トップページ > しごと・産業 > 産業 > 創業支援 > 埼玉県の起業家インタビュー「想いをカタチに」 > 第14回:田島由衣香さん(アトリエつむぎ)
ページ番号:218639
掲載日:2022年12月20日
ここから本文です。
未来をより素敵なものにしようとチャレンジし続ける埼玉県の起業家や起業家スピリット溢れる経営者の方々にお話を伺うインタビュー特集「想いをカタチに」。
第14回は埼玉県主催の女性のビジネスプランコンテスト「SAITAMA Smile Women ピッチ 」2021年最優秀賞受賞者の田島由衣香さん(アトリエつむぎ)です。
さて、田島由衣香さん流「明日を拓く」ヒントとは?ぜひご覧ください!
アトリエつむぎホームページ https://www.atelier-tsumugi.com/
★インタビューは2022年6月に行ったものです。
――アトリエつむぎの事業について教えてください
川越にあるデザイン事務所です。チラシやパンフレットなどの通常のデザインの他に、メインにしているのが自分史アルバム「きおくあつめブック」の作成です。お客様のご自宅にお伺いし、インタビューで人生について自由にお話しいただきます。そのお話や写真、家系図や年表などをデザインの力でわかりやすく編集して、お孫さんまで家族みんなが楽しく見ることができる1冊を作るサービスです。人生節目の贈り物や、生前整理・終活として、遺品整理としてなど、広くご依頼いただいております。
自分史作成サービスは他にもあるのですが、その多くが安くても30万円~高いものですと130万円くらい…もちろんそれはもっと分厚く、値段相応のサービスだとは思いますが、富裕層向けのものしかありませんでした。デザインも制約があって、写真何枚、文字何文字、というところが多く、私はもっと自由に作れたらいいのになと思いました。
どんな方でもお話を伺っているといろんな人生を生き抜いていらして、お一人おひとりに伝えたい過去がある、家族はもっと知りたいのではないか、と感じました。それなら私が自分で、手軽に記憶を残せるサービスをやろう!と思いつきました。お客様ごとにオーダーメイドで作るので、手間はかかりますが、世界に1つだけの1冊になります。物理的にできないこと以外は断りません。(笑)
「きおくあつめブック」と通常のアルバムとの決定的な違いは、本人あるいはその人を知っている人から、どうしても残しておきたい記憶や微笑ましいエピソードなどをインタビューや資料などから集めて、写真と共に「記憶の財産」として残しておくということです。その制作過程でさらに記憶が甦り、きおくあつめブックに関わる皆様に幸せな時間を過ごしてほしいです。その人の人生を埋もれさせない、忘れさせない、そのためにも「きおくあつめブック」を作ることをご提案します。
――起業しようと思ったきっかけは何ですか?
ずっと起業したいという思いはありました。自分にしかできないことを見つけ、直接お客様に喜んでもらえ、更にずっと飽きずに続けることができ、自分の価値が評価される仕事はなんだろう、と3年くらい考えていました。
結婚式関連のデザイン、ベビーグッズのデザイン、アパレルの輸入販売、建築関係など候補は多岐にわたっていました。
その中で、7年前の祖父の葬儀のことを思い出しました。私はおじいちゃん子で、弔辞も孫の私が読むという異例なこともやりました。そして、父と一緒に祖父の写真をロビーなどに沢山飾りました。それらは私の見たこともない写真ばかりでしたし、祖父の昔の知り合いは最近の写真をもの珍しそうに見ていました。ここにいる人たちは祖父にとって近い人ばかりなのに、きっと祖父の人生の一部ずつしか知らないのだ、と思いました。
そこから、遺品整理もかねて、父から祖父の昔話を聞き、写真などを出してきてもらいました。話しているうちに父も思い出が蘇ってくるようで、その過程も楽しかったのですが、同時に父が年老いたらこの記憶は忘れ去られてしまっていたのではないかと感じました。
あんなに大好きだった祖父の人生が永久に忘れ去られてしまうのはすごく悲しい…記憶をあつめてスクラップブックみたいにまとめるサービスがあれば、家族はずっと思い出を忘れないでいられるし、ご存命の方であればもっと伝えたい思いや記憶を鮮明に盛り込むことができる!と、「きおくあつめブック」を思いつきました。
幸いデザインや編集・取材の経験もあったので、私ならできると確信し起業しました。いいことを思いついたなって自分でも思っています。
――起業してよかったことや得られたことを教えてください
人とのつながりやそこからの学びです。
これだけインターネット社会な現代ですが、私は客層が自分より上の方が多いということもあり、リアルでの人のつながりを大事にしています。
そのため、様々なビジネスの場や地域の取り組みにも積極的に参加しています。それによって「地域の方々」や「経営者の方々」など今まであまり関わらなかった方々と知り合うことができ、ビジネスの仕方や人としての生き方など色々なことを教えていただき、もちろんお仕事もいただくことができています。
特に経営者の先輩方は皆さん実力者なので、時には叱っていただくこともありますが、この年になると叱られたりアドバイスをいただけるチャンスはなかなか無いので、自営業の私にとって本当にありがたいですね。そして、皆さんはパワーにあふれ、基本的にポジティブで、この方たちが力を合わせれば世界だって変えられちゃうんじゃないか、そんな気持ちにまでなります。その中に身を置けると、自分もなんでもできるような気がして力をもらえます。
それからやっぱり自分で仕事をすると、全責任を自分でとるわけですが、自分の気持ちに従って行動できるので、精神的な負担は少ないですね。子育てをしながらの私にとっても都合の良いことが多いです。
――SAITAMA Smile Women ピッチ 2021に参加したきっかけは何ですか?
