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掲載日:2023年3月14日
Q 岡 重夫 議員(県民)
警察庁が発表した令和4年の自殺者数が全国で2万1,584人と、2年ぶりに増加したとの報道がありました。新型コロナの感染拡大前までは10年連続減少し約2万人となっていましたが、その後は増加傾向にあります。埼玉県でも残念ながら自殺者数は前年よりも125人増の1,229人と増えています。自殺の原因の多くが経済や生活の問題、健康の問題、家庭の問題など様々な社会的要因が複合的に絡み合い、深刻化した結果による追い込まれた末の死といわれています。
そして、自殺を個人の問題としてではなく社会全体の問題として捉え、社会全体でその対策に取り組むこが求められています。特に、自殺の多くが防ぐことができる社会的な問題として対策に取り組むことが大事だと考えています。
私は毎年、代表質問で自殺対策を取り上げ、一人でも自殺者を減らすためにゲートキーパーの養成の提言をしてきました。その結果、大野知事をはじめ担当部がゲートキーパーの必要性を理解してくれ、県のホームページにゲートキーパーに関する動画やその説明などのコーナーを作り、県民に広く理解されるようになりました。そのほか、県ではSNSでの相談事業や「暮らしとこころの総合相談会」などを開催し、自殺予防に力を入れています。
自殺の危険を示すサインの中には、食欲がない、眠れないなどから、ため息が多くなるというサインが出ます。そのようなときに「何か悩んでいることがあるの。よかったら話してみて」と声を掛けて話を聞いてあげるだけで、本人の気持ちが和らぐといわれています。
私は、身内が病気を苦にして54歳で命を絶った悲しい経験から、自殺者を一人でも減らしたいとの思いで活動しています。当時、私は議員でなかったため、行政が自殺防止に向けた様々な取組をしていることは知りませんでした。しかし、議員になって初めて行政が多くの対策を行っていることを知り、もしこのような行政などの相談体制を知っていれば、身内の自殺が防げたかもしれないという思いが常に頭に残っています。そして、その存在を県民に知ってもらうことも大事であると思っています。
ところで、昨年、介護職の人や民生委員の何人かに「ゲートキーパーを知っていますか」と聞いたところ、ほとんどの人が「知らない」と答えたので驚きました。そこで、ホームページなどでは県民には知ってもらえないということを痛感しました。ゲートキーパーは、誰にも相談ができずに悩んでいる人に声を掛けることによって様々な相談組織につなぐ、とても大事な役割を果たしています。
そこで、このゲートキーパーを県民に広く知ってもらうため、埼玉県を挙げて独自のゲートキーパーキャンペーンなどを行い、幅広い層に周知する取組が必要ではないかと考えますが、知事のお考えを伺います。
次に、学校教育の中で、多くの子供たちがゲートキーパーに関することを知ることが重要ではないか。そうすることによって、子供たちが友達の心の変化などを感じ取り相談に乗る、あるいは家族の異変などに早く気付くことができて、自殺を少しでも予防できる可能性が出てきます。
そこで、まず公立の小・中学校、そして県立高校においてゲートキーパーの動画を見るなど、ゲートキーパーに関する啓発を行うことが必要と考えますが、教育長のお考えを伺います。
A 大野元裕 知事
ゲートキーパーの周知についてでございます。
コロナ禍にあって増えた女性や若者の自殺に加え、昨今、経済状況の悪化の影響が指摘され、中高年や失業者、年金受給者等の自殺の増加など、現状を大変憂慮しているところであります。
県では、自殺者数が増加傾向に転じた令和2年以降、電話相談の年中無休24時間化やSNS相談の通年化、生活や経済の問題と心の相談をワンストップでできる総合相談会を月2回から倍増するなど、相談窓口を拡充させてまいりました。
しかし、こうした相談を利用しようとする方ばかりではございません。
議員御指摘のとおり、身近な人の変化に気が付き、声を掛け、話を聞き、相談につなぐゲートキーパーの役割は非常に大きいと考えております。
そのため、多くの県民にゲートキーパーになっていただくため、啓発動画を作成し、県ホームページやYouTube、大宮駅構内のデジタルサイネージ等で県民に周知をしています。
また、3月は自殺者数が増加する傾向にあり自殺対策強化月間とされています。
そこで3月に、「ゲートキーパーキャンペーン」と題しまして、啓発動画を県内5か所の映画館において本編の開始前に上映をするほか、県内3路線で車内の電子広告による周知を行ってまいります。
さらに現在、ゲートキーパーとしての声掛けの仕方などを学ぶことができる研修用の動画も作成をしております。
より多くの県民に動画を視聴していただけるよう県ホームページに掲載するなど周知してまいります。
また、市町村や民生委員・児童委員協議会等関係団体や企業などに対して、この動画を活用したゲートキーパーの養成を働きかけてまいります。
こうした様々な取組を行い、県民に対して幅広くゲートキーパーの周知を図ってまいりたいと考えております。
A 高田直芳 教育長
学校教育におけるゲートキーパーに関する啓発についてでございます。
身近な友人や家族が自ら命を絶つということは、子供たちにとっても強い衝撃と深い悲しみを与えるものであり、学校教育において、すべての児童生徒の健やかな心身の成長を図っていく上で、様々な自殺予防対策を進めていくことが必要です。
議員お話しの児童生徒が友人や家族などの異変を感じ取り、相談につなげるなどの役割を果たすゲートキーパーについて知ることは大変重要なことと考えます。
県では、東京大学大学院と連携して、中学校8校、高校5校を研究推進校に指定し、メンタルヘルスリテラシー向上に向けた研究事業に取り組み、様々な悩みを抱える友人のSOSを適切に受け止め、信頼できる大人に繋げることを目的とした生徒向け授業を実施しております。
この取組は、子供たちがゲートキーパーとして身近な人の異変に気付き、見守る人材となることにもつながるものと考えます。
今後、この取組の成果を踏まえ、児童生徒の発達段階に応じて、啓発動画なども活用しながらゲートキーパーに関する啓発に積極的に取り組んでまいります。
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