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掲載日:2024年12月27日
Q 鈴木正人 議員(自民)
令和5年度埼玉県就労実態調査報告書によると、介護理由の退職者がいる事業所の割合は、中小企業で3.6パーセント、大企業になると、前年比1.6パーセントの8.5パーセントにも及びます。しかも、中小企業の産業別状況を見ると、介護離職による退職者がいると答えた業種が多かった1位が学術研究、専門・技術サービスで18.8パーセント、次に、運輸業、郵便業で12.5パーセント、3位には医療、福祉の7.2パーセントと、埼玉県経済発展のための先端技術や物流を支える方々や、皮肉なことに超高齢社会を社会全体で支えなければならない中で、医療や介護の職場で働いている方々が親族の介護のために離職をせざるを得ないという実態があるわけです。
究極の理想である介護離職ゼロを目指していかなければ、埼玉県全体としても経済面でも医療面でも大きな損失が続いてしまうのです。
埼玉県では、仕事と生活の両立支援相談やビジネスケアラー支援動画など頑張っていると思いますが、例えば両立支援の電話相談が平日の月水金の午前9時から午後4時半までと限られており、一生懸命に現在働いている方が相談できる時間帯と曜日設定になっていないのではないかと感じております。そうした方への対応として、24時間対応のインターネットでの相談体制もありますが、生身の人間でその道のプロである相談員さんと直接話をし、不安の解消や解決方法を見いだしていくことは、まだまだ大切なことだと考えております。
そこで、まず相談体制の強化のために電話相談の休日実施や時間帯の延長変更などの考えはないのか、産業労働部長にお尋ねいたします。
また、親族の介護でたとえ慣れた職場で休職ができたとしても、給料が全くもらえないなどの問題点があるという声をお聞きします。この問題の解決がなければ、介護離職はなくなっていかないと考えます。
東京都の行っている介護休暇制度や、テレワーク導入する企業を支援し働き方改革を進める両立支援モデル企業の育成や、ビジネスケアラーも含まれる山梨県のケアラー支援推進本部を設置するなどの先進事例もある中で、我が埼玉県は介護離職ゼロを目指し、今後どのような施策を展開し、強化を図っていくのでしょうか。
ケアラーを支えるという観点から福祉部長に、県経済を支えていくという観点から産業労働部長にそれぞれお尋ねいたします。
A 目良聡 産業労働部長
まず、両立支援電話相談の休日実施や時間帯の延長変更についてです。
県では、平成30年度から、介護や子育て、病気治療などで仕事の継続に悩んでいる方を対象とした「仕事と生活の両立支援相談窓口」を設置し、平日週3日の電話相談とインターネット相談を実施していますが、利用者は必ずしも多いとは言えない状況が続いております。
働いている方が介護に直面したときに最も大切なことは、一人で抱え込まないで周りに相談して理解や支援を求めることと聞いております。
こうした悩みの受け皿でもある電話相談につきまして、より多くの方の支援につながるよう、議員の御提案も踏まえ、相談時間・受付時間の見直しや効果的な周知方法について検討してまいります。
次に、県経済を支えていくという観点から、今後どのような施策の展開と強化を図っていくのかについてです。
国の将来推計では、2030年時点の介護離職者は11万人にのぼり、両立困難による労働力減少や生産性低下がもたらす経済損失は約9.1兆円になると試算されています。
本県においても高齢化が急速に進展する中、介護離職は企業にとって重大な経営課題であり、県経済にも深刻な影響をもたらす恐れがあるものと認識しております。
県では、仕事と生活の両立を支援するため、テレワークや短時間勤務など働き方改革に取り組む企業を「多様な働き方実践企業」に認定し、優良事例をロールモデルとして広く周知することにより、介護などの事情を抱えた人が働き続けられる職場環境づくりを後押ししております。
来年4月には改正育児・介護休業法が施行され、事業者には介護中であることを申し出た従業員に対し、介護休業に関する自社の両立支援制度や国の給付金等について周知することなどが義務付けられます。
県では、福祉部と産業労働部が連携しまして、法改正の周知を図るとともに、セミナー開催等を通じて、県内企業に従業員の介護実態の把握や管理職の意識の変革などを促進し、介護離職防止にしっかりと取り組んでまいります。
A 細野正 福祉部長
今年度スタートした「第2期ケアラー支援計画」では、仕事をしながら介護をする、いわゆるビジネスケアラーやその予備軍に対する支援を新たな計画の柱に据え、より一層取り組んでいくこととしています。
望まない介護離職を防止するためには、一人で抱え込まずに、早い段階で介護の身近な相談窓口である地域包括支援センターとつながり、仕事と介護の両立のための準備をしていただくことが何より重要です。
しかしながら、地域包括支援センターを知らない方が多いことから、第2期計画では、認知度を令和5年度の43.7%から、令和8年度には70%まで引き上げることを目標として取り組んでいます。
今年度は、「家族の介護は一人で抱え込まないこと」や「地域包括支援センターに、まず相談する一歩を踏み出すことの重要性」について、タレントを起用したメッセージ動画を作成し、電車内や商業施設など、県内各地で放映いたしました。
また、介護における事前準備の重要性や地域包括支援センターの活用について、実際のビジネスケアラーや地域包括支援センターの職員がインタビュー形式で分かりやすく伝える配信動画を作成しました。
この配信動画は、産業労働部と連携して企業を通じて従業員に周知するほか、YouTube広告も活用するなど、様々な手段や媒体を活用し、多くの方に見ていただけるよう工夫してまいります。
望まない介護離職の防止に向け、ビジネスケアラーやその予備軍の方が、一人で抱え込まず早期に声を上げて相談に結びつくよう、しっかりと取り組んでまいります。
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