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掲載日:2023年3月14日
Q 吉良英敏 議員(自民)
私は、まず支援の全体像と具体像を示していくことが必要だと思っています。全体像とは、ケアラー支援とは何ぞや、これをはっきりと分かりやすく示すことです。
ケアラー支援条例で最も大切なことは、第3条の基本理念、個人を尊重し、社会全体で支援すること。当たり前のように思われるかもしれませんが、これまでは個人を尊重せず、家庭、家族にケアが丸投げをされてきました。それが日本社会のケアの現状であります。
その家庭、家族が小さくなっています。私が小学生の頃は5.6人。では、今は皆さん、どれくらいだと思われますか。2.2人です。東京に至っては1.9人。もはや家族で支え合うというのは、昭和の残像とも言えます。
私も講演などのときに孤独、孤立、これは社会課題の共通項で家庭的な社会とか、まんまる社会を目指すなんていう表現をします。でも、これからどんな社会を描いていくのか。今の社会に何が足りなくて何が必要なのか。結論から言うと、よく分かりません。だからこそ、灯台のような目印、拠点が必要です。私たちがその存在にならなければなりません。
そこで、まずケアラー支援の全体像について、福祉部長に伺います。
次に、以下具体策について、福祉部長に伺ってまいります。
まず、条例ができたことで最も力を入れなければならないことは、ケアラーの緊急時の対応や、親や家族亡き後の要介護者の生活の継続、自立についての支援です。ケアラーから最も多い声は、私に何かがあったとき、私がいなくなったとき、この亡き後の問題であります。
そして、私はこの親亡き後問題は解決することができると思っています。その答えは、先ほどケアラー支援条例第3条の基本理念、個人を尊重し、社会全体で支援する。特に、障害等のある人の兄弟の立場のケアラーは、子供時代のみならず、親の緊急時、亡き後に保護者的役割でケアの責任を負わされることが少なくありません。兄弟自身の生活や意向を尊重した上で、対応が必要になってきます。
平時から緊急時を想定した準備、ケアを必要とする人の自立への具体的な支援策が必要です。どのような支援策に取り組むのか、見解を伺います。
高齢者介護のケアラーやヤングケアラーの理解は一定程度広まり、NPOや地域包括支援センターによってケアラーズサロンなどが主催されるようになりました。
一方、障害児・者のケアラー、難病時のケアラー、医療的ケア児のケアラー、依存症の家族を持つケアラーなど、多様なケアラーには支援が届いていません。当事者が団体をつくって、その中でケアラーズサロン的な場を開いて、多様なケアラーが孤立せずに出会えるように努力をしています。
そこで、多様なケアラーズサロンについてどのように支援していくのか伺います。
さて、皆さん、選挙が近付いてきました。今月告示、気合いを入れていかなければなりません。私は、ここ数年、政治活動の中で後援会名簿に沿って郵送という伝達から、公式LINEでの発信とやり取りに移行しております。集会を開催するために大学生たちに手伝っていただき、その場で来場される御年配の皆さんの登録のお手伝いをします。現在まだ300人程度ですが、タイムリー、双方向でやり取りできるため、つながりの強さを実感しています。相談や世間話、価値ある情報を逆に私が頂いています。
2022年度にLINEを利用して実施されているヤングケアラーチャンネル、これは専門の非営利団体が業務を担ったことから、時差を置かない親身な相談が可能でした。アプリを利用したことから、ポータルサイトにアクセスしなくても情報が届けられました。
そこで、ヤングケアラーだけでなく、全世代の多様なケアラーがアプリを利用した双方向で時差のない情報提供や相談ができるようにすべきだと思いますが、御見解を伺います。
次に、ケアラー支援を担う新たな部署、拠点の新設についてです。
ケアラー支援、ヤングケアラー支援は、自治体にとって新しい課題です。既存の組織体制で果たして対応はできるのでしょうか。複雑、複合的な状況にあるケアラーを支援するには、既存の業務と兼務では限界があります。また、複数の部署、機関との連携も必須です。このことを踏まえ、横断的、専門的な業務を行う部署の新設が必要なのです。
