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掲載日:2024年12月27日
Q 永瀬秀樹 議員(自民)
全国的に保育士不足が課題となっている中、令和6年1月の埼玉県の保育士の有効求人倍率は4.03倍で、全職種平均の1.01倍と比べ極めて高い水準で推移し、多くの自治体において保育士確保に苦慮している状況です。
保育士確保の鍵となるのは、保育士の待遇改善。保育所等の運営費の財源となる施設型給付費や地域型保育給付費を算定する際に用いられている法定価格における地域区分は、保育士の給与水準を左右するもので、国家公務員の地域手当に準拠しています。そのため、隣接している自治体で異なる地域区分となっている場合は、保育士確保に顕著に影響を及ぼしており、特に東京都特別区と隣接している県南部の自治体でその格差は大きく、東京都の20パーセントに対して、川口市、草加市、戸田市、三郷市、八潮市などは6パーセントと大きな開きがあります。
こうした現状の中、本年は国家公務員の地域手当の見直しが行われる年であり、その改善が期待されていましたが、8月に公表された人事院勧告は、東京都特別区は20パーセントが維持されたまま、県南部の自治体は逆にまさかの4パーセントへと引き下げられるというものでした。このまま保育士の公定価格に反映されることになると、地元で働くのではなく、地域区分が高い自治体での勤務を選択する方が増え、更に保育士の確保が困難な状況となります。
私は、平成30年6月の議会定例会において保育士の処遇改善について質問させていただき、以来、事態改善に向けて取組を続けてきました。本年10月10日には、霞が関にあるこども家庭庁に赴き、地域区分を是正するよう要望活動を行ってまいりました。
この問題の本質は、生活圏域が同じである隣接した自治体間で、国の公定価格における実情とかい離した誤った地域区分により賃金格差が発生していることであり、早期に是正されることを望みます。県は、国に対して保育の公定価格における地域区分については、人事院勧告どおりとするのではなく、地域の実情を踏まえ独自の基準を設け、実情とかい離した自治体間格差の是正を図るよう要望していただきたい。
今年度、介護保険の地域区分が変更され、隣接した地域区分の格差が5級地以上である場合は、著しい格差是正のため、地域区分を変更する特例が認められました。要望に際し、こうした特例措置の適用など、隣接地域間における格差是正を強く要望していただきたい。
また、県に対しては、隣接地域間における地域区分の格差が2区分以上である場合等は、地域区分の格差が是正されるまでの当面の間、市町村に対し、賃金補助などの積極的な財政支援をお願いしたいと考えますが、いかがでしょうか。知事の御所見をお聞かせください。
A 大野元裕 知事
保育の公定価格は、保育士の給与を含む保育所の運営収入について国が定めるものであり、まずは8月の人事院勧告による国家公務員の地域手当の級地区分及び支給割合の見直しが保育の公定価格にそのまま適用されることがないよう、あらゆる手段を尽くして国に働き掛けることが第一であると考えます。
このため、9月には、本県選出の国会議員に対して状況説明を行うとともに、私自らこども家庭庁に赴き、県市長会と合同で工藤彰三前内閣府副大臣に要望をいたしました。
さらに、11月25日には、全国知事会で、「保育の公定価格の地域区分の設定に当たっては、隣接地域や同一の生活圏を構成する周辺地域との地域区分差に配慮し、地域の実情を十分に考慮してもらえるよう、全国知事会として強く要請していただきたい」旨を発言し、各知事からも御賛同を頂きました。
その結果、翌日に開催をされました「こども政策に関する国と地方の協議の場」において、全国知事会の子ども・子育て政策推進本部長である三日月大造滋賀県知事から三原じゅん子内閣府特命担当大臣に対し、本県の都県境で生じる保育所の年間運営費収入の格差の拡大の例を示しながら、地域区分の設定はそれぞれの地域の実態に応じた配慮を行うよう強く要請をしていただいたところであります。
今後も、保育の公定価格の地域区分の設定に当たっては、人事院勧告どおりにするのではなく、地域の実情を踏まえ、実情とかい離した自治体間格差の是正を図るよう、国に対し要望をしてまいります。
