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Q 飯塚俊彦 議員(自民)
埼玉県は昭和40年代、「埼玉ダナー」で全国1位の生産量を誇るいちご王国でした。その後、栃木県や福岡県など他県の台頭や「とちおとめ」を代表とする他県品種の躍進があり、市場出荷は減少、味を重視する直売や摘み取り農園が拡大してきました。そして時代が変わり、今再び埼玉のいちごは注目されています。しかも、今回は生産量でなく、その味、食感が脚光を浴びています。
先日、熊谷市にある農業技術研究センターを訪問し、本県オリジナル品種である「あまりん」や「かおりん」の育成者の方から話を伺いました。育成に当たっては、何よりも味を重視して選別を繰り返して、約8年の歳月をかけ、ようやく品種登録にたどり着いたそうであります。記録よりも記憶に残るいちごが誕生したのであります。
「あまりん」「かおりん」に加え、近年新たな品種登録された「べにたま」は、県内各地で栽培されており、直近の栽培面積は合計で約30ヘクタール。これは県内のいちご栽培面積95ヘクタールの約3割に当たり、年々大きく栽培面積を伸ばしています。今後、栽培面積全体の約4割、40ヘクタールを目指すと聞いています。これらの品種以外にも、工夫を凝らし、甘くおいしいいちごを栽培している生産者が大勢いらっしゃいます。
さらに、県内の生産者が栽培したいちごは、日本野菜ソムリエ協会主催の全国いちご選手権で5回連続、最高金賞受賞という好成績をおさめています。その圧倒的な評価により、本県は最もおいしいいちごを生産している県として、同協会から2年連続、かつ全国唯一の「プレミアムいちご県」に認定されました。多方面から高い評価を得ている本県オリジナル品種ですが、生産者はもちろん市場や販売店、消費者からも更なる生産拡大を要望する声が上がっています。
そこで、本県のいちごをめぐる今後の展開について、以下3点を農林部長にお伺いいたします。
まず、生産量についてです。これほど高い評価を受けている本県オリジナル品種を今後どのように生産拡大していくのか。そのためには苗の増産が非常に重要であると考えます。いちごの苗は、7月、8月の猛暑期間に育成する必要があることから、特に高齢の方などは苗の栽培が困難であると伺っています。そこで、苗の増産に向けた今後の取組について伺います。
次に、海外への輸出です。高級ブドウの火付け役でもある「シャインマスカット」や高級かんきつ類である「デコポン」は、苗が無断で持ち出され、海外で大量に栽培されているという事態が発生しています。本県オリジナル品種であるいちごも、海外への流出が懸念されますが、どのような対策を取っているのでしょうか。その対策についてお伺いいたします。
最後に、味の維持向上についてです。生産量が増えていくと、どうしても味のばらつきが懸念されます。本県のいちごは、味で評価されていることを忘れてはなりません。そこで、味を維持向上していくための取組についてお伺いいたします。
A 横塚正一 農林部長
まず、「苗の増殖に向けた今後の取組について」でございます。
県オリジナル品種の生産は、県種苗センターが供給する親苗から各生産者が実を取る苗、いわゆる実取り苗を生産し、その苗を栽培施設に植える方法で行っています。
このため、県オリジナル品種の生産を拡大するためには、親苗と実取り苗の生産量を増やすことが重要です。
まず親苗については、県種苗センターが生産している他県育成品種の生産量を減らし、県オリジナル品種の生産量を拡大しています。
次に実取り苗については、生産者の課題に応じた対策に取り組んでいます。
実取り苗の生産では、病害虫の発生などにより、必要な苗数が確保できなくなるという課題があります。
そのため県では、今年度から、生産者が実取り苗を確実に生産できるよう、泥跳ねによる病害の発生を防ぐための潅水装置などの導入を支援しています。
また、高齢者や新規のいちご生産者は、労力や生産技術の不足から実取り苗を生産することが難しいという課題もあります。
このような生産者に対しては、実取り苗を供給する体制を整備することが必要です。
そのため、県内の5法人が実取り苗を生産・販売できる体制の整備を支援し、次の作付けから本格的に苗の供給を開始します。
さらに、民間事業者と連携し、最先端の養液培養技術を活用した実取り苗の増産実証にも取り組んでいます。
現在、県農業技術研究センターでの栽培試験に加え、県内43か所で実証を行っており、令和9年度からの実用化を目指しています。
これらの取組により、生産者が必要とする苗数を確保できるよう、県オリジナル品種の苗を着実に増産し、生産拡大につなげてまいります。
次に、「海外への流出防止について」でございます。
県オリジナル品種は、県と契約した者以外に苗が流出しないよう、適正に保護することが必要です。
このため、現在全ての品種で、種苗法に基づき海外への持ち出しを制限しています。
その上で万が一、海外へ流出した場合に備え、中国と韓国における無断増殖を防ぐため、両国の法律に基づく品種登録を進めています。
すでに、中国において「あまりん」「かおりん」、韓国において「かおりん」「べにたま」が品種登録されており、残りの品種についても手続きを行っています。
引き続き、県オリジナル品種の海外への流出を防ぎ、国内外で県オリジナル品種の苗が不適正に利用されないよう努めてまいります。
次に、「味を維持・向上していくための取組について」でございます。
県オリジナル品種は、食味が評価され高値で販売されていることから、今後とも全ての生産者が消費者に感動を与える美味しいいちごを生産することが重要です。
美味しいいちごを作るためには、花が咲いてから収穫するまでに一定以上の期間を確保する必要があります。
しかし、近年の温暖化等により栽培施設内の温度が高くなると、短期間で赤く着色してしまい、糖度が不十分となってしまいます。
このため県では、栽培施設内の過度な温度上昇を防ぐための遮光資材等の整備を支援しています。
他方、食味の維持・向上には、生産者自身が美味しいいちごを作るという意識を持つことが大変重要です。
このため、本年度から、県と農業団体、生産者が連携し、食味向上運動を展開しています。
具体的には、他の生産者のいちごの食味を客観的に認識してもらうための食味会を県内各地で開催し、いちごの試食とあわせ、糖度・酸度を測定するなど、食味向上への意識醸成を図っています。
また、普及指導員があまりんの生産者を巡回して糖度を測定し、結果に基づいた栽培指導を実施しています。
さらに、LINEアプリを活用した栽培に関するタイムリーな情報発信を行い、食味向上への意識醸成を図るとともに、適切な栽培管理を促しています。
これらの取組により、引き続きプレミアムいちご県の名にふさわしい美味しいいちごの生産を支援し、食味の評価の維持・向上を図ってまいります。
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