また、県は市町村の支援を行うことになっています。新たな部署は基礎自治体のバックアップを担う役目もあります。ケアラー支援は、これまでになかった概念であり、新しい福祉の分野です。よって、新体制が必要なのです。
ケアラー支援の目印となるようなケアラー支援の部署、拠点の設置について伺います。
以上につきまして、福祉部長に伺います。
A 金子直史 福祉部長
ケアラー支援の全体像についてお答えを申し上げます。
議員お話しのケアラー支援の全体像については、ケアラー支援とは何かという観点からすれば、条例の基本理念にあるとおり、ケアラーが個人として尊重され、その日常生活において、その人らしい生活が送れるようにすることであると考えています。
こうした理念を踏まえ、県では、令和3年3月に「埼玉県ケアラー支援計画」を策定し、広報啓発や人材育成、支援体制の構築を行っているところです。
次に、平時から緊急時を想定した準備、ケアを必要とする人の自立への具体的な支援策についてでございます。
自分にもしものことがあったらと、不安を抱えているケアラーは少なくないと考えます。
特定非営利活動法人さいたまNPOセンターが作成した、ケアに関する緊急引継ぎシート「埼玉版ケアラーのバトン」は、こうした場合に非常に有効であるため、市町村などの関係機関に対して活用を働きかけてまいります。
また、議員お話しの、特に障害等のある方に対しては、身近な地域で平時から緊急時を想定した相談にも対応できるようにするため、市町村の基幹相談支援センターの整備を促進しているところです。
さらに、急にケアが難しくなった時のためにショートステイや、自立への支援としてのグループホームの整備も行ってまいります。
次に、「多様なケアラーズサロン」に対する支援についてでございます。
ケアラーを支えていくためには、当事者同士が日々の悩みや不安などを話し合うピアサポートの場であるケアラーズサロン、いわゆる介護者サロンは非常に重要であると考えております。
実際、介護者サロンの参加者からは「話をきいてもらえること」や「情報を入手できること」がとてもありがたいといった声を聞いております。
県といたしましては介護者サロンの普及を図るため、立ち上げ支援のためのマニュアルの作成のほか、周知用のチラシの配布等を行ってまいりました。
議員お話しの多様なサロンについては、例えば障害児者なら障害児者をケアしている方同士の方が共通した悩みが多いと思いますので、ケアの対象が同じ方 かた が集まれるサロンの設置を促進することも必要と考えます。
そこで、令和5年度から予定している介護者サロンの担い手研修の実施に当たっては、多様なケアラーへの支援という観点も踏まえて、関係団体の意見も聞きながら、多様なサロンが設置できるよう担い手育成や運営のサポートなどをしっかりと行ってまいります。
次に、全世代の多様なケアラーがアプリを利用しての相談についてでございます。
県では、令和4年9月からヤングケアラーが元ヤングケアラーに悩みを相談したり、話を聞いてもらえる場所としてヤングケアラー向けLINE相談「埼玉県ヤングケアラーチャンネル」を開設しております。
ヤングケアラーチャンネルでは、相談のほか、元ヤングケアラーの体験談やオンラインイベントなど様々な情報を発信しております。
LINE相談については、気軽にいつでも相談できるというメリットがあることから、議員お話しの全世代に向けてについては、相談体制が整ってきた各市町村での実施が効果的と考えております。
国の交付金等の活用も含めて、市町村に実施を働きかけてまいります。
次に、「ケアラー支援の部署・拠点」の設置についてでございます。
ケアラー支援については、関係課がその専門性を生かしつつ、連携して対応していくことが有効と考えております。
県では、現在、地域包括ケア課が中心となり、ケアラー支援計画に基づいて、福祉や保健医療、教育、労働などの庁内の関係課と連携してケアラー支援の施策を進めております。
例えば、市町村のバックアップという点では、人材育成について、福祉部と教育局が連携して市町村職員に対して教育福祉合同研修を実施しております。
複合的な課題にもしっかりと対応できるよう引き続き、庁内の関係部署と一丸となって、ケアラーの支援を行ってまいります。
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