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掲載日:2024年12月27日
Q 永瀬秀樹 議員(自民)
近年、中央省庁でミッション、ビジョン、バリューの策定が広まっています。MVVとは、組織の理念を社会的使命であるミッション、目指す組織像であるビジョン、価値基準であるバリューの3点から明示したものであり、組織、運営、経営を言語化したもの、組織が一丸となって目標に進むための基盤となり、組織の長期的な成長と成功を実現するための鍵となるもので、世界中の多くの組織や企業で策定されています。
MVVは、策定の過程において組織の方向性の共有を図り、組織内に浸透させ、実践度合いを人事評価に反映させることでエンゲージメントを高め、組織力の総合的な強化を引き出すことができるとされています。さらに、市民、県民、国民といった様々な属性と生活文脈を持つ多様なステークホルダーとの共通理解が極めて重要となる行政領域にとっては、未来のイメージを明確に言語化するMVVは、コミュニケーションを高めるための効果的な手段となると考えられます。
人口減少が進み、官民問わず人材の獲得競争が激しくなる中、昨年度の国家公務員の総合職採用試験申込者数は約1万8,000人、2012年度の約2万5,000人から約10年で3割も減少し、今後、より人材確保が難しくなっていくと考えられます。一方、若い世代には意識変化があり、若者世代が企業や組織を選ぶ際に、仕事をする過程で感じる楽しさや社会貢献感が大きな比重を占めるようになり、組織理念を重視する傾向が強まっています。
こうした背景を受け、中央省庁においてもMVVを策定し、存在意義や組織の戦略の方向性を明確に示し、人材獲得や働きがいの向上、組織の外とのコミュニケーションの強化につなげる狙いがあると考えられます。
既に、経産省、デジタル庁、特許庁、人事院で策定され、財務省も組織理念を定め、各地の地方公共団体においても策定に取り組む動きが始まっています。
東京都庁と隣接する本県においても、令和6年の一般行政職の採用試験受験者数は921人、10年前と比べ実に962人も減少し、合格率は6.9倍から2.4倍と大幅に低下しており、優秀な人材確保の難しさが顕在化しています。
また、退職者数、退職者率も、昨年度は20代が49人、3.5パーセント、30代が71人、3.7パーセントと、若年世代が上昇傾向であり、業務が複雑化し働き方や人材が多様化する中、組織の一体感や働きがいをいかに高めるかも課題であり、待遇や昇進制度の改善以外の何らかの対策が必要と考えますが、いかがでしょうか。
県は、埼玉県5か年計画、彩の国人材開発ビジョン、埼玉県行財政改革プログラムにおいて、県の将来像や職員のあるべき姿、3年間の行財政改革の方針を示すなど、人材確保と組織の一体化に向けた取組を行っているところではありますが、現在、県庁としてのあるべき姿を示す明確な組織理念が示されているとは言い難い状態と存じます。
県は、5か年計画と行財政改革プログラムの中間年に当たるこのタイミングにおいて、人材確保と離職率、定着率の改善などの課題解決を図り、さらに、県民という多様なステークホルダーとの共通理解を深め、より県民のために持続的に成長できる組織となることに向け、新たにMVVの策定に取り組んではいかがでしょうか。知事の見解をお聞かせください。
A 大野元裕 知事
まず、「MVVの策定について」のお尋ねのうち、待遇や昇進制度の改善以外の対策の必要性についてでございます。
議員御指摘のとおり、待遇や昇進制度は、職員にとって重要なモチベーションの要因ではありますが、それだけでは組織の一体性や働きがいを高めることは難しいと考えます。
組織としての一体性を高めるためには、部下を持つ立場の職員に人材育成に対する意識を高く持たせ、個々の職員の意欲・能力を高め、県庁一丸となって業務を遂行するマネジメント力が求められます。
また、職員が働きがいを感じながら職務を遂行するには、それぞれ職員が能力を磨き、成果を上げ、自己の成長を実感することが重要であると考えます。
そこで、「彩の国人材開発ビジョン」に基づき、職場管理者のマネジメント力の向上や若手職員等の自己実現につなげる庁内副業制度、アップスキリングの推進等に努め、誰もがやりがいを持って能力を発揮できる職場づくりを進めております。
意欲ある職員が目先の業務に追われることなく、これらの取組に集中して自らを高めるためには、業務プロセス改革が不可欠であります。DXの第二段階に入った今、引き続き、強力にタスク・トランスフォーメーションも推進してまいります。
次に、新たにMVVを策定することについてであります。
組織の使命や目指す将来像、行動指針をMVVとして共有・発信することで組織力を高め、共感する人材を引き付けられるとの考え方から、民間企業のみならず、省庁や自治体の一部においても策定の動きが出ています。
本県では、MVVという位置付けではありませんが、ミッションに相当する「本県が果たすべき使命」として、「日本一暮らしやすい埼玉の実現」というコンセプトを県5か年計画に掲げています。その中でも未来に向けたミッションとして、県が直面する二つの歴史的課題への対応を明確にしております。
また、ビジョンに相当する「目指すべき将来像」として、「安心・安全の追究」「誰もが輝く社会」「持続可能な成長」の3つを5か年計画に位置付けているところであります。ミッションに相当する課題への対応に対しては、まちづくり、防災、経済等の分野で具体的な未来の将来像も示しております。
さらに、バリューに相当する行動指針として、「彩の国人材開発ビジョン」の中に、人材の確保や育成、職場環境の整備に関する取組を明記し、全庁で推進するとともに、DXを前提として人間にしか担えない創造的業務の推進に向けたTX及びアップスキリング等の人材育成についても示しております。このように、本県のMVVに相当するものは既存の計画等に位置付けられており、これらをMVVという形で改めて情報発信することが人材確保や定着率の改善等に寄与するか、見極めていく必要があると考えています。
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