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ページ番号:266587

掲載日:2025年3月26日

令和7年2月定例会 「5か年計画等特別委員会」

委員長 中屋敷   慎一

5か年計画等特別委員会における審査経過の概要について、御報告申し上げます。
本委員会に付託されております案件は、「5か年計画及び各分野における基本的な計画の策定等に関する件」であります。
初めに、3月5日に第56号議案及び第57号議案の審査を行いました。
審査に当たりましては、執行部から詳細な説明を受け、その後、質疑を行いました。
以下、これらの議案に関して行われた主な論議について申し上げます。
まず、「現在の『農家一戸当たり生産農業所得』の指標について、専業農家と兼業農家が分かれておらず、判断材料として適当でない。主たる収入が農業である農家の指標を用いて目標値を設定しなくては、正しい評価ができないと考えるがどうか。また、『販売農家数に占める販売金額1,000万円以上の農家数の割合』の指標について、令和5年度は7.5%であるが、農業を志す魅力を高めるためには、この目標値をより高く設定すべきではないか」との質疑に対し、「『農家一戸当たり生産農業所得』は、専業農家、兼業農家それぞれを示すデータが公表されていないことから、国の統計値である生産農業所得を総農家数で割って算定している。また、販売金額1,000万円以上の農家数の割合について、令和5年度の目標値である9.0%をまだ達成できていない。農業を志す人を増やすためにこの指標は重要であり、次期計画では目標値の水準について検討していく」との答弁がありました。
また、「埼玉県こども・若者基本条例制定時に、『生み育てる』という表現について、生むことが前提のような表現ではないかという意見が多数あった。生む人と育てる人が異なる場合も多々あり、こども基本法でもこのような表記はされていない。生むことと育てることを書き分けるべきではないか」との質疑に対し、「県としては、こどもを出産した家庭だけでなく、様々な背景により、こどもを迎え入れた家庭が、こどもを育んで慈しんでいることを含めて、こどもを『生み育てる』という表現とした」との答弁がありました。
また、「今までの業務改善は課内の改善にとどまっている印象がある。今回、TXに変わる以上は、課内の一つの係や、そもそも課が一つなくなるような提案があるのが、TXの意義である。TX推進リーダーを育成するための研修は、大きな組織改編をするような改善まで見据えた内容になっているのか。また、組織改編を含む改善案が提案された場合、実行する意思はあるのか」との質疑に対し、「研修は、基礎的なツールの利用等に関するものもあるが、業務改革の研修も含めている。今後は、小手先の改善ではなく、改革につながる研修も含めてリーダーを育成していく。また、今年度はまだ課がなくなるような改善提案は出ていないが、県民向けの集合研修をウェブ研修として来所を不要とするなど、大幅な改善事例も見られる。このような取組を一歩進めた改善が出てくることを期待し、庁内各課との調整を行う」との答弁がありました。
また、「八潮市の道路陥没事故は、下水道の老朽化対策という、災害耐力の低下に対する対応が喫緊かつ重大な課題であることが改めて浮き彫りになったが、現5か年計画では、下水道などインフラにおける老朽化対策はどのように位置付けられているのか。また、社会に大きなインパクトを与えた事故の重大さを加味し、計画の実効性を担保するために、ローリングの年度ではあるが、社会経済情勢の著しい変化への対応として、計画変更を行うべきではないのか」との質疑に対し、「現計画では、耐震化の実施や下水道施設の整備支援は位置付けているが、老朽化対策についての明記はない。また、今回の事故発生の原因究明を第三者委員会で行う必要があり、国においても有識者委員会において、インフラの老朽化対策について検討を行っていることから、現時点では計画を変更することは考えていない」との答弁がありました。
また、「『介護職員数』の指標について、人材不足が大きな課題となっている中で、目標値を12万1,800人に増やしているが、根拠について伺う」との質疑に対し、「第9期介護保険事業計画に基づいた介護サービスの数量を根拠に必要な介護人材数を積み上げて、最終的には国が同計画に基づいて積算している」との答弁がありました。
このほか、第58号議案ないし第61号議案については、関係する各常任委員長に調査を依頼し審査を進めたところであります。以下、調査において行われた主な論議について申し上げます。
まず、第58号議案について、「『埼玉県こども・若者計画』への統合後の指標の進捗管理について、県民生活部としては全く関わらないのか」との質疑に対し、「統合後も、青少年課が所管している指標については、きちんと進捗管理を行っていく。また、その他の指標についても、青少年施策に密接に関係するものであるため、福祉部と連携して進めていく」との答弁がありました。
次に、第59号議案について、「『犯罪抑止重点地域における防犯カメラの設置率』の指標は、60%が目標になっているが、重点地域以外でも犯罪が起こる可能性がある。指定されていない地域への設置方針や方向性はあるのか」との質疑に対し、「刑法犯認知件数をより減少させるためには、相対的に犯罪の多い地域へ設置することがより効果的であると考え、目標値を設定した。重点地域以外にも、地元の要望等によって設置が必要とされる地域はあることから、来年度以降の市町村に対する防犯カメラ設置においては、重点地域に設置する場合は補助率を優遇する方針であるが、重点地域以外に設置する場合にも補助を行う方針であり、設置が進むよう努めていく」との答弁がありました。
次に、第60号議案について、「『化学物質管理に関連する研修会の参加事業所数』の指標について、目標値を720事業所から1,150事業所に増やすということだが、目標達成のため具体的にどのように取り組むのか」との質疑に対し、「研修会は、令和3年度以降、オンラインで実施してきたが、開催日当日しか参加できない方式だった。今後は、公開期間中であれば、いつでも研修会を視聴できる方式に変更し、参加者の利便性を更に高めていく。講義内容についても、化学物質の適正管理に加え、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーなど事業者の関心が特に高いテーマを取り扱い、内容を充実して事業者の参加を促していく」との答弁がありました。
次に、第61号議案について、「ワークライフバランス・男女の働き方改革の推進について、『男性の育児休業取得率』のみならず、取得日数も加えて進捗状況を把握していくべきと考えるがどうか」との質疑に対し、「男性の育児休業取得推進については、取得率だけではなく取得日数も大変重要だと考えている。子育て中の男性がそれぞれ必要とする期間にしっかりと育児休業を取得できるよう、セミナーなどの機会を通じて、県内企業の経営者や従業員に対し、理解が進むよう取り組んでいく」との答弁がありました。
次に、3月17日の委員会において、白土委員ほか8名から、第56号議案及び第57号議案に対する修正案が、藤井委員ほか8名から、第61号議案に対する修正案が提出されました。
初めに、第56号議案に対する修正案の主な内容を申し上げます。
まず、第2編1(3)イ『大地震に備えたまちづくり』において、見出しの「大地震」を「大地震等」に修正した上で、(ア)施策内容に、「流域下水道事業は事業着手から50年が経過する中、災害耐力の低下への対応は喫緊かつ重大な課題となっています。このため、県土の強靱化に必要不可欠な老朽化対策を推進します。」を追加する。あわせて、(イ)主な取組に、「下水道の老朽化に対応した強靱化の推進」を追加するものです。
次に、第57号議案に対する修正案の主な内容を申し上げます。
まず、こども・若者基本条例は、こども・若者が有する権利が保障され、こども・若者が主体性を持って、自分らしく健やかに、かつ、幸せに成長することができる社会、保護者・養育者その他こども・若者を養育しようと思う者が子育ち・子育てに希望や喜びを感じ、幸せに過ごすことができる社会を目指すものである。提案された計画には、4(2)ウ(イ)の子育てに魅力を感じるまちづくりの推進及び4(3)ア結婚、妊娠・出産、子育てへの支援において、「生み育てる」、「産み育てられる」という表現が使われているが、これらは出産が子育ての前提とする表現であり、こども・若者基本条例を踏まえると対象が限定されていると考える。本委員会において、総合戦略で用いられる「生み育てる」という表現について執行部に確認したところ、こどもを出産した家庭だけでなくて、様々な背景により、こどもを迎え入れた家庭が、こどもを育んで慈しんでいることを含めているとの答弁があった。そうであるならば、「生み育てる」、「産み育てられる」という表現は、「生むことや、育てることができる」という表現に改め、こどもを生む方のみならず、こどもを育てることに共に責任を持つ保護者・養育者もその対象に含む表現とすべきである。
次に、4(3)エ(カ)の指標「生活困窮世帯及び生活保護世帯の学習支援対象者の高校進学率」についてである。この高校進学率という指標は99%であるが、その対象は学習支援事業に参加したこどもたちである。本委員会において、この指標について確認したところ、貧困の連鎖を断つ取組である学習支援事業において、生活保護世帯のこどもの状況を把握することは重要であり、学習支援事業の利用率を引き上げ、参加者のすそ野を広げ、生活保護世帯のこどもの高校進学率向上に努めていきたいとの答弁があった。アウトカム指標である学習支援対象者の高校進学率も大事だが、学習支援事業に参加しているこどもたちのみならず、生活保護世帯におけるこどもの学習支援事業への参加を増やし、学習意欲を高めていく指標の方が県の取組の目標として適当であると考える。このような点を踏まえ、貧困の連鎖に関する指標として埼玉県5か年計画で設定されている「生活保護世帯の中学3年生の学習支援事業利用率」を設定するものです。
次に、第61号議案に対する修正案の主な内容を申し上げます。
第2章9(4)クの健康教育の推進と健康の確保・増進等において、福祉保健医療委員会では、「これまでの身体の仕組みや思春期における身体の変化などの指導に加え、『生命(いのち)の安全教育』に取り組む」との答弁があった。こどもが性を正しく理解し、適切な行動をとることができるようにするためには、「性に関する知識を包括的に学べる教育を推進する」ことが必要と考え、その点を明記するものです。
以上、主な修正について申し上げましたが、それぞれの修正理由並びにその他の修正につきましては、お手元の修正案により御確認をいただきたいと思います。
続いて、各修正案に対する質疑を行いました。以下、論議のありました主なものについて申し上げます。
その中で、第57号議案及び第61号議案の修正案に対して、「『生活困窮世帯及び生活保護世帯の学習支援対象者の高校進学率』の指標を『生活保護世帯の中学3年生の学習支援事業利用率』に修正しているが、貧困の連鎖の解消には、生活困窮世帯への支援も非常に重要であると考えている。生活困窮世帯への学習支援に関して、どのように考えているのか」との質疑に対し、「貧困の連鎖の解消には、生活困窮世帯のこどもを対象とした学習支援事業の実施を充実させることが非常に重要だと考える。原案の『生活困窮世帯及び生活保護世帯の学習支援対象者の高校進学率』に関する指標は、その対象が学習支援事業に参加しているこどもに限定されており、学習支援事業に参加していないこどもの実態を捉える必要があると考えた。こうした中、生活保護世帯と異なり、生活困窮世帯には、明確な基準が存在せず、生活困窮世帯のこどもの全体像を把握することも困難であるため、指標や附帯決議において、具体的な取組を求めることも難しいと考えた。生活困窮世帯のこどもの支援に関しては、こどもの貧困対策の推進として、本計画に規定された学習支援に関する施策の実施状況をしっかりとチェックし、必要に応じて適切な対応を求めたいと考える」との答弁がありました。
その後、討論に入りましたところ、第56号議案及び第60号議案について反対の立場から、「温室効果ガス排出削減目標の46%は国と同様であり、地球温暖化がハイスピードで進行する現状からも、国の基準を上回る目標を掲げるべきである」等の討論がありました。
以上のような審査経過を踏まえ、採決いたしましたところ、第56号議案に対する修正案については、多数をもって、第57号議案及び第61号議案に対する修正案については、総員をもって可決し、修正可決した部分を除く56号議案については、多数をもって、修正可決した部分を除く第57号議案及び第61号議案については、総員をもって、第60号議案については、多数をもって、第58号議案及び第59号議案については、総員をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
その後、第57号議案及び第61号議案に対して、事業の執行方法に関して、適切な対応を求める附帯決議案が提出されました。
まず、第57号議案に対する附帯決議案の内容を申し上げます。
第一に、TXの推進にあたっては課内の既存の業務の改善のみならず部局横断で事業を見直し、結果として組織改編を伴うことも厭わない抜本的な改革案を提案できるリーダーを育て、TXの成果を定量的に評価すること。
第二に、農家一戸当たり生産農業所得の指標で、専業・兼業全ての農家の動向を確認し、現状の把握に努め、農業を志す魅力を高められる指標や目標値を研究すること。
第三に、こどもの居場所について、800か所以上を維持した上で、その居場所の質を向上していくために、こどもの居場所に関わる多様な関係機関や民間団体が有機的に連携することができる体制の構築に努めること。
第四に、「子育て支援の充実」について、こどもの貧困の連鎖の解消に関する指標として「生活保護世帯に属するこどもの高校等進学率」を把握するとともに、その指標を向上するための取組を行うこと。
次に、第61号議案に対する附帯決議案の内容を申し上げます。
第一に、ヤングケアラーへの支援について、小学生や中学生、高校生などのヤングケアラーの実情を把握した上で、適切な支援を推進すること。
第二に、結婚や妊娠・出産、子育てに関する情報発信について、産後ケア事業などの市町村が実施する事業についても、情報の収集及び整理を行った上で、県民に対して分かりやすい情報の発信に努めること。
第三に、プレコンセプションケアの推進について、思春期のこどもが、身近な場所で性に関する様々な相談をすることができるよう、市町村における相談体制の整備を支援するとともに、その相談内容に応じて、産婦人科などの医療機関をはじめとした関係機関との連携を図り、必要な情報やサポートを提供することができるよう、市町村への支援に努めること。
第四に、こどもの居場所について、800か所以上を維持した上で、その居場所の質を向上していくために、こどもの居場所に関わる多様な関係機関や民間団体が有機的に連携することができる体制の構築に努めること。
第五に、「こどもの貧困」対策の推進について、こどもの貧困の連鎖の解消に関する指標として、「生活保護世帯に属するこどもの高校等進学率」を把握するとともに、その指標を向上するための取組を行うこと。
以上の内容であります。
続いて、採決いたしましたところ、総員をもって両附帯決議を付すことに決した次第であります。
以上、審査経過の概要について申し上げましたが、本委員会の付託案件につきましては、今回をもって審査を打ち切ることに決した次第であります。
以上をもちまして、本委員会の報告を終わります。

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