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埼玉県の森林面積は12万ヘクタールで県土の3分の1を占めています。所有形態別にみると、国有林が10%、県営林や私有林などの民有林が90%を占めています。
スギやヒノキなどの人工林面積は6万ヘクタールで、森林面積に占める割合は49%です。残りはアカマツやクヌギ、コナラなどの天然林や竹林となっています。
人工林の約8割が木材として利用可能な時期に達していますが、木材価格の低迷などにより林業の採算性が悪化し、「伐って・使って、植えて、育てる」森林の循環利用が進んでいません。その結果、道から遠い所や地形が急峻な所では管理が行き届いていない森林が見受けられ、水源涵養機能などの森林が持つ公益的機能の低下が危惧されています。
また、最近ではシカによる植栽木や下層植生の食害、クマによる剥皮被害が増加し、林地の荒廃や枯損木の発生が見られます。
丘陵部や平野部では、雑木林から住宅地などへの転用が進み、県民が日常触れ合うことのできる身近な緑としての森林が減少しています。また、かつては燃料(薪炭)や堆肥の原料供給の場として手入れが行き届いていましたが、現在はこれらの利用が少なくなり、竹林の拡大やササの繁茂等、手入れ不足の森林が多くなっています。
森林は木材生産はもとより地球温暖化の防止、水源の涵養、土砂災害の防止など様々な役割を担っており、私たちに多くの恵みをもたらしています。
森林を健全に育成し、次世代に引き継いでいくことがいま求められています。
所有形態別森林面積の割合
樹種別森林面積の割合(国有林を除く)
昭和50年から平成17年の30年間で県内の平地林は東松山市の面積とほぼ同じ6,500ヘクタール失われました。
このため、彩の国みどりの基金を活用して、平成20年度から平成27年度までの8年間で6,500ヘクタールの森林を整備するという目標を掲げて取り組んできました。
この結果、平成27年度末で7,720ヘクタールの森林を整備することができ、目標を達成できました。
しかし、間伐などの手入れ不足の森林が残っていること、シカやクマによる被害が広がっていることなどから、引き続き彩の国みどりの基金を活用して県内の森林を整備していきます。
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平成20年度 から 平成23年度 |
平成24年度 から 平成27年度 |
平成28年度 から 令和元年度 |
計 |
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水源林等、山地森林の再生 |
2,202 |
3,514 |
4,166 |
9,882 |
里山・平地林の再生 |
998 |
1,006 |
535 |
2,539 |
計 |
3,200 |
4,520 |
4,701 |
12,421 |
河川の上流域など水源地域の森林では、間伐などの手入れ不足やシカによる食害などにより森林が荒廃している森林が見られます。
このような森林を対象として、針葉樹と広葉樹が混じりあった針広混交林の造成や、獣害防止柵を設置したあとに広葉樹を植栽するなどにより、荒廃した森林の再生を行っています。
これにより、水源涵養や土砂崩壊の防止、スギ花粉の削減など多くの効果が期待できます。
整備前
林内が暗く下草が減り、土壌流出のおそれがある森林
整備後
針広混交林化しつつある森林
シカによる食害で裸地化した森林
クマに樹皮を剥がされたヒノキ
植栽し、シカ侵入防止柵を設置
はく皮を防ぐため樹皮ガードを設置
本県の久喜市(旧菖蒲町)出身である本多静六博士は日本初の林学博士であり、日比谷公園や大宮公園の設計を手がけるなど多くの功績を残した人です。その数多い功績の一つに明治神宮の森の造成があります。
「本多静六博士の森づくり」は、本多博士が明治神宮の森を造成したときのコンセプトをもとに、森林の少ない地域に新たに森林を造るというものです。
そのコンセプトとは、百年先の森林の姿を想定し、人の力をあまりかけず、自然の力によって世代交代を繰り返しながら永続する森林を造るというものです。
本多静六博士の森づくりにあたっては、地域の住民のかたなどの協力のもと、県民参加で森づくりを行っています。
植栽の様子
下草刈りの様子
植栽して6年後の様子
人工林の約8割は木材として利用可能な林齢に達していますが、木材価格の低迷などにより伐採される人工林が少なく、再造林される面積が極端に少ない「森林の高齢少子化」が進んでいます。
森林は高齢になると二酸化炭素の吸収能力が低下します。
このため、平成27年度から皆伐・再造林を促進し、森を若返らせる事業を開始しました。
多くの人が集う山間部の渓流や湧水箇所周辺において、森林整備や散策路の整備を行い、森と水にふれあえる空間(森水空間)を創出し、健康の増進や教育の場を提供しました。
小鹿野町両神小森地区
丸神の滝周辺の森林整備状況
越生町大谷地区
散策路の整備状況
県民の皆さんに森林の魅力や森林の大切さを実感していただくためには、森林を訪れていただくことが大切です。
このため、「県民の森」など広く県民に開かれた森林に、障がいの有無や年齢にかかわらず多くの県民が訪れることができるようにユニバーサルデザインの視点を取り入れた歩道や展望・休憩ポイントの整備などを行いました。
横瀬町芦ヶ久保地区県民の森の整備状況
神川町矢納地区100年の森の整備状況
病害虫の被害が発生した平地や丘陵地のスギ林を対象として、スギを伐採し、地域やボランティアの方々との協働で広葉樹を植栽することにより、武蔵野の雑木林に再生しました。
整備前
整備後
里山や平地林では薪炭林としての利用が減少し手入れがされないなどの理由により、タケやササ・ツルなどが繁茂しています。タケやササなどが森林に侵入すると群落をつくるので、もともと生育していた樹木を枯らし、生物多様性が失われてしまいます。
また、景観が阻害されるほか、林内の見通しが悪いことにより防犯上の問題が生じます。
このため、タケやササなどを伐採して、健全な森林に整備しました。
整備したあとはボランティアの方々の力をお借りして、再び生えてくるタケやササなどの刈払いを行っています。
整備前
整備後
整備前
整備後
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