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掲載日:2022年3月30日
Q 田並尚明 議員(民主フォーラム)
「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」、これは言うまでもなく、日本国憲法第14条の条文です。
結婚相手の身元調査に使用するため、一部の司法書士や行政書士が業務上請求書を偽造して、1万件に及ぶ戸籍や住民票を不正取得したいわゆるプライム事件や、中古住宅販売会社が中古住宅を購入する際に、そこが同和地区かどうかを調査していた事件など、そういった事態が後を絶たないことを受け、2016年12月には、長年の懸案であった部落差別の解消の推進に関する法律が制定されました。このことは、部落差別が存在していること、部落差別は許されないことを明確にするとともに、国や自治体の責務を明確にし、かつ、行政や教育委員会の取組に根拠を与えました。
過去にも同様の質問を2回行い、1回目は部長から、「条例制定を前提に進めてまいりたいと思います」との答弁をいただき、1年ほどかけて、法や憲法との整合性も含め検討していただいた結果、推進法があるなどの理由で、条例はふさわしくないとのことでした。
また、2回目は知事から、「部落差別は絶対に許されるものではありません」とした上で、条例制定については、「国が行う全国の実態調査の結果に基づき、地方公共団体の役割を踏まえ、本県の実情や条例を制定している府県での効果なども確認しながら、その必要性を検討したいと思います」との答弁をいただきました。
しかし、就職や結婚相手に対する身元調査のための戸籍謄本、住民票の不正取得やネット上の書き込み、動画の投稿などによる部落差別の被害は、なくなるどころか後を絶ちません。和歌山県は部落差別の解消を推進し、部落差別のない社会の実現を目指すとして、和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例を令和2年3月24日に公布、施行しました。
また、法律ができてから条例を制定した県は、和歌山県以外にもあります。ある県の担当者さんに、なぜ法律があるのに条例ができたのか尋ねてみますと、「部落差別は許さないという強い気持ちです」とおっしゃっていました。私は、法律があるなしではなく、うちの県は部落差別を絶対に許さないという強い気持ちが大事だと思います。
今こうしている間にも、差別により苦しんでいる人がいます。今こうしている間にも、心ない大人たちによる差別で子供たちの笑顔が奪われています。こうした差別で苦しんでいる人たちは、国の動向や他県の効果を確認するのを待っている余裕などありません。忌憚なく申せば、四の五の言わず条例を作れと言いたいです。
特措法が失効した後も、法的根拠や予算がない中で埼玉県はよくやっていただいていることは評価しています。その今までの取組の成果を更に確固としたものにするためにも、うちの県は部落差別を絶対に許さないという強い気持ちで条例制定に取り組んでいただきたい。他県でできて、埼玉県にできないということはないと思います。
お互いを理解し、思いやる気持ちの醸成が優しい社会をつくるのではないでしょうか。この条例の制定が、そういう社会の構築への大きな一歩になると私は信じています。是非、条例制定に向けた知事の力強い前向きな答弁をお願いいたします。
A 大野元裕 知事
議員御指摘のとおり、残念ながら部落差別は現在もなお存在しており、いわれのない差別として絶対に許してはならないことであります。
平成28年に制定された部落差別解消推進法は、「部落差別」という文言を法律の名称に初めて使用し、部落差別の解消と、部落差別のない社会の実現に対する強い決意を示しました。
この法律に基づき国が行い、令和2年6月に公表された実態調査では、部落差別に関する人権相談や人権侵犯事件の件数はおおむね横ばいであるが、インターネット上の誹謗中傷などが増加傾向であることが明らかになりました。
県が令和2年度に行った県民意識調査でも、子供の結婚相手が同和地区出身者であると分かった場合、「こだわる」「反対」などの回答が4人に1人に上るなど、これまでよりは改善しているものの、偏見や差別意識が依然として残っていることが示されました。同和問題は憲法が保障する基本的人権の侵害に関わる重要な問題であり、こうした深い偏見や差別意識は、決して見過ごしてはなりません。
また一方で、同和問題を解決するために必要なこととして「教育・啓発広報活動の推進」が大切と答えた県民が46.2%と最も多数を占めました。
部落差別解消推進法が施行された現在、県にまず求められているのは地域の実情に応じた施策を講ずることであり、人々の心に届く適切な教育・啓発が重要であると考えております。
他方、議員御指摘の条例制定につきましては、今後、国が示すであろう地方公共団体の役割を踏まえ、本県の実情や条例を制定している府県での効果なども確認しながら、引き続きその必要性を検討をしたいと考えています。
部落差別を絶対に許さないという強い気持ちを常に抱きながら、真摯にこの問題と向き合い、部落差別のない社会の実現に対し効果ある対策に取り組んでまいります。
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