次に、特例措置の適用など隣接地域間における格差是正を強く要望するべきについてであります。
介護については、議員お話しのとおり、特例が認められ、例えば川口市では、今年度から支給割合が従来の6%から10%へと引き上げられたところであります。
他方、保育の公定価格の地域区分の設定に当たっては、現在、国が公定価格の地域区分の内容を検討中であることから、まずは今回の人事院勧告による地域手当の見直しをそのまま適用せず、現在の水準を超える地域区分及び支給割合に設定するよう強く要望することが第一であると考えます。
引き続き、あらゆる手段を尽くし国に強く働き掛けを行ってまいります。
次に、県による賃金補助など積極的な財政支援をすべきについてであります。
私は、保育士への最善の処遇改善は、国が定めている給与の原資となる公定価格の見直しであると強く認識しており、まずは国に対し、あらゆる手段を尽くし働き掛けてまいります。
他方で、国への要望が実現するまでの間は、保育士確保に効果的な取組を県独自に実施、継続していくことも重要と考えます。
県では、保育士自身に直接支援が届く処遇改善策として、就職準備金の貸付けや宿舎借上補助の県独自の上乗せのほか、保育士への奨学金返済支援を行っています。
これらの施策を引き続き行うとともに、国への働き掛けを強め、本県の保育行政の後退がないよう全力を尽くしてまいります。
再Q 永瀬秀樹 議員(自民)
3問目の御答弁の中で私がお聞きしておりますのは、この問題の本質は、生活圏域が同じである隣接した自治体間で、国の公定価格における実情とかい離した地域区分により賃金格差が発生していることである。そのために格差が是正されるまでの間は時間がかかりますので、その地域に対する対策を求めているものであります。
知事の御答弁では、全県一律的な保育士の処遇改善に対する対策を県は行っているというふうには受け取れますが、地域限定の内容に関する答弁内容が若干薄い感じがいたしますので、再度お聞きいたします。
再A 大野元裕 知事
まず、私たち埼玉県といたしましては、県南部の特例のみならず、県全体について人勧をそのまま適用することは、決してよいものではない、受けることができないということを、これまでも主張して参りました。
他方で、県南部における影響が金額的には大きいことも事実であり、副大臣等への要望に際しましては、東京23区と隣接する川口市や戸田市などの自治体、もしくは、入間市や所沢市等の影響について具体的に申し上げさせていただき、90人定員の保育所の年間運営収入での試算においての格差が、さらに139万円、先ほど申し上げた川口市や戸田市では広がること、また所沢市や入間市では、これまでプラスであった3%がマイナス12%になることによって1,042万円に格差が拡大することなどを具体的に申し上げ、その上で全体についての適用を見直していただきたいというふうに要望をさせていただいたところです。
再々Q 永瀬秀樹 議員(自民)
私のお聞きしておりますのは、国に対する要望ではなく、3点目として、県としての、生活圏域が同じであるにもかかわらず、隣接する地域間において、地域区分により賃金格差が発生しているこの是正が行われるまでの間、県としての全県一律ではない対応も考えるべきではないかという問いを発しておりますので、そのことに対して、今の再質問でも国に対する要望ではなく、私のお聞きしておりますのは、県の対応についてお聞きしておりますので、そのことの答弁が薄いと感じられますから、もう一度お聞きいたします。
再々A 大野元裕 知事
保育士の公定価格につきましては、私どもとしては、まず国として公定価格の見直し及び全県一律での自動的な適用を行うべきではないという考えでございますが、これに対して生じる影響につきましては、全ての地域で同様に影響が起きること、さらにはそれらの地域によって格差が生じるという状況はそのとおりでございますけれども、直接保育士の方々に届く措置については全県一律で検討してまいりたいと考えております。
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