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ページ番号:266584

掲載日:2025年3月26日

令和7年2月定例会 「予算特別委員長報告」

委員長 高橋   政雄

予算特別委員会における審査経過の概要について、御報告申し上げます。
本委員会に付託されました案件は、議案21件であります。
初めに、部局別質疑を3月11日から17日までに5日間行い、集中的に審査を行いました。
以下、論議のありました主なものについて申し上げます。
まず、「市町村の地籍調査が進まない要因をどのように捉えているのか。また、令和7年度はどのような対応を考えているのか」との質疑に対し、「地籍調査が進まない要因は、財政的な問題、人材不足、ノウハウがないことと捉えている。そのため、国の補助制度などがあることや業務委託ができることについて丁寧に説明するほか、研修会等を実施している。また、今年度に行った市町村へのアンケートでは、事業計画などの基礎的な調査への支援を求める声があったため、来年度から地籍調査準備支援事業を新たに予算計上している」との答弁がありました。
次に、「昨年度の予算特別委員会の附帯決議において、幼稚園教諭の更なる処遇改善を求めたが、令和7年度当初予算案においてどのように反映しているのか」との質疑に対し、「令和4年度から実施している処遇改善については、幼稚園の負担割合を現行の4分の1から8分の1として、更なる軽減を図る。また、これに加えてキャリアアップ等につながる処遇改善を新たに設けた」との答弁がありました。 
次に、「リチウムイオン電池の広域回収・資源化モデルを県全体に普及すべきと考えるが、どのように採算に乗せていくのか。また、市町村に普及させるためにどう関わるのか」との質疑に対し、「再資源化事業者が採算の取れる状態とするためには、リチウムイオン電池等を種類別又は製品別に分別し、かつ、収集量を確保することが必要である。また、適正な分別回収からリサイクルまでの一連のルートを構築することは非常に重要であり、市町村にもメリットを感じてもらえるよう、来年度作成するマニュアルで整理して、多くの市町村が参加できるようにしていく。加えて、収集したリチウムイオン電池等の仕分作業の負担が大きいため、仕分せずに廃棄物として処理業者に引き渡し、処理業者がレアメタルを回収するルートも構築していく」との答弁がありました。
次に、「多様な居場所づくりの観点から、こども・若者計画に記載されている居場所のほかにも、ユースセンターやユースクリニック、また、障害者の18才の壁と言われる夕方の居場所づくりも必要である。多様な居場所づくりは、具体的なイメージを持って進めていくべきと思うがいかがか」との質疑に対し、「こどもの居場所は、様々なこどもたちのニーズに沿う形で多様なものがあるべきである。国のこどもの居場所づくりに関する指針の中で県に求められている、市町村支援や広域的な環境の整備にしっかりと取り組んでいく」との答弁がありました。
次に、「県営水道の管路の更新に係る予算は限られている状況であるが、安全なインフラとして維持管理できるのか」との質疑に対し、「管路の更新に当たっては、老朽度、耐震適合性、断水時の被害の影響度を指標とし、優先度を評価して整備を行う。そのため、優先度の高い地区から実施する計画であり、計画どおり進めることで安全かつ強靭な水道施設を構築していく」との答弁がありました。
次に、「訪問看護師の育成と確保について、どのような対策を講じているのか」との質疑に対し、「新たな訪問看護師の確保のため、訪問看護ステーションにおいて、看護学生や潜在看護師を対象に在宅現場における体験実習を行い、訪問看護への理解を図っている。また、育成の観点から、二次保健医療圏ごとに実践的な研修機会を提供している。さらに、事業所支援として、適正な診療報酬の請求を行うための医療事務研修の実施や、管理者が事業所の運営実務について相談できる窓口を設置するなど、多角的な視点で対策している」との答弁がありました。
次に、「空き家バンクの充実や住宅ストックの新たな利用促進策が非常に重要と思うがどうか」との質疑に対し、「空き家バンクを充実させる取組として、空き家バンクの設置支援マニュアルの作成や、紹介動画を発信している。新たな促進策として、令和6年度から空き家バンクに登録された物件の改修費の補助などを行う市町村への財政的支援を行っている」との答弁がありました。
次に、「昨年度の予算特別委員会の附帯決議において、中高一貫教育校の設置について検討を求めたが、検討状況はどうなっているのか」との質疑に対し、「県内外の中高一貫教育校などを訪問し、設置後の効果や課題について伺った。中高一貫教育校の設置については、今後の児童生徒数の減少や市町村への影響について慎重に見極める必要があるため、総合的な見地から引き続き検討していく」との答弁がありました。
次に、「埼玉版FEMAについて、能登半島地震の教訓も踏まえ、今後注力していく項目はどのようなものか。また、今年度の指揮命令権者演習の成果と今後の方向性について伺う」との質疑に対し、「能登半島地震では、発災直後に通信障害による混乱が生じた。そのため、来年度は通信途絶状況下での対応をテーマに訓練を行う。これに加えて、できるだけ多くの団体に参加いただき、関係機関で何ができるのかをしっかり把握していく。また、指揮命令権者演習については、ブラインド方式により行い、災害対応能力の向上が図れた。加えて、マニュアルどおりの対応ができないため、想像力や対応力などの重要性を強く認識できた。この訓練については、引き続き繰り返し行っていきたい」との答弁がありました。
このほか、主な質疑事項として、バーチャルユースセンターの設置・運営の改善、イネカメムシの広域防除対策、ロボット産業の育成支援、橋りょうの計画的な維持管理、交通事故抑止対策の強化などについて質疑がありました。
次に、総括質疑を3月19日に行い、更に慎重な審査を重ねました。
以下、論議のありました主なものについて申し上げます。
まず、「県庁舎再整備の推進について、令和7年度から2年かけて基本構想・基本計画を策定するとのことだが、現在地建替えとなった場合の浦和美園地区の活用も並行して議論することが重要である。最も重要な場所の選定については、令和7年度中に行うことで、次のステップに進みやすいと考えるがどうか」との質疑に対し、「令和7年度は、主に基本方針や機能等を整理する基本構想の相当部分を、令和8年度は、主に建物配置を含む施設計画等を整理する基本計画の相当部分を策定する予定である。施設計画等を整理していくために、令和7年度中に位置を決定できるよう検討を進めていく。浦和美園地区の活用についても、同時並行で検討を進めたい」との答弁がありました。
次に、「農業技術研究センターの本所については、畜産における防疫対応には、県民が相談に訪れる際にも消毒が必要となるため、機能をしっかりと分ける必要があると考えるがどうか。また、久喜試験場に関しても、研究成果を地域に還元できていないことから、センターの大きな再編が必要であると考えるがどうか」との質疑に対し、「本所は、家畜伝染病予防法上の基準に基づいて対応が可能な見通しになっており、防疫動線や立入りの制限区域などの見直しを検討したい。また、久喜試験場は現時点ではトマトの次世代技術の実証普及や果樹研究等を行っているが、今年度、旧園芸用ハウスを解体して更地になった土地もあるため、この活用方策の検討も含め、更なる技術開発と活用について検討していく」との答弁がありました。
次に、「質の高い学校教育の推進について、私立高校の授業料無償化に対する知事の所見はどうか」との質疑に対し、「高校授業料の無償化については、保護者の経済的負担を軽減するという観点からは望ましいと考える。一方で、私立高校は経営的な観点から人口が密集し交通の利便性も高い地域に立地することが多い。仮に私立高校への進学が増加すると、公立高校は私立高校の経営が成り立たない地域や専門学科、定時制課程を担うことになり、結果として地方の財政負担が増加しかねない。そのため、公立高校への支援の在り方や公私の役割分担について、国において幅広い議論が行われる必要があると強く感じている」との答弁がありました。
次に、「歯科医師会が運営する口腔保健センターについて、県直営の他の施設に比べて、診療報酬収入で賄えない赤字に対する県からの補填が明らかに少ない。現在の負担割合を改め、県が補填すべきではないか。また、機器更新にかかるコストに関しても県が全額負担するべきと考えるがどうか」との質疑に対し、「安定的に診療を提供することが大切という観点から、県と歯科医師会との間で、診療報酬などの収入で賄えなかった分の2分の1を負担することで合意しているが、近年では2分の1までの補填に至っていない。歯科医師会側から要望がある場合には、改めて財政支援を検討するよう協議したい。また、設備や備品の更新については計画的な更新が必要であるが、歯科医師会からは現時点では検討を行っていないと聞いている。今後、しっかりとした計画に基づいた更新の要望があった場合、協議を行う準備はある」との答弁がありました。
このほか、主な質疑項目として、北部地域振興交流拠点の検討推進、「渋沢MIX」におけるイノベーションの創出、サーキュラーエコノミーの推進、医師確保対策、里親委託の推進、教育相談等支援体制の充実などについて質疑がありました。
次に、討論及び採決を3月24日に行いました。討論では、第1号議案に反対の立場から、「パスポート書面申請料金や運転免許証手数料を引き上げたことなど、物価高騰と実質賃金低下に苦しむ県民に対し負担増を盛り込んでいることから反対する」との討論がありました。そのほか、第8号議案、第18号議案、第19号議案及び第21号議案についても反対の立場から討論がありました。
一方、第1号議案に賛成の立場から、「橋りょうの耐震補強や河川堤防整備等の防災減災対策のほか、保育士の処遇改善や児童福祉士の増員、DXによる教職員の働き方改革推進などの予算が計上されている。安全安心な生活の基盤づくりと、一人一人の個性と自由が尊重された社会の実現へ向けた予算が確保されたものと高く評価し賛成する」。また、「福祉、医療、障害者支援の充実など、将来を見据えた持続可能な地域づくりを基本に、県民の命と暮らしを守る施策に重点が置かれている。警察官増員など、県民生活に直結する分野に十分な予算が確保されており、高く評価し賛成する」との討論がありました。
以上のような審査経過を踏まえ、採決いたしましたところ、第1号議案、第8号議案、第18号議案、第19号議案及び第21号議案については多数をもって、第2号議案ないし第7号議案、第9号議案ないし第17号議案及び第20号議案については総員をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
その後、附帯決議が提案されました。「『第1号議案令和7年度埼玉県一般会計予算』について、事業の執行方法に関して、以下の適切な対応を求めるものである。
第一に、順天堂大学医学部附属病院の撤退に伴い、県内の医師確保対策は急務であるため、奨学金制度や医療機関への支援の充実に努めること。
第二に、もうかる農業の実現のため、農業技術研究センターの業務の効率化を図り、研究成果をより発揮できるよう、ソフト・ハード面の充実を図ること。
第三に、高校授業料実質無償化に対応するため、今後の県立学校の魅力向上を含めた在り方の検討を行うこと。
第四に、県庁舎の建替えについては、令和7年度中に場所の選定を行うとともに、選定されなかった候補地の利活用を含めた議論を行うこと。
第五に、人材流出と人材不足が顕著な、保育士・幼稚園教諭・児童養護施設職員・介護士・看護師等について、更なる処遇改善を講じること。
第六に、障害児者等に対して歯科診療を行う埼玉県歯科医師会口腔保健センターについて、設備の更新と運営費補助の在り方に関して、他の公設5施設との整合性や公平性を考慮した支出に改めるよう努めること。
第七に、教職員の駐車場費用負担について、勤務校による不公平が生じないよう、統一的な基準を早急に検討し、公平性を確保するよう努めること」
以上の内容であります。続いて、質疑を行い採決いたしましたところ、総員をもって附帯決議を付すことに決した次第であります。
以上をもちまして、本委員会の報告を終わります。

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