トップページ > しごと・産業 > 産業 > 創業支援 > 埼玉県の起業家インタビュー「想いをカタチに」 > 第15回:松成紀公子さん(株式会社ピーカブー)
ページ番号:222803
掲載日:2022年12月20日
ここから本文です。
未来をより素敵なものにしようとチャレンジし続ける埼玉県の起業家や起業家スピリット溢れる経営者の方々にお話を伺うインタビュー特集「想いをカタチに」。
第15回は現在和光理研インキュベーションプラザに入居中で、日本唯一のUV対策ウエアブランド”エポカル(EPOCHAL)”を手掛けている松成紀公子さん(株式会社ピーカブー)にお話を伺いました。
さて、松成紀公子さん流「明日を拓く」ヒントとは?ぜひご覧ください!
株式会社ピーカブーホームページ
株式会社ピーカブーは、紫外線対策と肌・身体の健康を考え20年! (epochal.co.jp)
★インタビューは2022年9月に行ったものです。
――株式会社ピーカブーの事業について教えてください
株式会社ピーカブーは20年前に和光市内の育児中の母親2人で立ち上げた創業以来ずっと女性だけの会社です。日本ではほかにない「紫外線対策製品」だけを専門に扱うUVカットウエアブランド”エポカル(EPOCHAL)”を企画から販売まで手掛けているメーカーで、老若男女を問わず赤ちゃんから大人までのウエア、帽子、そのほかスイムウエアやUVカットクリームなどもすべてオリジナルデザインで企画・製造・販売しています。
コロナ前は世界で一番紫外線対策が盛んなオーストラリアの政府検査機関ARPANSAから企業認証をいただいたり、アメリカロサンゼルスの名門校である南カリフォルニア大学MBAのマーケティングプログラムに参加したりと海外へのアクションも行っていました。
現在は、和光理研インキュベーションプラザで、難病認定されている、生まれながらにして紫外線に当たることができない難病=色素性乾皮症の子どものためのUV防護服を検査研究し、寄贈するところまで達成しました。現在、この紫外線防護服はアメリカやオーストラリア、遠くモロッコやフランスからもお問い合せをいただいています。
――”エポカル”の特長や商品に込めた思いについて、お聞かせください。
エポカルブランドの製品は洗濯を繰り返してもUVカット効果が低減しない特殊繊維にこだわり、自然環境にやさしい紫外線対策ができるUVカット製品です。サンスクリーン剤は海を汚す成分が含まれているものもあり、塗るよりも「着るだけ」で紫外線対策できることは、自然環境を守ることにつながります。「高いUVカット効果のある特殊な素材を使用すること」「夏でも長袖を着られる工夫をすること」「シンプルな見た目であっても多機能であること」が特長です。
エポカルでは500種類の製品を販売していますが、お客様にとってはたった1枚をチョイスすることになります。紫外線対策用のオリジナルデザインを施し世界に1枚の製品を作る、その1枚が大満足になるように、買ってよかったと言っていただけるように、製品づくりとご対応をしたいと思っています。
――製品の開発から販売に至るまでで苦労したことはありますか?
当社製品は特殊です。
「真夏の暑いときに肌を覆いたい」「肌をほとんど覆いながらも、涼しく快適でいたい」「日焼けを極力予防しつつ、通気性は確保したい」思えば、逆の意味のことを同時に行う「難題」に立ち向かっています。その解決策は、素材の技術、母親のIdea、他社とのコラボレーションから生まれています。
製品開発は生活の中、特に育児中に子どもの肌を守りたいと考えて企画に入りました。近年はお客様のご意見からその「大変」を解決するために経験を生かしてIdeaを絞っています。
ただ、それを解決しただけではエポカル製品とはなりません。『お客様の想像を超える「いいね」を追加すること』『エポカルにしかないものを作りたい』と考えつくし、製品化します。
――経営者として大切にしていること(ビジョン)はなんですか?
社会の中で活躍する女性として
「企業」というものをこうありたいという共感を持っていただける理想の会社とし
さらに安心感を持っていただける製品と情報をお届したい
あくまでも「女性」としてこうありたいという働き方を実現する経営者でいたい。自分を含め働く人が幸せであること、さらに、その幸せをベースに私達にしか作れない製品の企画をすること、心から必要としていただける製品を作り届けることを大切にしています。女性だけの会社が成り立つ仕組みと働き方、そして、製品づくりがわたしの一番大切な部分。女性として、母であり、会社と社会の一員であることを実感しつつ、働きやすい環境づくりと新しい働き方を自ら実行していきたいです。
ーー起業する前と現在で考え方の変化やギャップを感じることはありますか?
