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掲載日:2024年12月27日
Q 塩野正行 議員(公明)
中小企業・小規模事業者が物価を上回る賃上げを実現するためには、コスト上昇分に見合う価格転嫁を実現できるかどうかにかかっています。
中小企業庁は毎年3月と9月に企業がどの程度価格交渉及び価格転嫁ができたのか調査をしています。先週、11月29日に発表された今年9月の価格転嫁率、つまりコスト全体のうち転嫁できた比率でありますが、これは49.7パーセントと約半数にとどまっています。そのうち、コスト上昇分を100パーセント転嫁できたのは18.1パーセントと2割以下であり、大半の企業は、思うような価格転嫁ができていません。「全く転嫁できず」と回答した企業がいまだ14.2パーセントに達しています。
30種類の業種別価格転嫁率も公表しており、最下位、つまり最も価格転嫁できていないのが、今回もトラック運送業でありました。唯一の20パーセント台、29.5パーセントでした。先ほどの全体平均49.7パーセントの価格転嫁率を大幅に下回っています。
トラック運送業は小規模事業者が多く、荷主に対していかに弱い立場に置かれているかが分かります。トラック運送業の価格転嫁率が低いのは、価格転嫁を認めてもらえないことに加え、価格交渉したくても交渉できなかったからでもあります。実際、価格交渉できなかった割合が最も高かったのがトラック運送業であり、「価格交渉を申し出たが応じてもらえなかった」が4.7パーセント、「取引の減少や停止を恐れ、価格交渉を申し出なかった」が12.8パーセントもありました。交渉を申し出たところ、契約が打切りになったという事例が実際にあります。「仕事を減らされた」との声を私も直接聞いております。
本県は、価格交渉に役立つ支援ツールを開発するなど、価格転嫁への後押しをしていることは承知しており、評価しているところでありますが、更なる対策の強化が必要と考えます。価格転嫁支援ツールなどでこれまで積み上げてきた成果や経験を基に、例えば業種ごとに価格交渉を更に後押しする対策を図ることができないか。また、トラック運送業に限らず、価格交渉に応じない発注元への対策をどのように推進していくのか。価格転嫁への今後の対策の強化について、知事にお聞きいたします。
A 大野元裕 知事
県では、令和4年9月に産・官・金・労の12者による「価格転嫁の円滑化に関する協定」を全国に先駆けて締結をし、ワンチーム埼玉で中小企業の価格転嫁を支援しています。
これまで、主要原材料1,421品目の値動きが一目で分かる「価格交渉支援ツール」や「収支計画シミュレーター」を開発し、県ホームページで無料公開するとともに、金融機関の職員と連携をした価格転嫁サポーター制度を展開してまいりました。
また、企業のサプライチェーンは埼玉県内では閉じていないことから、本来であれば国がやるべきことではありますが、埼玉県として、この埼玉モデルの全国展開に努めており、全国知事会や九都県市首脳会議において、こうした取組を私から紹介し、多くの皆様に御賛同いただいたところであります。
現在、価格交渉支援ツールに、運輸業をはじめとした業種別の労務費データや、都道府県別最低賃金データを追加するなどの機能拡充を進めており、完成した暁には、全国に向けて更なる展開を図りたいと思っております。
全国の統計をお示しいただいたところでありますが、埼玉県の四半期経営動向調査によると本年9月時点で6割以上価格転嫁ができたと答えた企業の割合が初めて5割を超え、半年前の調査よりも4.4ポイント改善いたしました。
また、県が実施している専門家による伴走型支援で、運賃3割アップを実現した運輸業の事例などを「成功事例集」としてまとめたところであり、今後、協定締結団体と連携し幅広く周知したいと思います。
あわせて、協定締結団体としっかり連携し、パートナーシップ構築宣言を粘り強く要請するとともに、価格交渉に応じない発注元に対しては、監督権限のある国に、下請取引の監督強化を強く要望するなど、価格転嫁対策を強化してまいりたいと考えます。
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