トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 令和7年2月定例会 > 令和7年2月定例会 代表質問・一般質問 質疑質問・答弁全文 > 2月26日(水曜日) > 田村琢実(自民) > 令和7年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(田村琢実議員)
ここから本文です。
Q 田村琢実 議員(自民)
次に、児童養護施設の課題と施策の必要性について質問いたします。
児童養護施設では、親の死亡や虐待、貧困など、様々な背景を持つ児童が生活しております。埼玉県児童福祉施設協議会が作成した令和6年度基本調査集計表によると、昨年4月1日現在、県内では1,141人の児童が在籍しておりますが、昨今の状況で顕著なのが、虐待経験のある児童が782人と施設在籍者の68.5パーセントにも当たるのです。
また、特別支援学級等に通学している児童数は243人で21.3パーセント、さらに過去1年間、暴力、暴言等の処遇困難事案を発した児童は517人で45.3パーセントにも当たります。
昨年の代表質問でも児童養護施設の課題について触れさせていただき、これまでよりは半歩前進の施策が見られるようになりましたが、自立困難児童等に対して職員は多くの時間と労力を要し、その負担は増加の一途であるのが現状です。児童養護施設で働く職員は、奉仕の精神で最後のとりでを守っていただいています。
そこで、県の自治事務として、第1に、自立困難児童等に対する新たな加算施策が必要であると考えます。また、第2に、職員の増配置として心理職員の複数配置、事務職員の配置見直し等を実行することで、職員負担の軽減を図る必要性があります。第3に、児童心理治療施設の新設を早急に整備する必要があると考えます。知事の所見を伺います。
A 大野元裕 知事
議員お話しのとおり、児童養護施設には親からの虐待を受けていたり、発達障害や知的障害を抱えるこどもたちが数多く入所しておられます。
児童養護施設の運営費は、国が制度設計をしている措置費で賄われているため、お話しの自立困難児童等への新たな加算施策についても、国の責任で行うべきものです。
このため、県では、国に対して平成24年度から「知的障害児・発達障害児受入加算費」、令和4年度から「特別支援学校・学級児加算」を創設するよう要望しており、今後も引き続き国に対して強く要望します。
一方、児童養護施設の職員は昼夜を問わず、様々な事情を抱えたこどもたちに接しており、その苦労は並々ならぬものと受け止めています。
そのため県では、とりわけケアニーズの高いこどもが入所する児童養護施設において、こどもの特性に応じたきめ細かい処遇を行うために要する人件費の一部を補助しているところであります。
今後も、関係者のお声を伺いながら、児童養護施設の現場で働く職員に十分な光が当てられるよう全力で取り組みます。
次に、心理職員及び事務職員の配置見直しについてでございます。
県では、児童養護施設で働く職員の負担軽減を図る取組の必要性を感じており、児童養護施設が、安定的に職員の確保定着ができる体制づくりが何よりも大切だと考えています。
そのため、令和6年度から保育士や児童指導員などを対象に住居手当の上乗せ補助による処遇改善を図っています。令和7年度当初予算案では、心理職員などにも対象を拡大することとしています。
議員お話しの児童養護施設職員の増員配置については、国がその基準を定めています。
県内全ての児童養護施設が加入している埼玉県児童福祉施設協議会からも、業務負担や事務量が増大していることから、心理職員や事務職員の増員配置につき国に要望するよう強く求められております。
県では施設の規模や実情に応じ、心理職員や事務職員の適切な配置が実現できるよう毎年度国に要望しているところであり、今後も引き続き国に対し強く要望してまいります。
次に、児童心理治療施設の新設についてであります。
児童心理治療施設の新設については、土地の確保や、医師をはじめとする職員の確保、教育環境の整備、運営費用の負担など解決すべき様々な課題があり検討には時間が必要です。
県としては、地域で生活しながら心理ケアをすることは、こどもたちの利益につながるものと考え、まずは児童養護施設で心理ケアの必要なこどもの受入れが可能となるよう、当面は職員のスキルアップを図るなど施設の機能強化を優先すべきと考えます。
そのため、令和6年度から新たにモデル事業を実施して、児童養護施設の機能強化を図っているところです。
具体的には、児童心理治療施設の医師や心理士を派遣し、ケアニーズの高いこどもへの対応に苦慮している児童養護施設への支援を行っています。
既に支援を受けている児童養護施設からは「こどもへの対応方法を学べ、職員のスキルアップにつながっている」「職員の心理的負担の軽減やモチベーションの向上に寄与している」といった声が多く寄せられており、一定の成果が挙がっているものと受け止めております。
来年度も、このモデル事業を継続実施した上で、その効果を検証するとともに、児童心理治療施設の新設についても引き続き検討してまいります。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください