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掲載日:2023年3月14日

令和5年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(吉良英敏議員)

とねっとにおける県民データの取扱いについて - とねっとの終了と県民データの取扱いについて

Q   吉良英敏 議員(自民)

まず、とねっとの終了についてお伺いをいたします。
先日、埼玉利根保健医療圏地域医療ネットワークシステム、いわゆる「とねっと」が終了するという報道がありました。とねっとは、利根保健医療圏である行田、加須、羽生、久喜、蓮田、幸手、白岡、宮代、杉戸、この7市2町の地域の病院、診療所、歯科医療機関及び調剤薬局等を安全なネットワークで結び、患者さんの情報を共有するシステムです。近年、新たな機能を追加して健康記録機能も拡大させ、在宅医療や介護連携への活用も進めてきました。
埼玉県は、このとねっとに平成24年に初期費用と平成29年のシステム更新費など、これまで運用11年にわたり約10億円を投じてきました。このことを考えると、県はとねっとの大きな旗振り役の1人と言えるのではないでしょうか。
終了の理由を簡潔に言いますと、各自治体が負担する運営費用がかさんだためとのことです。要は財政難です。今後は令和5年度の1年間を延長し、事業を終了する旨をとねっとのサイトで公表をしています。
しかし、この一連の結末を見ると、このDXの時代に県民データとシステムを先の見通しが立たない中で終了してしまうことは、県民の財産をどぶに捨てているように思いました。正に、貴重な県民のデータをポイ捨て、不法投棄をしているようにも思えます。せめて国はマイナポータルなど情報一元化に向けて取り組んでいるところですので、移行できるかどうかを調査し、それが分かるまでは継続していくなど、柔軟で慎重な判断が求められます。地元の医師会でも、これまで本当に一生懸命に普及啓発と加入促進に取り組んでくださいました。
「とねっとん」というキャラクターもいます、こちらです。一応、マスクもしてきました。でも、ここからはマスクを取って、こんな顔をしています。うまくこの情報データを移行、そして継続させていけば、とねっとは終わっても、とねっとジュニアへとデータ蓄積からくる貴重な遺伝子のようなものが継続していきます。とねっとジュニアです。
正に、データのリサイクルです。サスティナビリティであります。木を見て森を見ず、財政難という一面のみを見るのではなく、とねっと、すなわちデータが持っている価値全体を見ることが必要です。これまで投じた費用と労力、そして何よりも県民の貴重な財産であるデータをとねっとは持っています。知事は、この終了判断をどのように考えますか、御所見を伺います。
次は、県民データの取扱いについてです。これは、とねっとのデータに限った話ではありません。私はこれからの時代、価値あるデータを組み合わすこと、すなわちデータをデザインし、新たな価値を創造していくことが必要であると考えています。
例えば、評価が微妙なコバトン健康マイレージ事業、このデータととねっとのデータを連動させることができれば、県民のより詳細な健康状態の把握が可能になるかもしれません。また、縦割りを超えて埼玉県の学力学習状況調査、いわゆる県学調のデータと医療情報や健康情報を将来結び付けることができれば、子供たちのコンディションを可視化し、ベストパフォーマンスに結び付けることができるかもしれません。
昨年、東京日比谷で開催されたウェルエイジング経済フォーラムに出席し、私はスピーチをさせていただきました。この経済フォーラムは、高齢先進国日本の2050年を見据えたビジョンを描き、その実現のため政官民産学、立場を越えた競争、公益コミュニティで、厚生労働省、文部科学省などが後援をしております。
私は、そこでもケアラー支援の話をしました。介護離職が年間十万人もいる社会、その予備軍も含めると、国民の多くがケアの負担に苦しんでいる。そのような社会で労働生産性だとかGDPだとかが上がるはずがない。これは社会的投資が必要だ。それを補うのがデジタル化、テクノロジーである。そういった持論です。ちなみに、私はこれをデジタルケアタウン構想と名付けております。
そして、更にこのフォーラムが御縁でフィンランド大使館の方と大使館で面談し、当国と、フィンランドですね、当国のデジタルヘルスデバイスやシステム等を埼玉県の医療情報システム構築の参考にしてみてはなどというようなお話も頂きました。これは世界中の企業があらゆるデータを生かしながら、健康を主力産業にして膨大な投資をしている、そういうことでもあります。
正に、テクノロジーで幸せをつくり出そうとしている時代、一人ひとりの良き人生の実現、これに投資をしていく時代だというふうに思います。ちなみに、フィンランドの人口は埼玉県より少ない530万人です。国連調査によると、フィンランドは5年連続で幸福度世界一です。一方、日本はG7の中で最下位です。
私は、こういったことは広域自治体である県こそが率先して取り組むべき重要なことだと思っています。縦割り、そして地域割りを超えて価値あるデータを活用し、新しい価値をデザインしていくことが必要です。このことについて、知事の御所見を伺います。

