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掲載日:2023年3月14日

令和5年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(岡 重夫議員)

埼玉県教育委員会の組織について

Q   岡 重夫 議員(県民)

一昨年、県内のある小学校の教員が勤務校で問題を起こした際の教育事務所と本庁教育局、本局の対応について、私は危機意識や市町村教育委員会の指導の在り方などに多くの疑問を持ちました。これは、市町村教育委員会に対する指導や助言などの対応を行う県教育委員会の組織の問題であり、現状の体制であれば教育事務所が必要であるのかとまで疑問を持ちました。もちろん県内の各小・中学校で起こったことに対しては、学校を管理する各市町村教育委員会が責任を持って対応することになりますが、その対応について指導や助言を行うのが県教育委員会の重要な役目です。
しかし、教育事務所と本局という複数の箇所が対応することによって、共通認識や迅速性に課題が生じていると言わざるを得ません。その結果、様々な事案の対応の中で、県民から「教育委員会は子供ではなく組織を守っているのではないか」と言われることが多いのではないかと思います。
そこで、まず学校で起きた問題に対して、今回の事案を踏まえ、県教育委員会としてどのように市町村教育委員会を支援していくのか、教育長に伺います。
次に、現状の課題を解決するために教育委員会の組織について提言したいと思います。
現在、県の教育委員会は3部18課、4教育事務所と17の教育機関となっていて、県の教育行政を推進しています。この中の東西南北の4か所の教育事務所は、総務・人事・学事担当及び教育支援担当、学力向上推進担当の3担当で構成されています。そして、教育事務所の所掌事務は、市町村教育委員会の指導・助言や職員の人事事務、教育職員の免許に関すること、そして学校教育の指導や研修に関することとなっています。
一方、これらの事務は本局の小・中学校人事課をはじめとする教育局の各課でも同様に所掌していて、各事案などの法令的な解釈などは最終的に教育局の判断に委ねているのが現状です。また、現在、県内の教育に関する調査や相談についても教育事務所を通して行われることが多く、教育事務所や対応者によって指導がまちまちとなることなど、迅速性や確実性がおろそかになっていることは否めないと思います。もしこれらを本局で一括対応できれば、市町村教育委員会からの連絡や相談もダイレクトに行え、時間が短縮されるばかりでなく、迅速かつ確実に対応することが可能になります。
現在、県内の小・中学校では日々様々な出来事が起きて、市町村教育委員の力だけ、あるいは教育事務所の対応だけでは解決できない事案が多数発生しています。そこで、現在、4つの県教育事務所には合計100人以上の職員がいますが、今後、DX化を進め、これらの職員を本局に集めればスケールメリットが働き、教育事務所に現在のような人数は必要なくなります。また、教員の質の低下が叫ばれ、教員の希望者が減っている昨今、教育事務所で働いている優秀な教員を学校に戻すことも可能です。
教育委員会の組織の改革は不可能ではありません。その証拠に、県の教育委員会は私の議会での提案を踏まえて小・中学校の事務職の改善を実施しており、学校事務の共同実施を進めることで、学校事務の迅速効率化を進めたり、各教育事務所で行っていた旅費の審査事務を教職員課でまとめて審査することで、教育事務所の定数を削減したりすることに成功しています。
埼玉県の教育行政を一層充実し推進するためには、大胆に教育事務所を再編し、事務処理のDX化を積極的に進め、本局でまとめて対応することが適切と考えますが、教育長のお考えを伺います。

A   高田直芳 教育長

まず、学校で起きた問題に対して、今回の事案を踏まえて、県教育委員会としてどのように市町村教育委員会を支援していくのかについてでございます。
議員お話しの小学校教員の事案は、教員の職務上の行為に関するものであり、一義的には、教員の服務監督権限を有する市町村教育委員会において適切に対応すべきものです。
他方、市町村立学校の教職員の任命権は県教育委員会の権限であることから、県教育委員会としても、適切な人事管理を行うため、市町村教育委員会を通じて、正確かつ的確な情報把握を行う必要があります。
その際、教育事務所が日常的に把握している各市町村教育委員会及び管内の学校に関する客観的な立場からの情報は大変重要なものと考えております。
しかしながら、今回の事案では、教育事務所を含む県教育委員会と市町村教育委員会との間で課題認識が十分には共有できていなかったなど、今後の市町村教育委員会への支援に関し、改善すべき点もございました。
そのため、本局と教育事務所、市町村教育委員会との間で、問題発生時の迅速かつ的確な対応に関する研修を実施するなど対応力の向上を図ってまいります。
県といたしましては、今後とも、継続的に本局と教育事務所との連携強化を図りながら、的確な指導助言を行うなど、市町村教育委員会に対する適切な支援に努めてまいります。
次に、教育事務所を再編し、事務処理のDX化を積極的に進め、本局でまとめて対応することについてでございます。
県教育委員会は、市町村立学校の教職員の任命権を有しており、適切な人事管理を行うためには、各教職員の勤務状況などの情報把握を的確に行う必要があります。
市町村立学校の教職員は約3万人在籍し、1,000校を超える校長からの情報収集や学校現場における実際の勤務状況の確認などを行う必要があることから、地域ごとに教育事務所を設置し、これらに対応しております。
県教育委員会といたしましても、簡素で効率的な組織体制を整備するとの観点から、これまでにも、県内9か所あった教育事務所の4か所への統合や、給与や旅費等の支給を本局の業務として集約するなど、組織の見直しを行ってまいりました。
こうした組織体制は、今後も不断の見直しを図っていくことが必要であり、議員お話しの、事務処理のDX化を積極的に進めていくことも大変重要と認識しております。
現在、本局や教育事務所の事務処理のDX化はもとより、市町村から県への提出書類のペーパーレス化や、県と市町村間の会議のオンライン化などの取組も積極的に進めています。
また、市町村の職員が教育事務所に出向かなくても、迅速かつ容易に相談等ができるよう、オンラインツールを使った相談体制などの整備を図ってまいります。
今後とも、こうしたDX化の進展を図りながら、学校現場やそれぞれの地域の実情等を十分に踏まえた適切な支援ができるよう、教育委員会の組織体制について必要な見直しを図ってまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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