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掲載日:2023年3月14日
Q 岡 重夫 議員(県民)
私は、昨年の県議会の代表質問で、農水省の緑の食料システム戦略に有機農業の取組面積の割合を2050年までに全耕地面積の25%とあるが、現状、0.2%からどのように目標を達成するのかという質問を行いました。これに対して知事から、県は2050年の目標を見据え、有機農業の拡大に向けた取組を着実に進めていく旨の答弁を頂きました。しかし、世界の現状を見た場合、一番高いイタリアでは16.0%、ドイツでは10.2%などを考えると、日本の目標値が高過ぎると考えています。
一方、どうして日本では有機野菜の良さが叫ばれる中、有機栽培農家の数が増えないのでしょうか。その理由は、大きく4つあるようです。1つは、有機農法にすると化学的に合成された農薬や肥料が使えないので、栽培に技術力が必要なこと。2つ目は、除草剤が使えないので、雑草の除去に手間暇がかかってしまうこと。3つ目は、有機JAS認証の取得に手間がかかること。そして、4つ目は、日本とヨーロッパの国民の有機栽培への考え方の違いです。
特に、この4点目の考え方の違いについては、日本は有機栽培野菜は体に良い、おいしいという理由で購入しますが、ヨーロッパでは環境に良いという理由で購入され、売上げが飛躍的に伸びているそうです。環境問題に対する国民の考え方の違いがはっきり表れています。
そこで、日本でも環境面での有機栽培野菜の良さについて理解を深めてもらうことが大事だと痛感しています。昨年、農林部の担当者が宮代町にある日本工業大学の名誉教授が支援する蛭田農園の有機栽培農法を視察し、現場で有機栽培が環境に良い影響を与えている取組を見せてもらいました。
ところで、昨年の私の代表質問で「政府の有機農業の目標値2050年の25%を県としてどのように達成するのか」という問いに、知事は「先進農家を核として生産から流通、消費の観点も取り入れた地域ぐるみの有機農業を確立する取組を支援し、全国のモデルとなる産地を育成する。さらには研究や普及、栽培指導などを担う人材の育成、確保も図る」などの前向きな答弁をいただいています。具体的に、先進農家を核とした全国のモデルとなる産地を育成することが急務で、その成功例によって横に広がることになると考えます。
そこで、有機農業が環境面でも良いことを知ってもらい、県民の環境問題の関心を高めるための啓発活動などをしてはいかがでしょうか。まず、この件に関する知事の御見解を伺います。
また、全国のモデルとなる産地の育成状況について、知事に伺います。
A 大野元裕 知事
有機農業が環境面でも良いことを知ってもらい県民の環境問題への関心を高めるための啓発活動についてでございます。
議員御指摘のように、日本政策金融公庫の調査でも、有機農産物の購入理由は「体に良いから」が47%を占め、環境保全への寄与を評価して購入する人は16%にとどまっております。
国の調査では、有機農業など環境保全型農業は、一般の栽培と比べCO2排出量が約4割削減となることや、生物多様性の保全に資することなど、環境面の効果が明らかにされております。
有機農業の拡大を図るには、消費者にこうした情報を周知をし、理解を得ることで、生産者の取組に社会的価値を認めて購入するエシカル消費を普及させていくことが重要であります。
本県は生産地と消費地が近いという強みがあり、県では、有機農業者が市町村やNPOと連携して消費者と交流する活動などを支援してまいりました。
令和4年度は、有機農業関係者の交流の場として埼玉県有機農業プラットフォームをSNSに立ち上げ、生産者、消費者、販売流通業者の結びつきを促進しております。
また、埼玉県SDGs官民連携プラットフォームや消費者団体との意見交換の場でも、環境に優しい農業やエシカル消費について情報発信してまいりました。
今後、イベントなどでのPRを継続するとともに、量販店との連携を深め、チラシ配布やポスターの掲示などにより、情報発信の強化を図ってまいります。
さらに、県では下水汚泥の堆肥化に取り組んでおり、下水汚泥の活用がCO2削減や化学肥料の低減に寄与することを生産者や消費者にPRしていきたいと考えています。
こうした取組を通じて、有機農業を含む環境に優しい農業の価値について、県民の理解を促進してまいりたいと考えております。
次に、全国のモデルとなる産地の育成状況についてであります。
国は、有機農業推進のモデル的先進地区として、2025年までに100市町村で「オーガニックビレッジ」を創出することとしています。
本県では、有機農業の産地として全国に名高い小川町で行われている、地域ぐるみの有機農業振興の取組を支援しており、町ではオーガニックビレッジ宣言を行う予定となっております。
令和5年度は、町の協議会が作成する5年間の計画に基づき、有機農業の栽培マニュアルの作成や、地元レストラン・食品加工業者による有機農産物を活用した商品開発などの取組を進めることとしております。
県としては、こうした小川町の取組に加え、全国のオーガニックビレッジの取組について、県内への横展開を図ってまいります。
本県は、小川町のみならず、県北西部のJAでは生産出荷部会として珍しい有機農業部会が生産・販売を行っており、また、農業大学校には全国に2か所しかない有機農業専攻があるなど、有機農業の素地があります。
また、県内には、環境配慮をコンセプトに包装を極力なくして、かつ売れ残りも加工販売する取組で、2022年度の国のグッドデザイン賞を受賞した有機農産物専門店もあり、生産と販売の一層の連携が考えられます。
こうした取組を通じて、モデル産地の育成と取組の横展開を進め、有機農業の面的拡大を図ってまいります。
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