トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 令和6年12月定例会 > 令和6年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 > 12月12日(木曜日) > 鈴木正人(自民) > 令和6年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(鈴木正人議員)
ここから本文です。
ページ番号:262943
掲載日:2024年12月27日
Q 鈴木正人 議員(自民)
埼玉県経済の持続的発展や県民が充実のできる好景気にしていくには、県民の所得、さらに言えば、実質賃金や可処分所得が上がり、個人消費が活発にならなければなりません。
従業員5人以上の事業所から調査した埼玉県の毎月勤労統計調査によりますと、ボーナス等を含む毎月の賃金の平均額が示されている現金給与総額の推移は、令和元年の月平均28万7,873円、年間ベースで345万4,476円で、令和5年の月平均28万9,873円、年間ベースで347万8,476円となっており、この5年間の伸びは月平均で2,000円、年間ベースでは2万4,000円と僅か0.7パーセントの増にとどまっております。
これを物価変動の影響を除いた賃金の実質的な価値を示す実質賃金で見て、令和2年度を100とした場合の過去5年間を比較すると、令和元年の100.5から始まり、以降はマイナス0.5パーセント、マイナス1.5パーセント、プラス2.8パーセント、マイナス4.0パーセント、マイナス3.1パーセントと下がった年が多く、令和5年度には95.6と、令和5年の名目賃金は前年度比0.3パーセント増の28万9,873円だったものの、物価上昇の影響も大きく、実質賃金は3.1パーセント減少をしております。
このことから、物価上昇が賃金の実質的な価値を押し上げていることが明らかですが、これでは県民の皆さんの財布のひもが固くなるのも当然で、個人消費は伸び悩み、埼玉県経済の成長と発展を阻害しているものと考えます。
国も県も物価高対策を行っているものの、実質賃金の上昇や個人消費の活発化には至っておりません。埼玉県経済を強く安定的に成長させるためには、県民の実質賃金の向上、手取りを増やす政策が必要であると考えます。
自由民主党では、世界で日本しか通用しないプライマリーバランス黒字化目標を大切と考え、財政健全化を重視する税制調査会の方がいる一方、西田昌司参議院議員の率いる積極財政派の財政政策検討本部の党内での理解者も増えてきております。今後は積極財政派が主導権を握るのではないかとの臆測も出ております。
我が埼玉県も失われた30年から脱却し、実質賃金を上げるためにも、一昔前にはやったケチケチ大作戦から、県としての可能な限りの積極財政路線に転換するべきです。また、国に対して今や財政常識から否定されてきている緊縮財政をやめるべきだと要望し、地方に財源をもっと渡していただくことで、好景気による県民所得の向上と埼玉県経済の持続的成長につながると考えております。
県民所得、特に実質賃金が上がるための経済対策について大野知事はどのように考え、今後どのような施策を展開しようと考えているのか、知事に御所見をお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
私は就任以来、企業利益の増加が個人所得の向上につながる「成長と分配の好循環」の実現を目指してまいりましたが、成長のためには、適切な価格転嫁や賃上げに向けた環境整備が必要です。
まず、価格転嫁の円滑化については、令和4年9月に産・官・金・労の12者により「価格転嫁の円滑化に関する協定」を全国に先駆けて締結し、ワンチーム埼玉で取り組んでおります。
この結果、埼玉県四半期経営動向調査では、本年9月時点で6割以上価格転嫁ができた企業の割合が初めて5割を超えるとともに、価格転嫁が進んだ企業は賃上げの実施率が高い傾向が分かりました。
議員御指摘の令和5年の実質賃金は減少いたしましたが、これらの取組によってか、国の毎月勤労統計調査においても、本県の9月の実質賃金は前年同月比3.2パーセント増となり、9か月連続で増加をしているところでございます。
また、現在、国において議論されている年収の壁の見直しについても、働き控えが減り、キャリアアップのインセンティブとなり、更には賃上げをもたらし、企業の機会逸失を防ぐ等の効果が期待されることから、私は賛成であり、地方への財政的な配慮と合わせて包括的、段階的な見直しにつき、しっかり議論いただくことを期待しております。
議員お話の西田参議院議員などが主張する積極財政論については、20年以上前以来多くの国会議員が参加する勉強会が開催され、盛んな議論が続いてきたことから、私もよく存じ上げております。消費の喚起は重要ながら、当時の議論のベースであった需要が生産を引き上げることができた時代から、需要が増えても生産が追い付かない生産力不足の時代に入りつつあるとの専門家の指摘も相次いでおり、分配のための原資を生み出すためには、企業の生産性向上や新たな価値の創出が重要な時代となったと考えております。
生産性向上の鍵となるDXの推進については、「埼玉県DX推進支援ネットワーク」を国や経済団体、金融機関等と立ち上げ、企業のデジタル化のステージに応じた支援を行っています。
また、新たな価値の創出に向けては、サーキュラー・エコノミーを推進するとともに、イノベーション創出拠点「渋沢MIX」の開設に向けた準備や「(仮称)SAITAMAロボティクスセンター」の整備を進めております。 引き続き、企業の稼げる力を高め、県民所得の向上につなげられるよう、効果的な経済対策を先手先手で実行してまいります。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください