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掲載日:2024年12月27日

令和6年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(塩野正行議員)

多胎家庭への支援について

Q 塩野正行 議員(公明)

多胎とは、双子や三つ子などのことで、1人の場合は単胎といいます。多胎児の場合、妊娠時から出産、子育てまで単胎児とはまるで違うということを知りました。双子の孫を持つ方から、多胎児への支援をお願いされたことがきっかけでした。
調べてみると、出生数に占める多胎児の割合は約2パーセント、埼玉県では毎年500組の多胎児が生まれています。多胎妊娠は母体への負担も大きく、合併症が起こりやすい。早産もその一つで、37週未満の早産の割合が約50パーセントと圧倒的に高く、低体重で生まれるためNICUなどへの入院も必要になります。妊娠、出産に伴うリスクが高いため、対応できる医療機関も限定されます。
出産後の子育ても大変です。一番の困り事は、外出や移動の困難でした。双子用ベビーカーは幅が広いため狭い通路を移動できないなど、移動に困難を来します。次に、授乳や食事、低体重のため吸う力が弱く、授乳に時間がかかり、回数も頻回になります。睡眠不足や自分の時間が取れないことも大きな悩みでした。
先日、埼玉県内で多胎家庭の支援に携わっているNPO法人さいたま多胎ネットの皆様から具体的なお話を聞くことができました。
妊娠30週で1,300グラムと1,408グラムの双子を出産された代表理事の方は、早く小さく産んでしまった自分を責め、しばらくの間、生まれてきた子供を家族以外に会わせられなかったと言います。出産後3か月までが特に大変で、誰かに助けを求めたり、必要な情報を探す余裕すらなく、周囲とはまるで違う状況に不安と孤独感を抱きながら、必死に子育てをしたということでありました。
さいたま多胎ネットが、ゼロ歳から1歳までの多胎児を今現在育てている母親59人にアンケートを行った結果も伺いました。一番衝撃的だったのは、鬱病のリスクが高いことであります。SDS(Self rating Depression Scale)という、鬱の程度を見るためのセルフチェックによる心理検査があります。その結果、鬱状態の人が7割近くいたという事実であります。正常は32パーセントにとどまり、鬱状態の人が68パーセントでした。特に、初産の人で鬱状態が高く、また、子供が1歳になるまでの間が最も重度鬱状態の人が多い。単胎児の出産に伴う産後鬱の割合が10から15パーセント程度と言われており、あまりの違いに愕然といたしました。虐待のリスクも2.5倍から4倍になると言われています。
多胎児の妊娠、出産、子育てにもっと目を向ける必要があると感じました。支援が必要だと痛感をいたしました。多胎児の妊娠、出産、子育てに関する情報の提供、親同士の交流の場の提供、外出や移動、家事などへの支援、経済的な負担に対する支援、メンタル面でのサポートなど、多胎家庭ならではの幅広い支援が求められます。
さいたま多胎ネットのお母さん方からは、情報交換の場の提供やベビーシッターの派遣、タクシー券の配布、思いやり駐車場の利用対象を3歳までに延長、同じ保育園に入園できる仕組みなどを進めてほしいとの声が上がっています。
国は、2020年度に多胎家庭を対象に自治体が実施する事業の2分の1を補助する事業を始めましたが、昨年度時点で全国の1割にも満たない約110市町村しか事業を実施していません。埼玉県内は、ふじみ野市1市のみです。この要因の一つに、小規模な自治体では双子や三つ子の出生数が少なく、支援を事業化するのが難しいという事情もあると指摘されています。広域行政としての県が、その役割を果たすことが必要です。
国は、昨年度、都道府県が主体となって事業を実施できる仕組みに改めましたが、活用したのは3県にとどまっています。埼玉県として包括的な多胎家庭への支援を進めるべきであります。多胎家庭への支援について、知事の御見解を伺います。

A 大野元裕 知事

多胎妊娠や多胎児の育成は、身体的・精神的な負担や外出の難しさによる社会的孤立など、特有の困難に直面する妊産婦も少なくありません。
双子の孫をお持ちの方からお話を伺われたとのことですが、私にも双子の孫がおり、娘から様々な苦労について聞いております。
妊産婦を支援する役割は市町村が担っておりますが、多胎児の出産が少なく、市町村単独では十分な支援が難しい場合もございます。
そこで、県では今年度、妊産婦とその家族の孤立予防、精神的な負担軽減を目的に、市町村域を超えて、当事者や多胎児の育児経験者との交流会を開催をすることといたしました。
多胎妊娠中や子育て中の仲間とつながり、育児経験者の経験談を聴く機会は、安心感を得られるとともに、有効な情報を収集できるなど、多胎妊産婦にとって大変心強いサポートになるものと考えております。
今後につきましても、更に多胎妊産婦に寄り添う支援となるよう、交流会開催に御協力いただく当事者団体や、多胎育児の当事者等から意見を伺い、交流会の充実に努めてまいります。
また、議員から包括的な多胎家庭への支援として、ベビーシッターの派遣や同じ保育園に入園できる仕組みなどの御提案がありました。
これら、様々な子育て支援事業の主体である市町村に対しては、研修などを通じて多胎家庭への支援の必要性について理解を深めるよう努めてまいります。
あわせて、思いやり駐車場など、県事業についても多胎家庭に寄り添う観点に立ち、必要な支援を検討したいと思います。
多胎家庭が孤立した子育てとならないよう、市町村の取組を着実に支援をしてまいりたいと考えます。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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