私のビジネスプランは話を聞いてくださった方には関心を持っていただけることが多いのですが、まずは存在を知って話を聞いてもらわないことにはお客様にも出会えないので、起業して「どう営業していこうかな」と悩んでいました。
そこで、埼玉県主催のSAITAMA Smile Women ピッチへ出場することにしました。目標だったファイナルまで進出することができ、埼玉県でビジネスをする上ではキーパーソンとなる方が沢山いらっしゃる場で話をしっかり聞いてもらうことができ、評価してもらうこともできました。そうすると、キーパーソンの方々を中心にどんどん繋がりが広がっていき、今お仕事をいただけております。
どこに行っても、名刺の裏に書かれた「SAITAMA SMILE WOMEN ピッチ最優秀賞」を見ると、より私のビジネスに興味を持ってくださるように思います。正式な場で認められたビジネスだということは、大きな武器になっています。
ーーSAITAMA Smile Women ピッチ 2021に参加して大変だったことはありますか? それをどう乗り越えましたか?
これほどまでバックアップ体制が整っているコンテストはあまり見ないです。そのため良い意味で忙しかったです。兼業しているファイナリストは少し忙しそうでしたが、私は幸い開業したてでまだあまり仕事がなかったので、コンテストに集中することができました。
そして、エントリシートはほぼ事業計画書ですし、プレゼンテーションは商談のようなものです。ビジネスプランは様々な方に助けていただきながらブラッシュアップされます。このコンテストにしっかり取り組めば、創業期に最高のスタートアップ塾に参加したようなもの。私も締め切りや本番があるからこそ、自分に厳しく全力でやりきることができました。
――現在課題に感じていること、その課題に対して取り組んでいることはありますか?
現在ほぼ一人で営業→取材→ライティング→デザインまでやっているので、生産力が不足しているところが悩みです。
かといって、まだ受注数はそれほど多くなく、利益も少ないので、どこまで1人で頑張るべきか模索中です。たまにピンチがやってきます(笑)
もう少し軌道に乗ったら、元々デザイナーとしてお仕事をされていた方で、子育てなどを理由に退職された方などを登用したいと考えています。私は元々、外に出て人と話すのが好きな、会社でいうと「販促や経営企画・営業部」な人材なので、「黙々てきぱき作業をするデザイン部」タイプの方と手を組みたいです。
――事業の今後の展望を教えてください
今後はまず安定受注ができるようになり、生産性もあげ、たくさんの家族の宝物を作れるようになりたいです。「きおくあつめブック」をつくることを、家族写真を撮るような家族の定番にしたいです。そして、家族みんなで楽しく話をし、終活を考えてもらう機会が増えたらいいなと思っています。幸せな思い出はそれだけで生きていくことができるほどパワーを持っています。
また、7月7日の開業1周年を記念して、自分史アルバム「きおくあつめブック」のペット版「わんだふるぶっく」「にゃんだふるぶっく」を正式リリースしました!人間版以上にリーズナブルで、業界最安値かつ自由度の高いサービスを目指しています。
【プレスリリース:ペット版・自分史作成サービス「わんだふるぶっく」「にゃんだふるぶっく」公式リリース】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000091937.html
インタビューはいかがでしたか?「きおくあつめブック」の作成を通じて、その人の人生や思い出はもちろん、ご自身の想いもカタチにしていく田島由衣香さん。何かしたいことのある人、チャレンジしてみたいことのある人にとっては、背中を押してくれる言葉の宝庫だったのではないでしょうか。
「未来へと挑み続けるチャレンジャー」の皆さんから学ぶ、「明日を拓く」ヒント。これからも、インタビュー特集「想いをカタチに」をどうぞお楽しみに♪
埼玉県では、女性起業家の成長を支援し、埼玉県から国内外で活躍するロールモデルともいうべき女性起業家を輩出することを目的とした、ビジネスプランコンテスト「SAITAMA Smile Women ピッチ」を実施しています。
「SAITAMA Smile Women ピッチ」公式サイト
「SAITAMA Smile Women ピッチ」(別ウィンドウで開きます)
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください