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掲載日:2022年3月30日
Q 田並尚明 議員(民主フォーラム)
新型コロナウイルスの影響により苦しんでいる県内事業者に対して、当初3年間無利子、保証料ゼロの新型コロナウイルス感染症対策資金、いわゆるゼロ負担融資を令和3年3月31日保証申込み分まで実施しておりました。埼玉県でもいち早く対応したおかげで、県制度融資を積極的に活用された法人、個人事業主がたくさんおり、県における素早い対応については感謝します。
しかし、コロナウイルスは1年で収束すると思われていたため、3年の据え置き後は金利が発生することから、このゼロ負担融資を利用した企業の実に59.2%が、金融機関からの据え置きをしない、若しくは1年以内の融資を選択しております。
また、令和3年度の1月末までの経済安定資金などセーフティネット系の融資はゼロ負担ではないためか、令和2年度のゼロ負担融資の5万5,976件と比較すると、975件と大分落ち着いてしまっています。
令和4年度当初予算案では、法人二税の税収アップ等により、県税収が前年度より467億円増収見通しとしております。その要因の一つとして、銀行をはじめとする金融業界の業績の好調があります。新聞報道によりますと、昨今の倒産しそうであった中小企業も、このコロナゼロ融資により救われており、その結果、企業の倒産に備える貸倒引当金が想定以上に低く収まった金融業では、政府保証付き融資のおかげで本業が支えられた結果として、法人二税の増収に起因しているとありました。つまり、全体の景気が上向いているから税収がアップしたということではないと思います。
多くの中小企業を抱える本県では、引き続き経営が厳しい企業が多く、県としてもバックアップする必要があります。埼玉県では、中小企業者の資金繰り確保に向けて、知事から各金融機関に対して、事業者の実情に応じた柔軟かつきめ細やかな対応をするよう、たびたび要請してくださっているとは承知しております。また、当会派でも昨年7月に会派要望を出したところでもあります。ただ、あくまで金融機関が貸し主となりますので、様々なケースも考えられ、据置期間の延長を金融機関に申し出た際に、今後の融資については難色を示された事業者もあると聞いております。
そこで、お伺いいたします。本年から多くの企業でゼロ負担コロナ融資の返済が始まりますが、長引くコロナ禍の状況で返済据置期間の猶予を求める事業者に対して、金融機関が条件変更とみなさないよう、改めて知事から呼び掛けをしていただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
また、県の中小企業対策として、令和4年度では中小企業のデジタル化支援などDX関係の予算が計上されております。このようなソフト面の予算は、県内中小企業の底上げの一助になると考えます。
一方で、精密機械などの産業、とりわけベンチャーや県内中小企業の設備投資などのハード面に対しての補助が他県と比較しても小さいと言われております。このままだと、新規事業や事業拡大を考えている企業の他県への流出が危惧されます。
そこで、お伺いいたします。県として、今後成長する企業や中小企業の活性化、誘致に向けて、設備投資などのハード面においても支援していただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
さらに、県内の農業事業者においても、農業用ビニールハウスなどに使う生産資材等の値上げと、A重油や灯油のたび重なる値上げなど生産コストが増える一方、農産物価格への転嫁が難しく、苦しい状況が続いております。
先日、我が会派では、そうした施設園芸農業従事者からの声を受け、大野知事へ燃油価格高騰に対する緊急要望を提出しました。今期は、農林水産省において施設園芸セーフティネット構築事業を発動してくださっているのは存じておりますが、この制度では、積立ての基金から補助を受ける仕組みなので、原油高騰に備えるために事前に加入していなければ、この基金からの補助を受けることはできず、県内では6団体33名しか同制度の利用がありません。加えて、補助金額も月額数千円程度となっております。
そこで、お伺いいたします。県内の農業事業者を守るためにも、県として独自の支援や、加えて国への改善要望を訴えていただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
金融機関に対し知事から呼びかけることについてでございます。
