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ページ番号:266064

掲載日:2025年3月26日

令和7年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(田並尚明議員)

知事の目指す埼玉県経済について

Q 田並尚明 議員(民主フォーラム)

埼玉県は、全国有数の経済規模を誇る地域であり、首都圏の一翼を担う重要な産業集積地です。県内総生産(GDP)は全国でも上位に位置し、多様な製造業、物流業、サービス産業が発展しています。加えて、東京都心へのアクセスの良さや高速道路、鉄道の整備により、物流拠点としての強みも有しています。
しかしながら、現在の埼玉経済は、深刻な構造的課題に直面しています。その一つが、2024年問題と言われる人手不足の深刻化です。特に物流業界、建設業界、医療・福祉分野では、時間外労働の上限規制や少子高齢化の影響により、慢性的な人材不足が進行しています。
特に物流分野では、2024年問題による輸送能力の低下が経済全体に与える影響も懸念されており、企業の経営環境にも大きな影響を及ぼし始めています。
また、2025年問題として、団塊の世代が後期高齢者、75歳以上に突入することによる社会保障負担の急増、生産人口の減少が予想されます。医療、介護の需要が増大する一方で、これを支える人材や財源の確保が大きな課題となります。
これらの問題は、埼玉県の地域経済にも大きな影響を与え、県全体の経済成長を鈍化させる可能性があります。
さらに、国際情勢の変化も無視できません。今年、アメリカ大統領に再任されたトランプ大統領は、自国第一主義(アメリカファースト)の政策を更に推し進める姿勢を見せています。特に、中国に対する追加関税の引上げ、日本との貿易交渉の再開、自動車、半導体関連の関税強化などが予測されており、埼玉県の産業にも影響を及ぼす可能性があります。県内には自動車部品産業をはじめとした多くの輸出型企業があり、国際サプライチェーンの混乱が企業活動に影響を与えかねません。
また、急激なドル高や円安が進行することで、輸入物価の上昇による県内の物価高騰や生活コストの上昇も懸念されます。
こうした国内外の環境に対応し、埼玉県経済の持続的な成長を実現するためには、県としての明確なビジョンと政策の方向性が求められています。
このような状況の中、大野知事の経済政策の目玉として、一つ、強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議、二つ、サーキュラーエコノミー、三つ目、渋沢MIXがあります。それぞれの施策に関して、知事にお伺いいたします。
1の強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議の中で、特に人手不足に対しては、人手不足対策分科会を設置し、その中で産官学金労が一体となった検討を進めています。今後、これらの取組を加速させるためには、経済のデジタル化を前提とした新産業の創出、AI、ロボット技術の活用による労働生産性向上、外国人人材の受入れの拡充などが必要不可欠ではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
2のサーキュラーエコノミーについては、持続可能な経済モデルの構築として、資源循環型社会の実現を目指し、産業廃棄物削減やリサイクルの推進、再生可能エネルギーの活用といった観点からも、地域経済の発展にも寄与すると期待されるものと承知しております。現在、企業との連携による資源の有効活用や新たなビジネスモデルの創出が進められていますが、更にこの取組を広げるためのインセンティブ制度や支援策が必要ではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
三つ目に、今年の夏オープンする渋沢MIXについては、企業の新規事業創出や産学連携を促進するためのプラットフォームとして機能すると期待されていると思いますが、今後どのような形で地域経済へ波及効果をもたらすと予想しているのか。また、企業誘致やイノベーションの創出にどの程度貢献していくのか。具体的な成果についてのイメージを詳しく知事にお伺いしたいと思います。
最後に、これらの課題と施策を踏まえ、埼玉県経済の今後の方向性を考えるに当たっては、私は人への投資、強靱な産業構造の構築、持続可能な経済成長の実現の3点を重視すべきではないかと考えますが、大野知事が目指す今後の埼玉県経済についてどのようなビジョンをお持ちなのか、知事のお考えをお伺いいたします。

