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Q 田村琢実 議員(自民)
先般、我が会派、性暴力・性被害根絶プロジェクトチームにおいて、実父に性的虐待を受けられた女性のお話をお伺いする機会を得ました。壮絶な家庭内性被害の実態は想像を絶する状況であり、彼女は実名公表することで被害の根絶に向けた取組とともに、被害に遭われている方々の相談支援を行っております。
家庭内性被害は、密室の家庭で行われるため外部に知られにくく、家族だからと我慢を強いられる傾向が強く、何をされているのか分からないという自己認識の限界により、未就学児から思春期の子供の被害が多いことが指摘されています。
また、証明が非常に困難であり、被害に遭われた児童生徒の精神的、身体的影響は大きく、成人後も性的トラウマとなって人間関係に悪影響を及ぼすと言われています。
そこで、根本的な解決に向けた取組を行っていく必要があります。家庭内性被害の防止には、法整備や社会的支援の強化が必要ですが、特に学校教育機関での対策が政策効果を大きく発揮するものと考えます。
第1に、包括的性教育の積極的推進です。
ユネスコ等が策定した国際セクシュアリティ教育ガイダンスにのっとり、体や生殖にとどまらず、性の多様性や性的同意などのコミュニケーションを年齢レベルごとに学ぶことで、子供や若者が健康で安全な生活を送るために必要な知識とスキルの向上を推進します。例えば、幼少期にプライベートゾーンを守ることを教えることで、性的虐待に遭遇したときにおかしいことをされていると気付かせ、相談することが可能となります。
第2に、性的虐待救済カードの創設、普及です。
子供が自身で体に対外的加害を感じたときに、担任の先生などへ他人に知られることなくSOSを発信するシステムの構築です。また、相談を受けた側が隠蔽することのできないシステムも必要です。
以上の取組について、教育長にお伺いいたします。
また、性的虐待事案は、事実の自己認識の限界から証明が困難であり、教育機関、警察捜査、児童相談所、病院との連携がとても重要となります。中でも、関係書類の保存は大切であります。被害児童生徒に寄り添った対応が取れるように、1人の担当者がワンストップで対応できる体制も必要と考えます。知事の所見をお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
一人の子供の人生を台無しにしかねない性的虐待は、決して許されない言語道断の行為であり、その対応には関係する様々な機関が協力して取り組む必要があります。
まず、学校において、児童生徒への性的虐待の疑いを把握した場合、生徒指導主任や養護教諭などが担当者となり、校内の関係者で情報共有を図るとともに、一元的に対応することとしております。
詳細を教育委員会に確認したところ、対応に当たって収集した情報は、校長や教頭の集中管理の下、適切に保存していると聞いております。
事態を把握した場合に、学校は、速やかに児童相談所や市町村に通告し、その後、児童相談所が関係機関と連携して対応しております。
議員お話しのとおり、性的虐待事案については、被害児童の感情にも配慮しつつ、二次被害を防止しながら寄り添った対応を行えるよう、関係機関との連携が特に重要です。
そのため、私をトップとする埼玉県児童虐待防止対策協議会において、様々な関係機関と学校現場での初期対応も含め、被害児童・生徒に寄り添った対応ができる体制について話し合うなど、性的虐待へのより適切な対応に向け取り組んでまいります。
A 日吉亨 教育長
まず、「包括的性教育」の積極的推進についてでございます。
児童生徒を、性的虐待を含む性暴力から守るために、学校教育において必要な知識やスキルを身に付けることは、重要と認識しております。
議員お話しの教育ガイダンスの内容は多岐に渡っており、学習指導要領との関連性からも全てを指導することは難しい面がございます。
一方、各学校では、性に関する指導や人権教育等において、性暴力についても取り扱っており、教育ガイダンスの趣旨には通じていると考えます。
また、県では、「子供を性暴力の当事者にしないための教育」を新たに第4期埼玉県教育振興基本計画に位置付けており、発達の段階に応じて、プライベートゾーンを守ることなど、適切に指導してまいります。
次に、性的虐待「救済カード」の創設・普及についてでございます。
児童生徒が性的虐待等を受けた際に、身近な教員に伝え、助けを求められるようにすることは、早期発見、早期対応を図る上で重要と認識しております。
議員御提案の「救済カード」は、性的虐待等を受けた児童生徒が、周囲に知られずに相談を行うのに有効な手段であると考えます。
県では、性的虐待等のSOSを発信できるようメッセージカードを作成し、県内公立小・中学校や県立学校の児童生徒に対し、配布してまいります。
また、被害の訴えがあった場合には、校長のリーダーシップの下、確実に外部機関と連携して対応するよう、改めて校長会議等を通じて、徹底してまいります。
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