県では、事業者の手元資金に不足が生じないように、新型コロナウイルス感染症対応資金を創設するなど、制度融資の充実に取り組みました。
この結果、令和2年度の融資額は1兆1,815億円と過去最高の融資実績となり、企業の資金需要に十分対応できたものと考えます。
令和3年度には、当面の資金不足が回避できたことなどから、1月末現在の融資実績は383億円と企業の資金繰りは落ち着いた状況が続いています。
一方で、コロナ禍が続く中、返済が始まったことから、資金繰りに懸念が生じている事業者も散見されます。
こうした事業者のために、県では据置期間の延長や借換えなどの相談に柔軟に対応していただくよう、金融機関に対し繰り返し要請を行ってまいりました。
新型コロナウイルス感染症は未だ収束せず、原油・原材料価格の高騰など、県内中小企業を取り巻く経済環境は先の見通せない状況が続いております。
金融機関及び信用保証協会には、事業者からの個別の相談に弾力的かつ丁寧に対応していただくよう改めて働き掛けてまいります。
次に、ハード面における支援についてであります。
これまでも県では、社会課題の解決につながる技術やAI・IoTなどを活用した新技術についての研究開発費をハード面も含めて補助してまいりました。
また、企業誘致に当たり土地や建物の取得に係る不動産取得税相当額を補助することで、県内への積極的な投資を呼び込んでまいりました。
一方、通常の生産設備の導入については、企業活動そのものであり、事業者に自ら投資していただく必要があることから、資金繰りの面からの支援を主に行ってまいりました。
ハード面への補助については、支援の対象や手法について工夫をし、社会課題の解決や未来への投資につながるなど広く県民に効果が及ぶような支援策とすることが重要と考えます。
令和4年度当初予算案には、新型コロナウイルス感染症対策に資する技術や製品の開発について、特別枠を設けて重点的に支援していくことを盛り込んでいます。
また、ハード面への支援に当たっては県単独で取り組むだけではなく、金額の大きな支援が可能となるよう国の経済対策と連携し、これを積極的に活用していく視点も重要と考えます。
国の「事業再構築補助金」はハード面も含めて活用できますが、綿密な事業計画を求めるなど採択の要件が厳しいことから小規模事業者にはハードルが高いと言われています。
そこで、商工会議所連合会内に開設した埼玉県事業再構築支援センターできめ細かい支援を行うとともに、計画策定の専門家への依頼費用を助成することで国の補助金獲得をトータルで支援してまいります。
引き続き、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の社会経済情勢の変化に県内中小企業が的確に対応し、稼げる力を高めていけるよう、国、関係機関としっかり連携し、効果的な支援を行います。
次に、県内農業事業者を守るための支援についてであります。
議員御指摘のとおり、農業用資材や燃油価格は上昇傾向にある中で、施設園芸においては、生産コストに占める燃油購入費の割合が高いことから、その経営が圧迫されています。
施設園芸の燃油高騰に対しては、国の対策が用意されており、あらかじめ生産者と国が1対1の割合で積み立てた資金から、燃油の購入価格と基準価格の差額分が補填をされます。
例えば、令和3年11月は、A重油の購入価格は基準価格に対して1リットル当たり22円高くなりましたが、この全てが積立金から補填されました。
県としては、燃油が高騰したときの対策として、こうした国の制度を活用することが基本と考えており、これまでも市町村やJA、生産者組織を通じて生産者に対し周知を徹底してまいりました。
現在、加入者が限られている理由としては、平成27年より令和3年2月まで燃油価格が安定しており発動実績がなかったこと、生産者単独では加入できないこと、事務手続に手間が掛かることなどが挙げられます。
県としては多くの生産者が制度を活用しやすくなるよう、国へ要望してまいります。
また、対策に加入しておらず資金繰りにお困りの生産者に対しましては、日本政策金融公庫による融資の活用を促してまいります。
2年前には本県より強く要望したこともあり、コロナの影響で売上げが減少した施設園芸農家に対する国の支援が拡充されたという経緯もございます。
施設園芸農家の経営安定が図られるよう、現下の生産者が置かれた状況を踏まえ、引き続き国に本県の要望を伝えながら、生産者支援にも取り組んでまいります。
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