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掲載日:2023年3月23日
環境科学国際センター研究課題(資源循環・廃棄物担当/R1~R3)
石綿含有建材目視判定法の評価
(資源循環・廃棄物担当:川嵜/R1~R3)
石綿含有建材の不適正処理に由来する問題は、毎年多数生じています。埼玉県では2009年に空地に敷設された再生砕石の中から石綿含有建材片が見つかり、全国的な石綿不適正処理問題へと波及しました。当担当では、それ以前から建築物解体や廃棄物処理における石綿含有建材の現場判定の必要性及び分析の簡略化の観点から、石綿含有建材目視判定法の開発に取り組んできました。これまでの検討では、判定に影響する石綿の含有量、繊維の形状、大きさ、他繊維の混合状況等の要素を明確にした解析を十分に行っていませんでした。本研究では、人間が建材中の石綿繊維の有無を判断するときに注目する要素を同定した建材を準備し、石綿の現場判定が必要な人々に目視判定テストを行い、各要素に対する解析によって、石綿含有目視判定法を精査することを目的としています。
令和4年度第2回研究審査会コメント
研究課題
石綿含有建材目視判定法の評価
研究審査会コメント
- アスベストの判定は極めて重要な技術であり、埼玉県の施策への貢献も極めて高いと考えられます。将来的には、技能者の持続的確保も問題なることも予想されることから、今後、ロボットやAI技術の導入は必要になります。しかし、それまでの間、人的に行うために極めて重要な技術であると同時に、被験者を用いて得られた結果も重要です。得られた結果を基に、性格と誤判断率との関係の間の傾向、検査に携わっている時間内における、疲労に伴う誤判断率の変化の傾向や、判断にかかる時間の変化の傾向など、これまで得られてきた結果を再整理することで、更なる興味深い結果が得られそうです。また、これらを改善するための注意点など、改善に向けた重要な指摘は重要な指針になります。さらに、こうしたことから得られる結果は、人間工学的に重要な結果であり、様々な現場に応用可能な技術です。
- 石綿含有建材は深刻な健康被害を生じさせますが、完全に除去することが困難な問題です。本研究により、新たな法改正にも対応した成果が得られました。
- 目視判定テストの結果の解析、その傾向の研究者による考察だけでなく、受験者に対して、どのあたりが難しかったかのヒアリングなどを行うのも良いかと思いました。あるいは含有か非含有かだけでなく、回答にどのくらい自信があるかについても一緒に答えてもらうのも良いのかもしれません。(視力検査で、1.2や1.5などの大きさまでなると「なんとなく」でも答えて当たってしまうこともありますが、その感想も一緒に答えて頂くイメージです。)
- 目視判定法のさらなる向上のため、スマートフォンの同定アプリ等の新技術導入も検討していただきたい。
- 建材の石綿含有有無判定能力の向上という、実用的にきわめて重要なテーマに取り組まれ、一定の成果を出せたものと評価します。誤答(とくに「ネガティブ誤答」)が起こる原因について、対象となる建材の物理的な要因だけでなく、誤りの原因に関する本人の意見などを考慮に入れたさらなる解析を目指していただけたらと考えます。