A   大野元裕 知事

とねっとの終了の判断をどのように考えるかについてであります。
「とねっと」は、平成24年度のシステム稼働以降、利根保健医療圏における地域医療を支えるシステムとして重要な役割を果たしてまいりましたが、利用登録者数が地域人口全体の約5.5パーセント、参加している病院が6割、診療所は約2割にとどまっている状況にありました。
埼玉利根保健医療圏医療連携推進協議会の事業終了の結論は、こうした現状や、「とねっと」と目的を同じくする「全国医療情報プラットフォーム」の構築を国が進めている状況も踏まえ、市町村の負担との費用対効果を考えるとやむを得ない判断であり、県としては発展的解消としての協議会の意思を尊重したいと考えております。
今後、「とねっと」で使用しているデータを有効活用し、県民の健康や医療に役立てられないかについて検討することは、議員御指摘のとおり意義があると考えます。
発展的な解消とするためにも「とねっと」のシステムの運用から得られた知見を生かすよう、引き続き国に強く働き掛けるとともに、県民の貴重な財産であるデータの活用についても、協議会とともに検討してまいります。
次に、「縦割り、地域割りを超えて価値あるデータを活用すること」についてでございます。
本県はこれまでも、エビデンスに基づく政策立案にはデータの利活用が不可欠との認識から、幅広い行政分野でデータの収集と活用に取り組んでいます。
例えば県医師会等と連携しレセプトデータを活用して、糖尿病の重症化予防プログラムを実施し、埼玉方式として骨太の方針で紹介されるなど、データ活用の黎明期から先駆けとなる取組を進めてまいりました。
これまでは、収集したデータを最大限活用しようとしても一定の限界がございましたが、デジタル技術は日進月歩であり、今日ではより低廉な費用で様々なデータの収集や分析が可能となっています。
今定例会に上程している新たな健康増進事業は、例えば民間企業と共同して歩数健康データを取り込み、将来的に市町村の特定健診データと連動させることができる取り組みであり、縦割りや県民の垣根を超え、データ活用を図るものでございます。
今後も、過去の事業で蓄積したデータも含め、様々なデータを組織や地域の枠を超えて連携・共有し、政策に生かしていけるよう努めてまいります。

再Q   吉良英敏 議員(自民)

私が2つ目に質問した縦割り、地域割りを越えて価値あるデータを活用し、新しい価値をデザインしていくこと、それに対する知事の所見ということで伺ったんですけれども、知事はデータを活用し、組織、地域の枠を越えて取り組んでいくと。糖尿病、レセプトデータのお話も引用していただいて話があったんですけれども、私からすると一言で言えば、お役所答弁であります。
地域割りとか縦割りを壊すというのは、非常に簡単ではないです。とねっとの例をとりますと、例えば、糖尿病というのは年間約1人に500万円かかります。とねっとを活用して何十人も透析から守ったとしても、そのことというのは財源の検討の中の議論には入ってこないんです。
例えば、利根医療圏で年間6人の透析を1年先延ばしというか、透析を予防して遅らせただけで、その運営費というのは賄うことができるんです。そういった中で、一方、国保を管理するのは埼玉県という話になるので、透析を延ばした部分の医療費の削減というのは議論の中に入ってこない。
ですので、市町村がこのビジネスモデルで運営費用を、予算を投じるには限界があるという実態があったと思うんです。これは全体のグランドデザインというのをデータとか活用して、組織、地域を超えてデザインしていないから、こういった事態になったわけであります。
知事の方では、組織や地域を超えて取り組んでいくという話があったんですけれども、現実はそういうふうにはなっていないということでございます。再度、そのデザイン、データを生かした地域割り、縦割りを超えたデザインという意味で再度御答弁いただければと思います。

再A   大野元裕 知事

とねっとを活用して医療費を削減することにつきましては、国、県、市町村と、それぞれ所管が違いますので縦割りということになろうかと思います。
他方で、とねっとのシステムを考えた時に、現状の利用率、そして国が進めている全国医療情報プラットフォームが地域を越えたものであり、データの連携がより縦割りを超えて可能になる可能性を秘めているところ、これらの市町村の負担だけに着目することはしておらず、費用対効果を考えての判断で考えますと、縦割り地域割りを越えたデータ活用の推進が期待されております
我々としましてもこの件にとどまらず、今後、健康を維持すること、医療費を削減することなど、俯瞰的な観点から今後データを活用することを推進していきたいと考えております。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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