全く違う視点で物事をとらえることができるようになったと思います。
全てにおいて「受け身」だった起業前。与えられたモノ、与えられた仕事を上手にこなす能力はあったと思いますが、起業後の充実感はありませんでした。
もちろん、責任の重さやリスクは感じますが、それよりももっと「いい製品が作りたい」「必要としている人たちの役に立ちたい」「私しか作れないものを作りたい」という気持ちのほうがずっと強いのです。
また周りに居てくれる人たちの大切さにも気づかされる毎日です。会社は、大きなものに感じますが、やはり人と人とのお付き合いと信頼関係ですべてがまかなわれていると思います。より人を大切にし、その存在とパワーを感じ、大切に思えるようになりました。
――会社(事業)を続けていく上で、大事だと思うことは何ですか?
お金ではなく目標!1つの目標をクリアした時には、すでに次の目標ができている20年間でした。だからこそ、突っ走れたと思えます!やる気と根性、自分のやりたいことが人のためになると信じる事、仲間であるスタッフを信じて同じ目標に向かって1歩ずつ進むことです。
――現在、和光理研インキュベーションプラザに入居されていますが、入居して感じたメリットは何ですか?
何かを開発することに没頭する人たちに会うことが出来ました。憧れの理研に入るパスポートをいただいて、飛び上がるほど嬉しかった。
入居当時の目標である紫外線測定器の設定はモノづくり補助金を国から頂くことによって達成し、さらにその先にあった難病の子供たちのための紫外線防護服を作ること、寄贈することも達成できました。
入居当時は遥か彼方の夢のような話でしたが、こうして叶えられたのは、ここで目標を唱えたからだと思っています。
さらに、何か検査研究をしたい!と思った時に、日本屈指のトップサイエンティストがそろう理研がすぐそこにあること、アドバイスをくださる研究者がいて下さることに感謝しています。
様々な専門家のアドバイスをいただけることも、良かったことです。
――最後に将来の目標や今後の事業展望について教えてください。
和光市の小学校にエポカルの制帽を採用してもらうこと。エポカル製品は紫外線対策用品として唯一の日本学校保健会推薦用品になっています。昨年には、国内で初めて奈良県の小学校に「UVカットフラップ体操帽子」を採用して頂きました。和光市から埼玉県、そして日本全国の小学生に紫外線対策用の制帽を被ってほしいと考えています。
小学校の教科書に紫外線対策を掲載したい。世界一の紫外線対策大国であるオーストラリアでは、紫外線対策は「サンスマートプログラム」という教育プログラムとして、子供たちに根付いています。日本でも手洗い・うがいと同じぐらい、紫外線対策をすることが当たり前になってほしい。その第一歩として、株式会社ピーカブーでは全国の幼稚園・小学校などで紫外線対策講座を実施しています。
ほかにも、日本製の紫外線対策ウエアブランドとしてブランドを世界にPRするためにパリコレに出たい、世界中の色素性乾皮症の会を繋いで情報交換できる環境を作り、さらに医療関係者とも繋いで患者さんにより良い環境を作ることを目指したいなどなど...実現したいことは尽きません。
インタビューはいかがでしたか?
一緒に働く仲間を大切に、明るく前向きにチャレンジし続けている松成紀公子さん。インタビュー中も様々なアイデアや実現したいことが飛び交っていました。
「未来へと挑み続けるチャレンジャー」の皆さんから学ぶ、「明日を拓く」ヒント。これからもインタビュー特集「想いをカタチに」をどうぞお楽しみに♪
埼玉県では女性起業家の成長を支援し、埼玉県から国内外で活躍するロールモデルともいうべき女性起業家を輩出することを目的としたビジネスプランコンテスト「SAITAMA Smile Women ピッチ」を実施しています。今回インタビューを行った松成紀公子さんもSAITAMA Smile Women ピッチ2019にて優秀賞を受賞されています。
埼玉県内には和光理研インキュベーションプラザを含め約30のインキュベーション施設があります。インキュベーション施設とは、起業家の育成や新しいビジネスを支援する施設です。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください