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掲載日:2023年3月14日
Q 辻 浩司 議員(民主フォーラム)
障害のある児童生徒は、かつては原則特別支援学校への就学と定められ、例外的に認定された児童生徒だけが通常の学級に就学するとされていました。しかし、学校教育法施行令が2013年に改正され、障害のある児童生徒も通常の学級への就学を基本としつつ、特別支援学級や特別支援学校への就学希望がある本人・保護者に対しては、就学支援委員会の意見を踏まえた上で、障害の程度により特別支援学校・特別支援学級への就学が決定されることが定められました。
つまりこの改正によって、これまでは障害のある児童生徒が通常の学級に就学することが例外だったのが、地域の通常の学級への就学を基本とするものへと変わり、逆に特別支援学級・特別支援学校への就学を希望した場合については、障害の程度を踏まえて就学決定をするという、原則と例外が逆転したと認識をしております。
しかしながら、市町村教育委員会による就学相談では、障害のある児童生徒は特別支援学校・特別支援学級が望ましいという前提で相談がなされるケースが圧倒的に多いのが現状です。また、通常の学級における合理的配慮が十分になされず、保護者が付き添いを求められたりするケースもあります。
そんな中、昨年9月、国連の障害者権利委員会は障害者権利条約に基づき、日本政府に対して障害児を分離した特別支援教育の中止などを求める勧告を発表し、大きな話題を呼びました。障害者権利条約24条では、例えば全ての障害児の普通学校への通学を保障すること。普通学校が障害児の入学を拒否することは許されないという、非拒否条項を作ること。さらに、2022年に文部科学省に出された特別支援学級に在籍している児童生徒は、週の半分以上を特別支援学級で過ごさなければいけないという、つまり通常学級で過ごしてはならないという分離を強める通知。これについては廃止しなさい、このようにはっきりと書かれています。
私は、子供のときに分けられて育てられ、大人になってから、さあ共生社会を作りましょうといわれても、障害のある人と付き合った経験がない中では、難しいと思います。日本の教育は分けた上で、手厚く教育をするのが本人ためという考え方に固執しています。しかし、分けられることで失うものは大きく、また、一緒にいることで得られるものも大きいと思います。学ぶ場を分けないと手厚い支援はできないという発想は誤りだと思います。
教育長は、このたびの国連障害者権利委員会からの分離教育をやめるように求める日本政府への勧告について、障害のある子供とない子供が共に学ぶ教育を進める上でどのように受け止めたでしょうか、御所見をお伺いいたします。
A 高田直芳 教育長
昨年の国連障害者権利委員会の勧告は、全ての障害のある児童生徒に対し、通常の学校を利用する機会の確保等を、障害者権利条約の締約国である日本に要請したものです。
私も、障害のある子供とない子供が共に学ぶ教育を進めることは大変重要なことと考えます。
また、こうしたインクルーシブ教育の推進にあたり、障害のある子供とない子供いずれに対しても、一人ひとりのニーズに応じた学びを提供していくことが極めて大事な観点と考えます。
文部科学大臣は、この勧告を受けて、「障害のある子供とない子供が可能な限り共に過ごす条件整備と、一人ひとりの教育的ニーズに応じた学びの場の整備を両輪として取り組んできた」と述べております。
その上で、「現在は多様な学びの場において行われる特別支援教育を中止することは考えてはいないが、引き続き、勧告の趣旨も踏まえてインクルーシブ教育システムの推進に努めていく」との見解を示しております。
県といたしましては、こうした国の見解を踏まえ、児童生徒一人ひとりのニーズに応じた多様な学びの場の整備に引き続き取り組むとともに、インクルーシブ教育システムの推進に努めてまいります。
再Q 辻 浩司 議員(民主フォーラム)
今、教育長のおっしゃられました分離教育、特別支援教育をなくすということではなくて多様な学びの場、つまり通常学級もあり、支援学級や支援学校もあり、そういういろんな多様な学びの場があるという中でインクルーシブ教育を進めていくという、それが日本政府の考えでありというお答えだったかというふうに思います。
多様な学びの場、一見聞こえがいいんですけれども、しかし、それは多様な学びの場が全て選択肢として成立するということが、やはり大前提なんだと思うんですね。しかし、実情として考えた場合、障害のある子供が通常の学級で近所のお友達や兄弟と同じ地元の学校に通いたいと思ったときに、通常の学級で十分に合理的配慮がなされているかということを考えたときに、障害のある児童生徒にとっては多様な学びの場とはいっても、事実上、通常の学級は選択肢として得られないということが多々あると思います。
つまり多様な学び場ということと、分離教育はやめなさいという国連の勧告というのは、これは現状では矛盾をするのではないかというふうに考えますが、教育長のお考えをお聞かせいただければと思います。
再A 高田直芳 教育長
国連障害者権利委員会の勧告は障害者権利条約の締約国である我が国に対して要請をされたものでございますので、当然のことながら尊重し、真摯に受け止める必要があると思っております。
議員から今お話しがございましたように、現状はどうなのかということでございますけれども地域に生まれて、地域に育ち将来に渡って地域で暮らし続けていくということがそれぞれ子供達には求められていること、あるいは、そこで暮らし続けられるという環境を大人がどう用意するかということが非常に大事な観点であるというふうに思っております。
現状は先ほど議員からもお話しがございましたとおり、現在は多様な学びの場において行われる特別支援教育を中止することは考えていないと国の考え方も示されたところでございますけれども、大きな方向性としては、障害のある子もない子も共に地域で育つ学べる環境をいかに構築していくかということが大きなテーマではないかと考えております。
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