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掲載日:2023年3月16日

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埼玉県の起業家インタビュー「想いをカタチに」第16回:吹金原榛耶(ふきんばらしんや)さん

吹金原さん顔写真未来をより素敵なものにしようとチャレンジし続ける埼玉県の起業家や起業家スピリット溢れる経営者の方々にお話を伺うインタビュー特集「想いをカタチに」。

第16回は令和4年度「社会課題の解決につながる創業支援プログラム」に参加し、学生と地域がつながるアプリ”unibus”を開発している吹金原榛耶さん(合同会社unibus)にお話を伺いました。

さて、吹金原榛耶さん流「明日を拓く」ヒントとは?ぜひご覧ください!

unibusアプリサイト

★インタビューは2023年2月に行ったものです。

想いをカタチに ~未来へと挑み続けるチャレンジャーたち~

学生と地域をつなげるアプリ「unibus」

ーー合同会社unibusの事業について教えてください

unibus アプリの自社開発と地域の企業様を中心とした受託開発を行っています。コロナの影響で消失してしまった学生と地域のつながりを創出し、アナログな宣伝・広報・集客を行なっていた地域社会全体の DX を推進します。また、「地域と一体になった新しいキャンパスをつくる」というビジョンを掲げ、地域の中核となるようなアプリ・サービス開発を行います。

 

unibus紹介画像

 

ーーunibusアプリの特長や開発した経緯を教えてください。

スクールバスでの通学が億劫になることなく、勉強・スポーツ・趣味に没頭する。大学帰り、バスでちょっと遠い街のお店で友人とご飯を食べながら盛り上がって「また明日!」と別れる。バス停で偶然会った先輩と、新しいお店をみつけて地域の魅力を発見する。unibusはそんな瞬間をつくるバス時刻表アプリです。

アプリ開発について勉強したりイベントに参加したりしているうちに、学んだことの力試しとして、実際にアプリを作ってリリースしてみたい!と思うようになりました。じゃあ、何を題材にアプリを作ろう?と考えたときに、一番身近で自分が注力できる「大学のスクールバス時刻表の不便さを解決しよう」と思い立ったのがunibus開発のスタートですね。

スクールバス時刻表が紙で不便だったのはもちろんですが、図書館で勉強をしていて乗り過ごしてしまったり、乗ろうとしたらバスが混んでいて乗れなかったりという困りごともありました。そこで、バスの時間を検索できる機能ほかに、発車15分前に通知する機能とユーザーからの報告で混雑具合を把握できる機能も搭載することにしました。

 

unibus機能(バス時刻表)

 

――最初はスクールバスの時刻表アプリとして開発されたのですね。そこから地域の情報も載せようと思ったのはなぜですか?

大学3年生の頃にコロナの流行が始まり、元々大学の仲間とよく地域のお店にご飯を食べに行っていたのですが、それが全くできなくなってしまいました。先輩が後輩をご飯に連れていくこともなくなり、このままだと新入生は地域のお店を知る機会がない。学生と地域のつながりが薄れてしまうのでは?という課題感がありました。

そこで、スクールバス時刻表アプリの「unibus」を介して地域のお店が情報を発信することができれば、学生と地域をつなげられるんじゃないかと思いつきました。そうすれば、例え先輩たちが後輩をお店に連れていけなかったとしても、お店が直接学生にアプローチして魅力を伝えられます。コロナが収まったあとに後輩たちがunibusアプリを見て、またお店に足を運ぶようになればと思いました。

実際に馴染みのお店にもヒアリングをしたところ、「学生が全然来なくなってしまった。お店の前に貼り紙をしたり、コロナ対策をしっかりしていても、すっかり来なくなってしまっている。いままでは先輩が後輩を連れてきてくれたけど、それがないままお店を知ってくれてる世代はどんどん卒業してしまい、このままお店が忘れ去られてしまうのでは」という不安の声を聞きました。これがコロナの影響で学生と地域のつながりが薄れてしまっているという課題を解決したい!と強く思ったタイミングでしたね。お店の方の生の声を聞いていたからこそ、「学生×地域」にフォーカスすることを、自信を持って貫けたのだと思います。

 

unibus機能紹介(グルメ機能)

 

社会課題の解決につながる創業支援プログラムでのステップアップ

ーー起業するまでの経緯や起業しようと思ったきっかけを教えてください。

起業に興味を持ったきっかけはインターンですね。これがかなり衝撃的で…インターンした会社は社員が全員学生で、小さなアパートの1室を借りてやっているようなITベンチャーでした。そこから、手掛けていた事業を成功させて、今では資金調達額は数億円、オフィスも都心に移転しています。企業が成長していく過程を間近で見て、自身のサービスもこのように成長させたい!と思い、起業に興味を持ちました​​​​​​。しかも、これを成し遂げたのが学生かつ自分よりも年下の方というのに、とても刺激を受けました。

学生のうちに起業に必要な知識を勉強したいと思い、入賞すると特典として起業支援サービスを受けられる「TDUアイデアコンテスト」に出場しました。そちらで優秀賞を頂いたことで、飯能信用金庫さんをはじめ、様々な人とつながることができました。自分が思っていた以上に皆さんがunibusに興味を持ってくださり、学生と地域をつなげるunibusが、世間から求められていることを実感しました。この時点で「もしかしたらunibusを事業化できるかもしれない」とは思っていましたが、起業しようという決心が着いたのは、実は「社会課題の解決につながる創業支援プログラム」に参加してからなんです。

 

――「社会課題の解決につながる創業支援プログラム」に参加して、どんな変化があったんですか?

