちづくりにつながっていくのかなという感じはあります。
(早川さん)楽しいからやっていて、自分たちがやりたいからやって、できればそこで公共のお手伝いみたいなことをしたいんです。
DIYワークショップの様子 出来ることはみんなの手で
ー本庄デパートメントはどんな場所にしたいんですか?ー
(榎本さん)私たちの言い方としては、「クリエイティブなコミュニティのある場所」っていう言い方をしています。私が移住する前に、「こういうのがあったら良かった」という場所を自分で作ろうと。だけど例えばクリエイティブっていうのはデザイナーじゃなきゃいけないとかそういうことじゃなくて。既成概念にとらわれたくない。
関わり方とかはそれぞれ。入居してもいいし、ただコーヒー飲みに来るだけでもいい。それだけで面白い情報とか、仕事を持ってきてくれるかもしれないし、何か刺激を持ってきてくれるかもしれないという場所があれば。私たちみたいに移住したいと思った人たちがまずそこに来る。私はそういう場所を求めていたので。同じような人が路頭に迷わない場所。
(早川さん)道しるべを作ってあげて。本庄らへんのまちにはこんな面白い人いるんだなとつながってもらえたら。
あと、そこに来た人が何かやりたいと思っていても言えるところがないと、その先って進まないじゃないですか。僕らに相談してもらって、「じゃあ一緒にやりましょう」という場所でもありたいと思っていて。そういう何か悩み事も受けたいなとは思ってます。
*本庄デパートメントかかわり方説明会資料
ー実際、話を聞きにくるのは今どんな人たちが?ー
(早川さん)何か面白そうだなと思ってる人たちが来ていますね。自分でお店出したいからちょっとキッチンとして借りたいという相談もあります。
(榎本さん)単純に面白そうだから、何か関われることないかなっていうのが多いです。
(早川さん)やっぱり、そういう「かかわりしろ」を求めていて、でも周りにないよねっていうのが現状で。でも僕たちが立ち上げてるから、みんなちょっとやってみたいなという連絡がきてる状況です。
ー確かに、何かやりたいけど自分からじゃちょっと・・・。そういう時に本庄デパートメントのようなものがあると、すごくいいですね。ー
新喜庵
(榎本さん)私たちがここで銀座通りで何かやるのに、「私も銀座通りとかでお店やりたい」っていう相談はたくさんあります。会ったこともない人からもあります。でも現状では、じゃあここ空いているよっていうストックがない。空き家のオーナーさんはなかなかこの辺に住んでなくて、東京の方だったりでアプローチできないというのは、結構悩んでいます。
空き家バンクは1件しかなくて機能してない状態。行政の方にもいろいろお話する機会をいただいてるんですけど、そこは課題だって。
(早川さん)行政は情報は持ってるんですけど、当然ながら個人情報の関係でなかなか外に出せないとかいうのもありますし。我々が不動産オーナーのところに行ったところで、貸してくれることって結構少ないんですよ。私たちが急に行ったところでお前ら何者だってなっちゃうのが現状なんですよね。
(榎本さん)築100年の建物を改修するとプロセスはすごい遠回りなんですけど。改修した実物を見てもらえればわかりますが、新築じゃなくて古さをわざと引き算で残して設計してるんですね。そういう使い方ができるのか、じゃあうちも貸せるっていうふうに思ってもらえたら。
(早川さん)そしたら「つながる」じゃないですか。お店やりたいって人に、ここ空いてるよと言えるし、場所づくりができるから相談に乗ったり。非常にそこは課題ですよね。ずっとネックです。なかなか情報は集まらないです。
ー民間と行政がうまくタッグを組めるといいですね。ー
(早川さん)本庄には素敵な古い建物がある。わたしたちの拠点を見てもらってちょっと心が動いてもらえれば。建物がこんなに素敵になってこういう人たちが集まって、街の中の繋がりを生み出せることができるんだなって思ってもらえれば、もしかしたら気持ちが動いてくれて「(物件を)つかってくれない?」ってこともあるかもしれない。
ーぜひ頑張っていただきたい。オープンしたらまたいろいろと聞かせてください。ー
(榎本さん・早川さん)ありがとうございます。
本庄デパートメントを作っている皆さん
現在本庄デパートメントには、お店を出してみたい、自分も活動に関わってみたいという声が多く寄せられています。このため10月9日(土)には「かかわり方説明会」も開催されました。クラウンドファンディングにも多くの支援が集まっているそうです。本庄デパートメントへ寄せられるたくさんの方の期待や関心の高さがうかがわれます。なんとプロジェクト翌日には目標額を達成し、現在はNEXTゴールに向け「かかわりたい人たち」を待っているそうです。
今回のインタビューは民間の人たちが行っているプロジェクトにどう行政が関わっていけばよいのかを考える良い機会となりました。
11月には本庄の街に新しい「場所」が誕生します。その時はまたお話を伺いたいと思います。
現在の活動状況は本庄デパートメントのHP(別ウィンドウで開きます)を御覧ください。
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