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掲載日:2023年11月28日
Q 福永信之議員(公明)
さて、国は賃上げ、そして働き方改革に総力を挙げています。発注権者である埼玉県庁は賃上げ、そして働き方改革にどう取り組むのか、2つの分野について御質問いたします。
まず、建設業についてお伺いします。
10月23日未明、台風21号によって川越市とふじみ野市ではおびただしい数の内水被害が出ました。川越県土整備事務所は21日に建設会社へ土のうづくりを指示、22日夜10時までに新河岸川右岸の越水危険個所に作業員さんが積み終えました。いざという時に身を挺して県土を守るのは、建設会社の皆さんです。おかげで越水は免れました。川越市寺尾の江川都市下水路の護岸はめちゃくちゃに壊れました。29日の台風22号に備え、突貫工事で修復に当たったのも建設会社です。一方、川越県土整備事務所の職員も不眠不休で奮闘、さすが県の職員の対応は違う、すごいという声を多くの建設会社からお聞きしました。
大事な建設業です。民主党政権下で疲弊し切った後、国土交通大臣に就任した公明党の太田昭宏さんは、従来の計算式では引上げが不可能だった公共工事設計労務単価を大臣の政治的決断で引き上げました。低入札価格調査基準も改善、0.30だった一般管理費の算入率を25年度に0.55へ引き上げました。石井大臣も28年度に現場管理費を0.80から0.90へ、29年3月には直接工事費を0.95から0.97へと引き上げました。ひとえに建設業の担い手の賃金を適切に確保するためです。予定価格と低入札価格調査基準が改善されれば賃上げにつながります。
しかし、残念なことに中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデル、いわゆる中央公契連モデルは合計額を予定価格の10分の7から10分の9の範囲内におさめるようキャップを定めているのです。低入札価格調査基準の額が予定価格の10分の9を上回った場合、足切りされます。本県はこのキャップを忠実に守り、市も県に倣っています。だから、仕事を受注したい業者は90%の額を目途に競争します。この結果、平成27年度の都道府県発注工事の落札率を見ると埼玉県は89.3%です。北海道から愛知県までの22の都道府県で90%を下回っているのは埼玉県だけです。全国比較でも埼玉県の落札率は40位、ワーストセブンでございます。
埼玉県は、建設業の担い手の賃上げにブレーキをかけています。10分の9.2までとする栃木県のように、中央公契連モデルとは異なる上限値を定める県があり、モデル自体を廃止する県も出ています。本県も新年度からモデルから脱却して足切りをやめ、賃上げにつなげるべきです。モデルは国土交通省の通知に過ぎません。
総務部長より明快な御答弁をお願いします。
建設業の2番目は、働き方改革です。
施工時期の平準化について、県がゼロ債務負担行為の設定で36億6,200万円、繰越明許費の早期設定で55億4,656万円という議案を今定例会に提出なさったことを高く評価します。現状では建設業者は第1四半期は半数近い技術者が仕事がない、あるいは年度末完工に向けて土日返上、長時間労働、働き方改革なんて絵空事と嘆いています。ですから、公明党は、安藤友貴議員が26年9月に、私が26年12月に平準化を訴える質問をこの場で行うなど繰り返し取り上げてまいりました。
今回の措置によって、来年の4月、5月、6月にどれだけ工事が増えて、施工時期が平準されるのか、そして建設業の担い手の働き方改革にどのような好影響が及ぶのか、県土整備部長に御質問いたします。
A 高柳三郎 総務部長
県内建設業の皆様には道路や河川などの整備、維持管理といった業務だけでなく、台風や大雪など自然災害時に迅速な復旧活動を行い、地域の安心、安全を支える重要な役割を担っていただいております。
このため建設業の皆様には、担い手を育成するために必要となる適正な利潤を確保し、健全な発展をしていただく必要がございます。
県では、下請け業者へのしわ寄せなどにつながるダンピングを防止する観点から、調査基準価格などを定めております。
調査基準価格の上限を、いわゆる中央公契連モデルを用いて予定価格の10分の9としているのは、関東近県では千葉県や群馬県、山梨県などでございます。
県では調査基準価格は平成20年以降7回引上げております。
この結果、本年10月末時点の平均落札率は91.3%に上昇しております。
これは、近年で平均落札率の最も低かった平成22年度と比較すると約6ポイント上昇しております。
調査基準価格の上限値の廃止については、建設業が適正な利潤を確保できるよう、今後も入札状況の推移を注視しながら適切に対応してまいります。
A 西成秀幸 県土整備部長
これまでの平準化対策としましては、発注計画の公表や前年度中に準備をして、第1四半期に発注する取組を行ってまいりました。
その結果、第1四半期の工事件数は年平均と比べ、平成16年度は65%でしたが、平成28年度には75%と改善しました。
さらに、いわゆる「ゼロ債務負担行為」を設定し、第1四半期の工事量の確保に取組んでまいります。
これにより平成29年度中に契約行為を行い、平成30年4月から確実に現場をスタートさせることができます。
平成30年度には年平均の90%以上となることを目標に、こうした対策をしっかり行ってまいります。
また、平成28年度に引き続き、年度内に完了しないことが明らかになった工事については、繰越明許費を設定し適切な工期を確保いたします。
これらの取組により、本県建設業の経営の健全化や雇用の安定化を図るとともに、公共工事の品質の確保につなげてまいります。
今後も建設業の皆様のご意見を伺いながら、さらなる施工時期の平準化により、休日の確保や長時間労働の抑制など、働き方改革の実現に向けて取り組んでまいります。
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