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掲載日:2023年3月17日

令和5年2月定例会 「環境農林委員長報告」

委員長 木下 博信

環境農林委員会における審査経過の概要について、御報告申し上げます。
本委員会に付託されました案件は、議案7件及び請願2件であります。
以下、これらの議案等に関して行われた主な論議について申し上げます。
まず、環境部関係では、第54号議案について、「脱炭素分散型エネルギー社会構築事業について、補助申請が見込みを下回った理由は何か。また、事業の進捗への影響はないか」との質疑に対し、「埼玉版スーパー・シティプロジェクト推進補助金の活用を見込んでいた市町村事業について、国庫補助金を活用できたことや、事業の実施時期等が変更になったことなどによるものであり、事業の進捗に大きな影響は出ていない」との答弁がありました。
次に、農林部関係では、第45号議案について、「県営土地改良事業に要する経費負担のうち、ほ場整備事業について、農業後継者を増やすためには、ほ場を大型化することでコストダウンを図り、農家の負担を軽減する必要がある。他県では、県の負担率を上げ、農家の個人負担を軽減している。本県でも、市町村を通して、農業に携わっている方の意見を踏まえ検討する必要があると思うがどうか。また、農家の個人負担を軽減する取組を行う考えはあるか」との質疑に対し、「国のガイドラインに基づき県の負担を定めるのが一般的であり、ガイドラインを超えた負担割合を採用することは難しい。一方で、地元負担金が事業推進の障害となっていることは課題と考えており、地元負担のない埼玉型ほ場整備事業で取り組むなど、個人負担が軽減される制度等を活用している。県としても、新しい事業制度の検討も含め、市町村と協力しながら、地元負担を軽減できる方法を工夫していく」との答弁がありました。
このほか、第30号議案ないし第32号議案についても活発な論議がなされ、第46号議案及び第60号議案については、執行部からの詳細な説明をもって、了承した次第であります。
以上のような審査経過を踏まえ、本委員会に付託されました議案7件について採決いたしましたところ、いずれも総員をもって、原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
次に、請願について申し上げます。議請第2号につきましては、不採択とすべきとの立場から、「グリーントランスフォーメンション実行会議や各省における審議会等での議論を踏まえ、本年2月、『GX実現に向けた基本方針』が閣議決定された。同基本方針は、安全性の確保を原子力活用の大前提とし、エネルギー基本計画を踏まえて、原子力を活用していくため、原子力の安全性向上を目指し、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設に取り組むことや、既存施設の活用のため、現行制度と同様に『運転期間は40年、延長を認める期間は20年』との制限を設けた上で、原子力規制委員会による厳格な安全審査が行われることを前提に、一定の停止期間に限り、追加的な延長を認めることとしている。また、原子力規制委員会も、運転開始から60年を超える原子力発電所の安全規制に関する新制度案を了承している。原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、その判断を尊重するべきである」との意見が出されました。
次に、採択すべきとの立場から、「政府は将来にわたり、原子力発電所に依存し続ける姿勢を打ち出したが、原子力発電所が一度事故を起こせば、住民に甚大な被害を与えることは福島第一原発事故で明らかである。大事故の教訓を忘れ、新たな安全神話を作り出す原発回帰は許されるものではない」等の意見が出され、採決いたしましたところ、賛成少数をもって不採択とすべきものと決した次第であります。
次に、議請第3号につきましては、不採択とすべきとの立場から、「汚染水の取扱いについては、大量貯留に伴うリスクや今後の廃炉工程に対するリスクを踏まえ、経済産業省に設定された小委員会などにおいて検討が行われ、令和3年4月に、国際放射線防護委員会の勧告に沿って定められている規制基準を、厳格に順守することを前提に、国内で放出実績がある点やモニタリング等を確実かつ安定的に実施可能である点を評価し、海洋放出を選択することが決定された。その後、本年1月に、政府は、『具体的な海洋放出の時期は、本年春から夏頃』と、今後の見込みを発表したところである。政府は、安全性確認のため、第三者機関であるIAEAによる処理水安全性レビュー等を継続して実施しており、昨年5月には、IAEA事務局長が『IAEAは、処理水が太平洋放出される際に、それが国際基準に完全に適合した形で実施され、放出は環境にいかなる害も与えることはないと確認できる』とコメントしている。ALPS処理水への対応方法については、専門家の技術的な議論を踏まえて、その判断を尊重するべきである」等の意見が出されました。
次に、採択すべきとの立場から、「海洋放出は、政府及び東京電力が、関係者の理解なしにはいかなる処分も行わないとした福島県漁業協同組合連合会との文書約束を反故にするものである。時間をかけ、関係者との協議を行うとともに、ALPS処理水の陸上保管を継続し、トリチウム除去の技術開発を進めるべきである」の意見が出されました。
さらに、趣旨採択すべきとの立場から、「海洋放出については、地域関係住民の不安や風評被害を考えると、慎重にならざるを得ない。一方で、処理水の陸上保管を続けることにも、場所の問題やタンクの老朽化等のリスクがあるなどの意見があることも事実である」との意見が出され、採決いたしましたところ、賛成少数をもって不採択とすべきものと決した次第であります。
なお、当面する行政課題として、環境部から「埼玉県地球温暖化対策実行計画(第2期)改正案について」の報告があり、種々活発な論議がなされましたことを申し添えまして、本委員会の報告を終わります。

第50号議案〈急施議案〉

副委員長 深谷 顕史 

環境農林委員会における審査経過の概要について、御報告申し上げます。
本委員会に急施を要するとして付託されました案件は、第50号議案のうち農林部関係の1件であります。
以下、この議案に関して行われた主な論議について申し上げます。
まず、「水利施設管理強化事業では、維持管理費に占める電力量等の割合が25パーセント以上の施設管理者を対象にするということだが、具体的にはどのような土地改良区が対象となるのか」との質疑に対し、「対象としては、農業用水のうち、特にパイプラインや揚水機などを管理している比較的大きな土地改良区と、余り人件費をかけずに作業等に対応しているような比較的小さな土地改良区を想定している。現在、葛西用水路土地改良区、川島町土地改良区、豊里東部土地改良区など、七つの土地改良区から、本事業への申請意向があると伺っている」との答弁がありました。
また、「輸出対応型畜産物処理加工施設整備事業では、民間事業者の輸出に向けた食肉処理施設及び部分肉加工施設の整備に要する経費の一部を支援するということだが、どのような事業計画なのか。また、本事業の効果は何か」との質疑に対し、「民間事業者1社を対象として、国庫事業を活用し、輸出に対応した牛の食肉処理施設などを3年かけて整備し、主にアジアに向けた輸出を行っていく計画である。本事業の効果のうち、施設側のメリットは、付加価値の高い食肉の供給が可能となることから、集荷力の向上が見込まれ、また、高値での取引が期待でき、経営安定につながることである。さらに、県内の肉用牛農家から、本施設への出荷頭数の増加を図ることで、本県の肉用牛農家の経営安定につなげていくことができると考えている」との答弁がありました。
以上のような審査経過を踏まえ、本議案について採決いたしましたところ、総員をもって、原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
以上をもちまして、本委員会の報告を終わります。

 

  • 注意:氏名の一部にJIS規格第1・2水準にない文字があるため、第1・第2水準の漢字で表記しているものがあります。

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