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掲載日:2024年12月27日

令和6年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(杉田茂実議員)

本県の農業振興について-本県の今後の強力な農業振興について-

Q 杉田茂実 議員(自民)

本県の農業振興に関する質問も5回目になります。毎回同じことを繰り返している感もありますが、前進していることもあります。今回も農業を守る、食料を守る、この信念で前進に向けてお伺いいたします。
イネカメムシ大発生、また、全国の酪農家がついに1万戸割れとなる、15年前と比べると半減したなど、農業に係る後ろ向きの情報はとどまることを知りません。
さて、本年5月、農政の憲法である食料・農業・農村基本法が改正されましたことは御高承のとおりです。法律制定以来初、20年ぶりの改正とのことです。国は、農業を守り切る、農政の大転換政策に取り組む覚悟をしていただきたいという思いでいっぱいです。
海外からの食料・資材の安定調達や気候変動など食料安全保障の様々なリスクが現れてきていますが、農業の担い手の減少・高齢化、農村部の人口減少が深刻さを増しています。
埼玉県は、大消費地に近い農業県として首都圏の食を支える重要な役割の一端を担ってきたでしょうし、これからは更に重要な役割を求められるはずです。農政の大きな転換点を迎えたこのタイミングだからこそ、県の農業、農村の将来、そして県土を守り、県民の食を安定供給していくために何が必要か方向性を明確にした上で、県として必要な先行投資を惜しみなく行っていくことが大切ではないでしょうか。
こうした観点を踏まえ、以下お伺いいたします。
(1)本県の今後の強力な農業振興についてです。
農業の未来につながるものの一つとして、試験研究が上げられます。私の地元熊谷市には農業技術研究センターがあり、様々な成果を上げられています。
例えば、県が育成した品種「あまりん」は、本県農業への注目度を高めました。残念ながら「あまりん」の苗が手薄で生産希望者に行き渡らなかったようですが、県内民間企業の開発により苗の増産がかなうようです。
県が権利を保有する特許登録は農技権6件、森林権1件、県が権利を保有する品種は登録21品種、出願公表中が4種あります。県の大切な資産です。時には棚卸しをして磨きをかけ直すことをお願いいたします。
試験研究には大きな可能性が秘められています。11月の農業大学校祭で、2020年熊谷生まれの新品種「えみほころ」を私も試食させていただきました。粘りがやや強く、甘みがあり、しっかりした食感が特徴です。おいしくて思わず笑顔になることからの命名だそうです。本格的な生産開始が待たれます。もちろん出願公表中です。
品種育成だけではなく、担い手が減少する中でも生産水準を維持するために、より効率的に作業ができるスマート農業の技術や、持続可能な社会を実現するための環境負荷低減の技術など、着実に経営の一助になり、県農業が抱える課題に役立つ技術の研究に対しても、投資は惜しみなくお願いいたします。
また、次世代の就業希望者が10年後、20年後に地域の中心的な担い手となっていくための投資も必要です。現在、各地域の農業の将来の在り方と、農地ごとに農業の担い手を地図上に示した目標地図を内容とする地域計画の策定作業が進んでいます。目標地図の実現に向けては、担い手への農地の集積・集約をサポートする農地中間管理事業が重要な役割を果たすことは間違いなく、そのためにも事業担う県農林公社には一層活躍してもらうことが重要と思います。
農業の次世代の後継者不足が根幹の問題であり、新規就農者の確保は不可欠です。熊谷市内に農業大学校が平成27年に鶴ヶ島市から移転しました。県の農業教育機関として、就農に必要な基礎的な技術を習得するための授業や実習が行われています。
毎年約7割程度の卒業生が着実に就農し、就農後も経営を拡大・発展させる地域の担い手として定着していくためには、在学中に様々な知識・経験を培っていくことが必要です。そのためには、農業大学校が時代のニーズの先取りや、本人の希望に沿って様々な技術や知識を指導・提供できる存在として機能していく必要があり、農業従事者が今後、更に減少することが見込まれることを考えると、その役割は一層重要なものとなります。
本県農業の将来の姿を見据え、未来を創る試験研究と人材育成に対しては最優先に先行していく必要があると考えますが、知事の御見解をお伺いいたします。

A 大野元裕 知事

本県農業は、農業者の急激な減少や高齢化、気候変動による農作物への影響といった課題に直面をしており、こうした状況は、今後も深刻化していくことが懸念をされています。
さらに、持続可能な社会の実現に向け、農業分野において環境負荷の低減がこれまで以上に求められていくと考えています。
これらの諸課題に対応して持続的に発展し、食料を安定供給できる農業が、将来に求められる本県農業の姿であります。
その実現のためには、作業の省力化や気候変動への適応、環境負荷低減等に資する技術開発や、時流に適応できる担い手の育成に向けて必要な投資を行うことが重要であります。
県では、試験研究の取組として、県農業技術研究センターにおいて、ドローンを活用した省力的な水稲の生育診断技術などを開発し、収量・品質の高位安定化、施肥量削減を進めてまいりました。
また、試験研究の結果、生み出された本県開発いちごは、先程発表されました第2回クリスマスいちご選手権で最高金賞を獲得したことが発表されたほか、全23入賞品のうち、本県産が11品を占め、これで4連続最高賞を受賞をし、地元の生産者にも稼げる農業に資するものとなっていると、ご評価をいただいているところでございます。
また、民間資金も活用し研究設備の充実を図り、高温や低温に強い性質を持つイネの品種育成や、施設園芸から排出される温室効果ガスの削減技術などの開発にも取り組んでおります。
人材育成においては、県農業大学校において、先進的な農業者や民間企業などによる専門的な講義も取り入れ、学生の希望進路に応じ実践的な知識が習熟できる学習機会を提供しております。
また、平成27年度に全国2例目となる有機農業専攻を設置をし、有機JAS認証に関する資格取得の支援を行うなど、環境に配慮する農業者の育成にも努めております。
今後とも、未来を創る試験研究や人材育成に向けて必要な投資を行い、本県農業の持続的な発展にしっかりと努めてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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