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掲載日:2023年3月17日
予算特別委員会における審査経過の概要について、御報告申し上げます。
本委員会に付託されました案件は、議案21件であります。
初めに、部局別質疑を3月7日から9日までに3日間行い、集中的に審査を行いました。
以下、論議のありました主なものについて申し上げます。
まず、「収入証紙廃止後のキャッシュレス化について、最終目標が定まっていないと感じるが、どのように考えているのか」との質疑に対し、「県民や事業者が自宅や事業所で手続が完結することを最終目標としている。そのため、電子申請システムを活用した電子収納を原則としている。今後も県民や事業者にしっかりと周知し、県庁一丸となって進めていく」との答弁がありました。
次に、「デジタル化を進め、効率的な社会をつくっていくためには、アナログ的な手法の廃止に向けた具体的な工程を示すべきと思うが、どうか」との質疑に対し、「国のアナログ規制の点検・見直しマニュアルでは、アナログ規制の見直しに向けた工程表を作成することとなっている。今後、工程表を作成する際には、各手続の見直し期限を明記していきたい」との答弁がありました。
次に、「令和4年7月に埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例が成立したが、本条例に基づき、令和5年度はどのような取組を行うのか。また、性的マイノリティの方が安心して働けるように取り組む企業を登録する制度があるとのことだが、登録状況や取組内容についてはどうか」との質疑に対し、「性的マイノリティの理解増進を図る企業へ講師を派遣し、ケーススタディを用いた実践型研修を行うなど新たな取組を展開していく。また、登録企業については、令和5年3月末時点で金融業など26社の登録を見込んでいる。取組内容として8項目40指標を設けており、一つでも該当すれば登録することができる。今後もしっかり広報を行い、登録企業を増やしていく」との答弁がありました。
次に、「令和4年9月定例会の環境農林委員会で、次世代施設園芸埼玉拠点の取組と現状について行政課題報告が行われ、『実証技術を導入する農業者数等の目標設定を行った上で、導入促進施策を展開する必要がある』など、様々な指摘がなされたが、令和5年度当初予算にどのように反映したのか」との質疑に対し、「施設園芸パイオニア技術推進事業の先進機器導入補助を大幅に拡充する。また、農業技術研究センター費に次世代施設園芸埼玉拠点と県の実証ラボに係る研究予算を計上するとともに、先進園芸技術の導入を進めるために、先進園芸技術導入推進体制構築調査事業を新設した」との答弁がありました。
次に、「介護職員の確保・定着のためには、処遇改善が重要である。近年の処遇改善加算の取組により、どの程度賃金が改善したのか。また、処遇改善は十分と考えているのか」との質疑に対し、「平成24年度に介護職員処遇改善加算、令和元年度に介護職員等特定処遇改善加算、令和4年10月に介護職員等ベースアップ等支援加算が設けられ、令和3年度時点の事業所における賃金改善月額は56,157円である。しかし、現在も全職種と比較すると、そこまでの水準に達しておらず、少なくとも、全職種と同程度の水準となるよう、引き続き処遇改善に取り組んでいく」との答弁がありました。
次に、「観光地域づくりを牽引するDMOの機能強化のため、事業本部長を外部登用するとのことだが、その能力が遺憾なく発揮されるよう、どのように職場環境を整えていくのか」との質疑に対し、「独立性を持ち、自由な発想で能力を発揮できるよう、事業本部長がDMOの意思決定に関与でき、予算の執行権を持てるようにするなど、既存の体制を変換していく」との答弁がありました。
次に、「県内の不登校児童生徒数は10,000人を超えているが、そのうち約4割の児童生徒は担任教諭以外の相談や指導等を受けていない。県立戸田翔陽高校内に令和4年5月に開設した、不登校生徒の支援教室『いっぽ』の目的や今後の取組を含め、不登校対策をどのように考えているのか」との質疑に対し、「同校には、小中学校時代に不登校の経験をした生徒が多く在籍しているため、『いっぽ』に通う市内の中学生が、『自分も高校生になって頑張ろう』と自信を持つことにつながると考えている。また、同校の生徒が、自分たちも不登校でつらい思いをしてきたことから、勉強を見てあげたい、一緒に活動したいといった思いで協力してくれており、『いっぽ』を設置した意義は大きい。子供たちが自ら考え、将来を切り開いていく力をどのように身に付けさせるかということが、不登校対策において重要であり、引き続き、しっかり取り組んでいく」との答弁がありました。
次に、「県内の消防団について、団員不足による活動の低下が見られる。消防団の現状をどのように認識しているのか。また、その認識を踏まえた来年度の取組はどうか」との質疑に対し、「若年層の人口減少など消防団を取り巻く環境の変化により、特に、20代、30代の入団者数が著しく減少している。若年層の入団を増加させるためには、若い世代が、消防団を身近なもの、自分事として認識する必要がある。そのために、同世代の現役消防団員が出演するPR動画を作成し、県の公式動画サイトへ掲載するほか、新たに立ち上げた埼玉県消防団ポータルサイトに掲載することで、興味を持った方が、ワンストップで入団申込みまでできる仕組みとしていく」との答弁がありました。
このほか、主な質疑事項として、税務行政におけるDXの推進、サーキュラーエコノミーの推進、犬猫の殺処分対策、高度浄水処理施設の整備、埼玉版流域治水対策、空き家対策の促進、交通安全施設の整備などについて質疑がありました。
次に、総括質疑を3月13日に行い、更に慎重な審査を重ねました。
以下、論議のありました主なものについて申し上げます。
まず、「政策効果がより高い事業を構築するため、事業の再検証をゼロベースで行い、一般財源ベースで約43億円の財源確保を図ったとのことである。今後、義務的経費が増えていく中で、削減できる余地は、ますます狭くなっていくが、どのように財源を確保していくのか」との質疑に対し、「見直しの対象となる一般財源の総額1兆6,579億円のうち、既に義務的経費は1兆5,358億円となっており、将来における削減余地がより狭くなってくると想定しなければならない。そのため、まずは政策的に自由に活用できる財源に対してEBPM等を進めていくことが大事だと考えている。また、義務的経費の中でも、例えばデジタル化等を進めることによって削減できるものがないか横串を刺して見直してきたところである。手法は違うが、政策的に自由に活用できる経費と義務的経費の両方を見直していく」との答弁がありました。
次に、「DXの今後の方向性について、県内事業者のDX化への支援が重要だと考える。県庁内はDX化が進んできたという印象を持っているが、県民や県内事業者の利便性向上は、これからだと感じる。埼玉県四半期経営動向調査によると、DXに関心がない事業者は20%、分からないと回答した事業者は29.1%であり、合わせると半数近くの事業者がDXから取り残されていると思われるが、どう考えるのか」との質疑に対し、「事業者におけるDXへの取組については、それぞれの事業者が置かれた条件によって異なるので、まずは、事業者に対する利便性を高め、そして、好事例を横展開していくことが必要と考えている。DXビジョンロードマップの中では、令和5年度末では事業者のDXへの取組割合をまだ半数としている。それを少しずつ拡げることが事業者にとって最も利益を実感できるものになると考える」との答弁がありました。
次に、「パートナーシップ・ファミリーシップ制度について、制度を導入することにより、当事者への励まし、安心感につながる。また、制度導入が起爆剤となり、各方面に多くの影響や効果を生み出す。一部では、同性婚を認めると、社会の在り方、価値観及び家族の在り方が変わってしまうと考える人もいるが、これは正に当事者に対する人権への配慮を怠ったものである。このような考えのある社会を変えていく必要があるのではないか」との質疑に対し、「パートナーシップ・ファミリーシップ制度というものが仮にあるとすれば、それは国において、夫婦関係あるいは家族の関係等に鑑み法律でしっかりと規定をするものであり、憲法との関係等で、国において、しっかりと議論するべきものである。しかし、権利やそれに関する制度については、県が大いに関係するところであり、個々に関わる制度については見直しを進めており、LGBTQの方の権利、そして、今後の未来について励ますような形で、あらゆることを行っていきたい」との答弁がありました。
