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掲載日:2023年7月4日
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5月21日に、金屋共同稚蚕所において蚕を各農家に配る配蚕(はいさん)の作業が行われました。配蚕は稚蚕所や養蚕農家にとって、最も忙しい作業です。
金屋共同稚蚕所でも、稚蚕所や農家の方々が休むことなく配蚕作業を行う様子を見学することができました。
蚕を配座紙で包む
この段階での蚕は3齢です。前回見た蚕よりだいぶ大きくなり、2cmくらいに育っていました。蚕は本当に成長が早いですね。
配蚕の作業では、蚕座紙(さんざし)という専用の紙で、蚕を飼料ごと慣れた手つきで包んでいきます。長年にわたり、繰り返しこの作業を行っているので、作業がとても素早いです。
蚕座紙に包まれた蚕は、農家の方々によって運ばれて行きます。蚕が繭になるまで、農家で飼育されるのです。
蚕座紙を束ねる。
農家に出荷される蚕
一致団結して作業をこなす、にぎやかな配蚕の風景を見ることができました。それだけ長い間、蚕と親しんで過ごしてきたのですね。蚕を知らない私のような若者世代には、それがどんな生活だったか想像がつきません。
出荷の準備をする稚蚕所や農家の方々とお話をしている際に、かけていただいた言葉の中で印象に残ったものがありました。それは、
「若い方なのに、蚕を怖がりもせず、養蚕について興味を持ってくれて嬉しい」
という言葉です。
こう言われたとき、若者世代とシニア世代の間にある壁のようなものが消えたような感じがしました。それは、蚕が二つの世代を繋いだような感覚です。
金屋共同稚蚕所では、養蚕体験の授業をする近隣の3か所の小学校に、蚕を分けているそうです。以前は多くの周辺学校で養蚕体験の授業を取り入れていたそうですが、蚕を怖がる人が増えたため、養蚕体験をする学校は減少してしまったそうです。今では、子供など若者世代が蚕に触れる機会がほどんどなくなってしまいました。
だからこそ、稚蚕所や養蚕農家の方々がこうして頑張っている今のうちに、養蚕について知ることが大事なのではないでしょうか。一昔前まで、人は蚕と親しんで生活してきました。蚕は、その方々の生活の一部だったと言えます。蚕を知るということは、蚕と慣れ親しんできた方の生活を垣間見ることであり、私たちの歴史や文化について改めて考える機会になるのではないでしょうか。
稚蚕所や農家の方々は、出荷準備で忙しいにも拘らず、養蚕について興味を持って養蚕のお話を伺う私をあたたかく迎え入れてくれました。蚕に触れる機会がほとんどない若者世代が養蚕に興味を持ち、シニア世代に教え伝えてもらうことができれば、両世代の相互理解を深める道が開かれるのではないでしょうか。
蚕は、若者世代とシニア世代を繋ぐ生き物かもしれません。
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