実はアクセラレーションプログラムを進めていく中で、月額数千円のアプリへの掲載料をお店からもらういまの収益モデルでは、事業としてやっていくには厳しいと感じていました。コロナ情勢が落ち着き始めて、徐々にお店が直接学生にアプローチしたいというニーズも減ってきていたので…

そもそものビジネスプランに課題を感じていた中、アドバイザーや県の方の紹介で行政や商工団体など、多くの方々からお話を聞くことができました。地域の中小企業や地銀の方からは、システム導入などDXを勧めたいが、規模が小さすぎて中々受けてもらえず困っているという課題を聞きました。また、実際にヒアリングした企業さんからぜひシステム開発を依頼したいというお話を頂くこともありました。

多くの方々へのヒアリングを経て、いまはunibusを「地域活性化アプリ」として全国に広げていきたいと考えています。そのためにまずは「unibusの開発」と「システム受託開発」の2軸で事業を進めていこうとしています。受託開発の実績を積み上げ信頼を築きつつ、受託開発で得た収益を基にunibusの開発を進める。unibusのユーザー数がある程度増えたら、最終的には広告掲載料などでunibus単体でも一定の収益を上げられる状態に持っていきたいと考えています。

社会課題の解決につながる創業支援プログラムに参加していなければ、スクールバス・学生というところに固執して終わっていただろうなと思います。そこから、地域に視点を広げて、さらには受託開発から収益を得るというビジネスモデルを描けたのは、とても大きな変化でした。

 

創業事例発表会資料

 

ーー起業してよかったことや、起業するにあたり苦労したことはありますか?

起業してよかったことは、やはり関係者の方と対等なお付き合いができるようになったことです。単なる一学生ではなく、企業として対等な目線で見てもらえるようになりました。いままで中々踏み入れることができなかったこと、例えば企画書を作成して行政に提案するとか、そういったことも一企業としてできるようになって、幅が広がりました。これは起業する決心が着いた理由の一つでもあります。これから多くの方々と提携・お取引させて頂くにあたり、一個人よりも一企業としての方ができることが多いと感じました。

一方で、”学生”というアドバンテージはかなり大きいと思います。大人になると中々教えてくださいとは言いにくかったりすることもあると思うのですが、学生なら教えてください!と言うと色んな人が支援してくれる。「若いのによく頑張ってるね~!」と応援してもらえるのも、学生の特権だと思います。

逆に苦労したことは、起業するために必要な知識を学べる場やスキルを身に着ける機会がないことです。インターネット上には怪しいビジネスなどもあって、自分で正しい知識を身に着けるのは難しい。その点、埼玉県のプログラムであれば、起業に必要な正しい知識やスキルを身に着けられると思って応募しました。「社会課題の解決につながる創業支援プログラム」に参加できていなかったら、学生のうちに起業までは至っていなかったと思います。

学生ならではの視点と行動力を活かして

――将来の目標や今後の事業展望について教えてください。

大学生のためのスクールバス時刻表アプリから、学生と地域がつながるアプリへと成長させていきます。ローカルな情報をタイムリーに取得し、ローカルな範囲でユーザー同士がつながり、地域のコミュニティを形成できるアプリです。埼玉県の市町村はもちろん、全国のローカルな情報が集まるような”セカイ”を創っていきます。そして、スクールバス時刻表の資産を活かしたローカルバス・コミュニティバス時刻表への対応や、地域通貨や地域ポイント等にも事業展開していきたいと考えています。

 

ーー最後に、起業に興味のある方や起業しようか悩んでいる方へのメッセージをお願いします。

人はそれぞれ様々な価値観や異なる経験、知識を持っており、同じ場所でも見る人によって見える景色・見え方が変わってきます。特に、新鮮な視点を持っている学生の視点はとても貴重です。まずは、日々生活している中で不満に思うことや現実を疑う視点を持ってみてください。そうすれば、みなさん独自の革新的なアイデアが見つかり、起業につながるかもしれません。

そして、起業に興味が湧いても、はじめは何から始めれば良いのかよくわからないと思います。書籍を読んだりビジネス系動画を見たり、さまざまな情報が手軽に入手できる時代だからこそ、どれを参考にすべきかわからなくなることもあります。しかし、起業は知識がいくらあっても行動しなければできません。意外と身近なところに起業をサポートしてくれる機関があったり、起業支援等のイベント・勉強会が開催されています。そういった場所に連絡してみる・参加してみるといった行動が重要です。安全で信頼できる機関・イベントか否かをしっかりと見極め、ぜひ積極的に行動してみてください。

 

吹金原さん写真(川越ビジコン)

 


インタビューはいかがでしたか?

バイタリティ溢れる行動力で、多くの方と人脈を築きながら”unibus”を発展し続けている吹金原榛耶さん。何かチャレンジしてみたいことのある人にとっては、背中を押してくれる言葉の宝庫だったのではないでしょうか。

「未来へと挑み続けるチャレンジャー」の皆さんから学ぶ、「明日を拓く」ヒント。これからもインタビュー特集「想いをカタチに」をどうぞお楽しみに♪

注目情報

埼玉県では新しい技術やアイデアにより社会課題の解決を目指す創業希望者を支援する「社会課題の解決につながる創業支援プログラム」を実施しています。

社会課題の解決につながる創業支援プログラム(埼玉県産業振興公社ホームページ)(別ウィンドウで開きます)

お問い合わせ

産業労働部 産業支援課 創業支援担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 本庁舎4階

ファックス:048-830-4813

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