With You さいたま > 講座・イベント > 講座終了報告 > メンズプロジェクト講座 男同士が語る どうしたら痴漢をなくせるか~痴漢撲滅に向けた埼玉からの発信~
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ページ番号:148533
掲載日:2019年4月3日
日時 |
平成31年3月2日(土曜日) 14時00分から16時30分 |
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場所 |
埼玉県男女共同参画推進センター |
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参加者 |
93名 |
他都県への通勤、通学者数が多く、その時間も長い埼玉県。列車内の痴漢被害が多いことで知られています。痴漢は、毎日くり返される通勤、通学のなかに潜む性暴力です。痴漢をなくし、男性にも女性にも安心・安全な社会にするための課題について、前半は、『男が痴漢になる理由』著者である斉藤章佳さんの講演、後半は、斉藤さんとライターの武田砂鉄さんとの対談により考えました。
『男が痴漢になる理由』著者で、性犯罪防止プログラムを行っている斉藤章佳さんから、加害者臨床を通して見えてきた痴漢加害者の実像をお話しいただきました。
一般的に抱かれがちな痴漢のイメージと、実際の痴漢加害者は大きく異なることを具体例をもとに紹介されました。痴漢加害者の約6割が「四大卒」「妻子あり」「サラリーマン」で、「自分となんら変わらないように思えた」と話す齊藤さん。誰もが自分の中の加害者性に自覚的になることが大事ということでした。
加害者は警察に逮捕されないことを最重要と考えており、痴漢を実行する場所や時間を選び、声を上げそうにない人を対象とすることや、「目が合った女性は痴漢されたいと思っている」と考えるなど認知の歪みがあり、被害者の苦しみや痛みなど、被害者の存在は抜け落ちていることなどをお話しいただきました。
また、痴漢は、男尊女卑の社会を背景に行われる構造的な問題として考える必要があり、性暴力を性欲の問題だけでとらえると本質を見誤ってしまう。男尊女卑的価値観が世代を超えて学習されていることが問題であり、痴漢の問題は、その学習の場として大きな役割を果たしている家庭の問題ともいえる。性犯罪をなくすためには、第1次予防としての性教育、第2次予防としての早期発見・早期治療、第3次予防としての再発防止プログラムという仕組みが必要というお話しがありました。
後半は、斉藤さんの講演を受けて、斉藤さんと、ライターの武田砂鉄さんとお二人で、加害者像を深掘りしながら、どうしたら痴漢をなくせるかについて語り合っていただきました。
対談では、テレビなどで「こういう人が危ない」という痴漢のわかりやすいイメージが流されているが、実際の痴漢はそれとは異なること。現実に、どういう場所で、どういう人が痴漢を行っているかという実態は知られていないこと。被害は日常的に起きており、被害者は毎日自尊心を削られていること。そうした中で、「ただ、触られるだけで大事に至らないでよかった」などと周りが判断してしまうのは問題だといったことが語られました。そして、お二人からは、加害の実態と被害の体験を知ることが重要というお話しがありました。
また、男性が職場や家庭で感じるストレスの発散として、匿名性の高い電車内で痴漢行為を繰り返すのは、男尊女卑の考え方が背景にあると同時に、男性が自分の弱さを認識することに恐怖心を持っていることが背景にあるというお話がありました。そのため、男性が自身の弱さや辛さを認めてオープンになり、人に助けを求め、相談ができるようになることが大切だという話になりました。
質疑応答の時間にも活発なやりとりがありました。
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