このほか、主な質疑項目として、スポーツの振興、障害児者施設整備、子育てファミリー応援事業、自殺予防対策、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴う医療体制、ポストコロナに向けた産業振興、地域医療の充実などについて質疑がありました。
次に、討論及び採決を3月15日に行いました。討論では、第1号議案に賛成の立場から、「児童虐待防止対策では、警察との連携強化、市町村の児童相談体制の強化を支援するなど県を挙げて取り組む姿勢について評価でき、いじめや不登校対策では、課題に対応するためスクールソーシャルワーカー等の拡充などの取組について評価できることから賛成する」。また、「LGBTQへの支援、児童相談所及び一時保護所の整備、さらに、特別支援学校増築のほか、医療的ケア児への対策など、『誰一人取り残さない』を掲げ、就任以来取り組んできた知事の姿勢にふさわしいものと評価し賛成する」との討論がありました。そのほか、第8号議案及び第21号議案についても賛成の立場から討論がありました。
以上のような審査経過を踏まえ、本委員会に付託されました議案21件について採決いたしましたところ、いずれも総員をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
その後、附帯決議が提案されました。「『第1号議案令和5年度埼玉県一般会計予算』については、新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行されることに伴い、約3年間続いたコロナ禍での社会生活は新たな局面を迎えるが、ロシアのウクライナ侵略に起因する物価高騰等によって、財政運営には大きな懸念がある。こうした先行き不透明な社会情勢の中、正に持続可能な誰一人取り残さない社会の構築が不可欠であるが、政策の実効性に懸念を抱かざるを得ない事業が散見された。ついては、事業の必要性や執行方法について十分検討し、適切な対応を求めるものである。
第一に、県証紙廃止後の収納については、コストが増大しているとともに、利用者の真の利便性を踏まえているとは言えない。未来像を見据えてバックキャスティングの発想で確実に進めること。
第二に、県庁舎の再整備に当たっては、他の拠点整備に影響を与えることのないよう早期に目標期限を定めること。
第三に、大宮公園陸上競技場兼双輪場については、老朽化により陸上競技場としての機能は既に喪失しているとともに今後のコストの増大が明らかであり、大宮スーパー・ボールパーク構想の阻害要因となっている。大宮公園陸上競技場兼双輪場の使用期限を明確にするとともに、民間資金・ノウハウを活用した施設整備を前提に検討し、それらを活用できない場合は一場体制も視野に期限を決めて検討すること。
第四に、性の多様性を尊重した社会づくりの推進のため、県として、電子申請等の当事者が利用しやすいパートナーシップ及びファミリーシップ届出制度の導入を検討すること。
第五に、埼玉版スーパー・シティプロジェクトの目指すコンパクトで持続可能なまちづくりについて、明確な将来像を示すこと。また、参加市町村に対する支援の在り方について検討すること。
第六に、子育てファミリー応援事業については、当事者目線と物価高の現状も踏まえつつ、県民のニーズも多様であることから子育て世帯に対する支援を効果的に行うため、現金給付を検討するとともに支給額の増額を検討すること。
第七に、保育人材の確保に向けて、月例給与に対する県単独の上乗せ補助を検討すること。また、奨学金返済支援等を拡充すること。
第八に、乳幼児医療費助成制度について、子育て世帯の経済的負担軽減、市町村の財政的負担軽減の観点から、助成対象年齢の引上げと所得制限の撤廃について検討すること。
第九に、埼玉県コバトン健康マイレージ事業については、医療費抑制効果と健康寿命の延伸について、調査及び検証結果を明らかにした上で、市町村移管を行うとともに経過を把握すること。
第十に、埼玉県物産観光協会(DMO)の職員採用にあたり、県は世界に通用する取組強化のため、知見と実績を有する人物を採用できるよう支援するとともに、能力が発揮できる環境を整えること」
以上の内容であります。続いて、質疑並びに附帯決議に反対の立場から討論があり、採決いたしましたところ、多数をもって附帯決議を付すことに決した次第であります。
以上をもちまして、本委員会の報告を終わります。
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