A 大野元裕 知事

県では、時代の変化を先取りし、時宜を捉えた施策を機動的に展開することが重要であることから、「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」において様々な議論を行い、議論にとどまらず、施策の実装に出席者が責任を持つことを前提に、産・官・学・金・労が連携した取組を進めています。
人口減少・超少子高齢化という大きな時代の転換点にある中、議員お話しのデジタル化やAI等による労働生産性向上、外国人材の活用などは重要な政策課題と考えており、戦略会議においても議論を重ね、様々な施策に結びつけています。
外国人材の活用については、今年度、戦略会議の下に設置した「人手不足対策分科会」でも議論いたしました。
これを受けて令和7年度予算案として、外国人材確保支援のためのポータルサイトの充実や企業に助言を行うアドバイザーの設置、外国人介護人材確保・定着のための採用未経験施設向けセミナーの実施、事業所が登録支援機関に支払う初期費用の補助及び資格取得費用の支援等についてお諮りをしたところです。
引き続き、戦略会議の枠組みを活用し、強い経済の構築に向けて関係機関が知恵を出し合い、ワンチーム埼玉で効果的な施策を推進してまいります。
次に、サーキュラーエコノミーについてであります。
本県経済を持続的に発展させるため、中長期的な視点において環境と経済を両立させるサーキュラーエコノミーに取り組むことは、極めて重要と考えています。
県では、大規模な消費地と生産地が同居する本県の特性を活用し、一から新たな産業を興すのではなく、廃棄物処理に経費が掛かっている現状を逆手に取り、産業として成立させることを意図し、「サーキュラーエコノミー推進センター埼玉」における県内企業の相談対応やマッチングのほか、様々な支援によるリーディングモデルの構築など、本県ならではの施策の実行により推進をしてまいりました。
令和7年度もサーキュラーエコノミーの取組を更に加速するため、インセンティブを高める取組や様々な支援を行ってまいります。
再生材をもとにして作られたサーキュラーエコノミー型製品は、一般的に価格が高く消費者に選択されづらいとも言われています。
このため、製品の登録制度を創設し、登録した製品だけに使用できるマークをインセンティブとして付与するとともに、再生材の由来やCO2低減効果といった環境的価値の情報を発信し、消費者の購入意欲を高めてまいります。
また、サーキュラーエコノミーの取組は大企業が先行しており、ニーズも多く抱えていることから、そのニーズを調査し県内企業をマッチングすることで、ビジネスチャンスを拡大してまいります。
さらに、県民の皆様に身近で、製造や廃棄に環境負荷が大きい衣料品について、周辺自治体等と連携して再生製品の販売促進イベントを広く実施することで、衣料品のサーキュラーエコノミーに取り組む県内企業を後押ししてまいります。
こうした新たな取組を加えることで、県内企業のサーキュラーエコノミーについて、より一層推進できるよう努めてまいります。
次に、渋沢MIXについてであります。
人口減少・超少子高齢社会の到来による働き手不足やDX、GXへの対応など、社会には多くの課題があり、これに対応し本県経済が持続的に成長していくためには、担い手となる企業のイノベーションが不可欠であります。
そこで、私は、渋沢翁が適切な人をマッチングすることで企業を成長に導いたことに倣い、「渋沢MIX」を企業や起業家、大学、自治体など多様な主体が出会い、つながり、共創するイノベーション創出の場としていきたいと考えています。
ここでは、様々な主体のアイデアや技術、リソースを組み合わせ、新しい発想で課題解決を図るオープンイノベーションにより、県内企業が新たな製品やサービスを生み出すことで、県経済の活性化に取り組んでまいります。
また、スタートアップ企業がいかに優れていたとしても、人を雇用するまでに至るには多くの困難があり、県内のスタートアップの種や県内外で出始めた芽を「渋沢MIX」で多くのマッチングを成立させることにより、将来の埼玉県経済をけん引する企業に育ててまいりたいと思います。
「渋沢MIX」が企業のイノベーションを持続的に創出していくエコシステムのハブとなることで、社会課題の解決を図り、地域経済に波及効果をもたらしてまいります。
次に、埼玉県経済についてのビジョンについてであります。
本県は、人口減少・超少子高齢社会の到来という歴史的課題に直面しており、これまでのように需要を喚起さえすれば経済が良くなる時代ではなく、コスト高や人手不足により供給が需要に追い付かない時代に変化してきております。
こうした時代の転換点において、私は、生産性の向上や新たな価値の創出が今まで以上に重要な時代になったと考えており、議員お話しの「人への投資」、「強靭な産業構造の構築」、「持続可能な経済成長の実現」は大変重要な視点であると考えます。
人口減少・超少子高齢化という大きな時代の転換点にある中、議員お話しの新産業の創出やデジタル化、AI等による労働生産性の向上、外国人材の活用などは重要な政策課題と考えております。
労働生産性の向上については、戦略会議においても議論を重ね、様々な施策に結び付けており、外国人材の活用については今年度、戦略会議の下に設置した「人手不足対策分科会」でも議論してまいりました。
特に喫緊の課題である、価格転嫁の円滑化については「埼玉モデル」として、全国に先駆けた取組を展開しており、令和6年9月の埼玉県四半期経営動向調査においては、6割以上価格転嫁ができた企業の割合が初めて5割を超えるなど、国を大きくリードしております。同時に、価格転嫁が進んだ企業は賃上げ実施率が高い傾向にあることが改めて確認できました。
企業のサプライチェーンは埼玉県内では閉じていないことから、今後は「埼玉モデル」の全国展開に努め、本県が国に先駆けて政策をリードしてまいります。
今後も、本県経済の持続可能な成長の実現に向けて、時代の変化を先取りし、時宜を捉えた効果的な施策を先手先手で実施してまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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