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ページ番号:266088

掲載日:2025年3月26日

令和7年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(田並尚明議員)

インターネットにおけるいじめや差別の撲滅について-インターネットによる部落差別の撲滅について-

Q 田並尚明 議員(民主フォーラム)

部落差別については、もういないと主張される方もいらっしゃると思いますが、私の周りではまだまだ根強く差別が残っているのも事実です。
この間もいつも仲良くしているおばあちゃんのところへ訪ねましたら、いつも行くとにこにこして「ああ、よく来たね」とおっしゃってくれるので、「おばあちゃんも元気でいいですね。いつも笑顔がいいですね」と言ったら、「だけど、私の人生の半分は差別による闘いだったんだよ」という言葉を初めて聞きました。その言葉を受けて、更に部落差別やいろんな差別は絶対に許せないという気持ちを新たにしたところでございます。
インターネットによる部落差別においては、全国各地の被差別部落を訪れ、地元住民に承諾を得ず個人住宅の表札や自動車のナンバープレート、姓名が入った墓地の墓碑銘等の画像を公表し、被差別部落をさらしものにしている悪質な差別行為を行っている、とんでもない人物もおります。
この人物は平成28年に全国部落調査の復刻版を出版しようとし、そのとき東京高裁は、出版の差止めとインターネットからの削除命令をする判決を出しました。特に東京高裁では、裁判で大きな争点となっていた「差別されない権利」を実質的に認め、被差別部落の地名公表は、不当な差別を受けることなく、人間としての尊厳を保ちつつ、平穏な生活を送ることができる人格的な利益を侵害するものだという画期的な判決を出しました。
先ほどのインターネットによる悪質な差別行為は、平成27年12月から始まり、当初は4か所だったものが令和7年1月時点では393か所となり、新潟県や長野県など掲載された地元自治体の首長が、市民がさらしものになっていることは人権擁護上、容認できないとして、地元の法務局や法務局支局に直接出向いて削除要請を行っております。
本県では19市町で33か所の被差別部落がネットに掲載されましたが、そのうち狭山市、入間市、日高市、川越市、坂戸市、鶴ヶ島市、志木市、加須市、熊谷市、白岡市、川口市、上尾市、行田市の13市長又は副市長が、さいたま地方法務局や支局に削除要請を行ってくださいました。
埼玉県議会では埼玉県部落差別の解消の推進に関する条例を制定しており、その第3条では、インターネットの利用による情報の提供を差別行為として禁止しており、正しく県条例に違反する差別行為にほかなりません。
そこで、お伺いいたします。
ネット上の差別行為は、部落差別を拡大・助長する悪質な行為であり、県条例にも違反しております。本県の条例違反であるインターネットの部落差別に対してどのような対策を講じていかれるのか。
大野知事がさいたま地方法務局に文書で削除依頼を要請してくださっているところですが、大野知事が直接さいたま地方法務局に出向き削除要請をし、それを報道していただければ、今まで以上に部落差別だけでなく、いじめや誹謗中傷などのネットの書き込みに対する県民の意識も変わっていくのではないかと。加えて、情報流通プラットフォーム対処法施行前の今行うことで、埼玉県は差別を絶対に許さないという強いメッセージを発信することになると思うのですが、知事の御所見をお伺いいたします。

A 大野元裕 知事

インターネット上での被差別部落を対象とした差別的な書き込みは、更なる差別を助長するものであり、絶対に許されるものではありません。
差別解消のためには、同和問題の正しい理解が重要であることから、県では啓発冊子の配布や研修を通じ、県民の人権意識を高める取組を行ってまいりました。
さらに、昨今、ホームページやSNS上での誹謗中傷などの問題が深刻化していることから、「インターネットと人権」をテーマにイベントを開催するなど、ネット上での人権侵害を防ぐ取組にも力を入れております。
「埼玉県部落差別の解消の推進に関する条例」第3条では、インターネットの利用による情報の提供により部落差別を行ってはならないと規定しております。
県では、この条例の趣旨にのっとり、市町村と連携し、インターネット上への県内の同和地区情報の掲載を把握した場合には速やかに、さいたま地方法務局に対し、適切な対応を要請しております。
今後も、市町村や関係機関と連携を密にし、これらの施策に粘り強く取り組んでまいります。
次に、知事が直接さいたま地方法務局に出向いて削除要請をすることで、強いメッセージを発信すべきについてであります。
議員お話しのとおり、令和5年11月に、知事名の文書でさいたま地方法務局長に対し、ウェブサイトの管理者等に対する必要な措置を直ちに講ずるとともに、事案の発生防止に向けた対応を図るよう依頼いたしました。
他方、個別の事案の削除要請を繰り返すことは、正に対処療法的なものであり、被害防止の観点からは必ずしも十分ではないと考えます。
インターネットは発信者が特定しにくい匿名性に加え、瞬時に情報が拡散される特性があり、深刻な被害を防止するためには、誹謗中傷等の情報の速やかな削除を可能にする法整備など、根本的な対策が必要であります。
そこで、国に対し、人権侵害情報の拡散防止に資する実効性ある法制度の整備と被害者救済制度の確立を繰り返し強く要望してまいりました。
こうした要望により、一定規模の事業者に対し、削除申出への対応の迅速化や運用状況の透明化を義務付ける「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」いわゆる情報流通プラットフォーム対処法が昨年5月に成立し、本年5月までに施行されることとなります。
しかし、この法律では中小プラットフォーム事業者が義務の対象外であることや、削除の申出ができるのは本人に限定されるなど、課題も多いと考えています。
こうした課題を根本的に解決し、より実効性のある制度となるよう、私自ら国に直接足を運び、強く要望してまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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