トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 令和6年12月定例会 > 令和6年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 > 12月12日(木曜日) > 杉田茂実(自民) > 令和6年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(杉田茂実議員)
ここから本文です。
ページ番号:262937
掲載日:2024年12月27日
Q 杉田茂実 議員(自民)
さきの9月定例県議会において自民党議員団が提案した、県こども・若者基本条例が全会一致で可決成立し、10月18日から施行されました。この条例は、第15条第2項で、県は、こども・若者を性暴力、虐待、その他の危害から守るために必要な施策を講じるものとすると定め、また、第17条第2項では、県は、特に性に関する問題について、こども・若者がその年齢及び発達の程度に応じて、情報提供、助言その他の必要な支援を受けることができるよう体制を整備するものとすると定めています。
今日、傍聴いただいている皆さんと子ども虐待防止活動を続けておりますが、子ども虐待の中でも看過することができないのが性的虐待です。
様々な活動を通した中で、一般社団法人彩の国思春期研究会代表理事の埼玉医科大学助教医師高橋幸子先生にユースクリニックのお話を伺い、また、実際に現場を視察し、大変関心を抱きました。同会は産科医師中山政美先生が2008年に熊谷の地に立ち上げ、現在、高橋先生にバトンが受け継がれています。包括的性教育の広がりを目指す活動をされています。
高橋先生は、幼少の頃に性虐待を受けた子どもたちの多くは、性知識がないために何をされているのか気が付かない、大きくなって自分がされたことを知ったときに深く傷付きます。もっと早い年齢から伝えなければいけない。知識があれば子どもたちもSOSを出せることがある。そして、子どもたちのSOSを的確に受け取るために、大人にも十分な知識が必要と述べられています。
また、最近はSNSによって簡単に様々な性の情報に触れることができるようになり、誤った知識を正しいと思い込んだ結果、性被害を受けたり、性加害を起こしてしまう子どももいます。学校では学年に応じた性教育は実施されていると思いますが、性に関する教育は成長に伴う体の変化などを知ることに加え、自分の体と心を大切にすること、同時に相手も尊重すること、子どもたちの命の尊さを学ぶことが必要です。
そこで、子どもたちが性暴力の加害者、被害者にならない教育が必要と考えますが、学校における取組について、教育長にお伺いいたします。
次に、ユースクリニックについてお伺いいたします。
私が視察したユースクリニックは、医学的な知識に裏付けされた情報提供と対面による相談体制により、子どもたちの性に関する悩みを受け止めていました。ユースクリニックの発祥の地スウェーデンには、200を超える公の施設があるようです。日本では約60か所程度ですが、その多くが個人や団体のボランティアで運営されています。
東京科学大学大学院寺内公一教授のお話によれば、運営側の負担が大きく継続できないケースも見られ、運営を有志の人たちの自助努力に委ねるだけではなく、公的な支援により体制を整備する必要があると指摘しています。
去る12月7日に熊谷市内で子ども虐待防止活動の一環として、若者のための街の保健室ユースクリニックの開設と高橋幸子先生の講演会が、埼玉県、県教育委員会、熊谷市、市教育委員会後援により開催されました。参加者からは、「勉強になった」「もっと多くの人に聞いてほしい」との声を頂きました。
今後、地域性の高い活動を市町村に委ね、ユースクリニックを増やすべきと考えますが、信頼のおけるスタッフがいて、子どもたちが安心して悩みを打ち明けられる場所にすべきです。市町村がユースクリニックを整備するに当たり、子どもたちが安心して相談できる環境となるよう県が関わり、支援すべきではないでしょうか。また、子どもたちを取り巻く大人を対象にした講演会などを通じて、ユースクリニックの必要性を広く知ってもらうことも重要と考えます。
そこで、県は、ユースクリニックの先行モデルとして市町村の活動が一定の定着を見るまで、まず1か所、3から5年間程度の時限で基幹の場所を設置することを最初の一歩にできないでしょうか。ユースクリニック運営の体制整備を県こども・若者基本条例に即した県の主導で行うことについて、保健医療部長の見解をお伺いいたします。
A 日吉亨 教育長
議員お話しのとおり、児童生徒が性に関する正しい知識に加え、自分や相手を尊重することや命の尊さを学ぶことが、性暴力の被害者や加害者にさせないために重要であると考えます。
現在、県内市町村立小・中学校及び県立学校では、保健の授業や特別活動等において、学習指導要領に基づく性に関する指導に加えて、児童生徒に互いに尊重し合える関係を築くことや、命の尊さについて指導しております。
例えば、県が作成した「人権感覚育成プログラム」を活用して、デートDVを例として、生徒がロールプレイを通じて、恋愛関係とデートDVの違いや、お互いを尊重する言動について学んでいる高校がございます。
一方、指導において、性に関する内容と、人権に関する内容が、明確に関連付けられていない場合もあり、今後は、議員御指摘のとおり、性に関する正しい知識と、自分の体や心の大切さ、互いの尊重や命の尊さを一体的に指導することが重要と認識しております。
そこで、県では、性と人権を関連付けた指導の好事例を収集し、県立学校及び市町村教育委員会に周知してまいります。
A 表久仁和 保健医療部長
思春期は心身の変化に直面し、性と健康に関する悩みを抱えやすい時期であり、こどもの年齢や発達の程度に応じて、性と健康に関する知識を持ち、専門家に相談できる環境を整えることは大変重要です。
時限的に基幹施設を設置すべきとのお話しでございますが、県では、若者が自身の心や身体、性の悩みなどを気軽に相談できる窓口として「プレコンセプションケア相談センター埼玉 ぷれたま」を開設し、助産師が電話相談に対応しております。
相談件数の約4割ほどが10代からの相談となっており、既に若者からの相談を受けているところでございます。
性や健康に関する悩みを抱えている方が確実に利用できるよう、こども・若者を対象にさらなる周知を行ってまいります。
次に、ユースクリニック運営の体制整備を県の主導で行うことについてでございます。
議員御提案のとおり、住民に身近な市町村においてユースクリニックの取組が行われることは、非常に望ましいことと認識しております。
そこで、県では、ユースクリニックの必要性や運営に関する基本的な考え方について市町村が理解を深め、こどもたちが安心して相談できる環境を整えるよう、ユースクリニックの開催実績がある団体に依頼して研修を実施してまいります。
また、県内で既にユースクリニックに取り組んでいる市町村の先行事例を紹介し、それらを参考に市町村の取組が広がるよう支援してまいります。
こうした取組により、市町村において着実にユースクリニックの取組を実施できるよう、努めてまいります。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください