トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 令和6年12月定例会 > 令和6年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 > 12月11日(水曜日) > 戸野部直乃(公明) > 令和6年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(戸野部直乃議員)
ここから本文です。
ページ番号:262833
掲載日:2024年12月27日
Q 戸野部直乃 議員(公明)
出産予定日より早く、体重2,500グラム未満で生まれるリトルベビーは、発育や発達の遅れのリスクがあります。中でも、1,000グラム未満で生まれた超低出生体重児は更にリスクが高まり、多くの親は不安を抱えながら育てています。
先月11月17日の世界早産児デーでは、全国各地で写真展の開催や庁舎などにシンボルカラーの紫色のライトアップが行われ、社会の関心の高まりを感じました。
私は、地元上尾市で開催された、小さく産まれた赤ちゃんと家族の会「一歩」の写真展を訪れ、小さな命と向き合い、懸命に育てる御家族の記録に胸を打たれました。このような早産児の成長に寄り添うリトルベビーハンドブックは、全国で広がりを見せています。
埼玉県のリトルベビーハンドブックについては、令和3年12月定例会の一般質問で安藤友貴県議が取り上げ、その後、作成されるようになりました。現在、リトルベビーハンドブックは全国の都道府県で製本され、NICUや出産した医療機関で、主に1,500グラム未満のお子さんが受け取れるようになっています。
出産直後の母親は、おなかの中で育てられなかったと自責の念を抱き、今後の成長への不安を抱えています。そんなとき、NICUの職員に励まされ、掲載されている先輩ママの言葉を心の支えにするとともに、入院中のNICUでの記録は、退院後の通院や療育などの支援に役立ちます。
ところが、埼玉県では全国で唯一、県が作成したものを参考に市町村が製本し、窓口や保健師の訪問によって配布することになっています。NICUでの配布は行っておりません。その理由は、退院後、保健師からの支援につなげるためと、各市町村の情報を掲載するためとのことでした。
しかし、全国の多くの当事者は、一番つらいときに気持ちを理解して寄り添ってくれるNICU職員から受け取ることを望んでいます。このギャップを県に理解していただきたい思いで、「一歩」では、埼玉県版の適正運用を目指し、全国低出生体重児の保護者アンケートを実施しました。
この調査によると、80パーセントの方が「NICUや医療機関でリトルベビーハンドブックを受け取りたい」と回答しています。その理由に、前述のとおり、「NICUの職員からの声かけが心の支えになったから」という意見が多く見られました。一方、本県が行う保健師による配布を望んだのは12パーセントにとどまっています。他県では、こうした当事者ニーズを理解し、NICUでの配布を採用しています。
また、埼玉県では、医療機関に必要に応じた配布を依頼していますが、その際には、県ホームページからダウンロードして印刷する仕組みとなっています。リトルベビーハンドブックは、母子手帳と同じく、生涯残しておく宝の記録となるものです。製本したものを渡していくべきです。
そこで、当事者が望むように、リトルベビーハンドブックを県で製本し、NICUや医療機関で配布する体制を整えることについて、知事の見解を伺います。
A 大野元裕 知事
本県のリトルベビーハンドブックは、県が作成したデータを参考に、市町村が独自の子育て情報などを加えて主体的に作成し、きめ細かな対応を行うことができるようにしております。
低出生体重児とその家族への支援は、入院中だけではなく退院後も長く続くことから、地域の保健師が母親や家族に寄り添うことが重要と考え、市町村の保健師が配布しているのが本県の特徴であります。
出産後の不安な時期に母親に寄り添えるよう、保健師がNICUを訪問してNICUのスタッフと共に母親と面談をし、リトルベビーハンドブックをお渡ししている市町村もあります。
一方で、市町村は産科医療機関からの連絡などにより低体重のお子さんが生まれた情報を入手するため、保健師が母親と面談してリトルベビーハンドブックをお渡しするまでに日数が掛かることもございます。
議員お話しのとおり、リトルベビーハンドブックは、出産直後の不安な母親の心のよりどころとなることから、早くハンドブックの情報に触れられることも重要であります。
低体重のお子さんを迎えた母親の多様なニーズに丁寧に答えるため、ハンドブックの内容が掲載されている県ホームページにアクセスできるよう、二次元コードを母子健康手帳に掲載したり、当該コードを掲載したメッセージカードをNICUで配布できるようにするなど、市町村やNICUのスタッフなどの関係者の御意見を伺いながら丁寧に検討をしてまいりたいと思います。
再Q 戸野部直乃 議員(公明)
NICUでのQRコード付きカードを配布していくなど検討していくとのお話がありました。しかし、結局そこに書き込むことはできません。結局、印刷をすることになるのです。
県内のある大学病院の先生は、発達健診を受けるリトルベビーの保護者の中には、リトルベビーハンドブックが届いていないようだと指摘しております。県の実施している配布方法が本当に正しいか、疑問に思います。
また、全国の状況に詳しい坂東事務局長は、NICUで配布している自治体では、ほぼ全ての対象家庭にリトルベビーハンドブックが届いていると述べています。国から補助が出るという通達も出ています。県で製本することは、そんなに難しいことではありません。
NICUに保健師と出向く自治体もあるとのことですが、県内の市町村でハンドブックの配布に差が出ないよう、県は配布状況を把握し、確実に当事者に届くよう、県が製本して取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
再A 大野元裕 知事
先ほどお話がございましたリトルベビーハンドブックをNICUで配布せず、市町村が配布する場合には差が出る、あるいは結局書き込めないので代替措置を準備しても印刷をすることになる、あるいは届いていないとの指摘もある、こういったところ、それから、先ほどお話がございました、迅速に配布ができるというNICUで配布する際の長所、これらについて現在埼玉県で行っていることの短所であると私も思います。
他方で、妊産婦の支援について、市町村独自の情報が盛り込め、きめ細かい対応が可能になるであるとか、長い期間を構築する保健師との関係構築となるとなどの長所も私はあると思います。
こういった両方、長所と短所の両面があると考えており、様々な側面から観点から検討することが、利用される方にとっての、私は最善の利益に繋がると考えますところ、製本方法あるいは配布方法につきましては、市町村の御意見、あるいは低体重のお子さんを迎えられた母親の多様なニーズに答えられるよう、当事者の御意見もぜひお伺いをして、丁寧に進めさせていただきたいと思います。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください