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掲載日:2022年3月30日
Q 並木正年 議員(県民)
本県では、医師・看護師の確保策とともに、急激な高齢化の進展から、不足している病床数の確保が課題です。整備が可能とされる基準病床数は、全国統一の算定式によって算出され、一般病床と療養病床は、二次医療圏ごとの性別や年齢階級別人口、退院率、病床使用率などから計算されます。
2025年に必要な病床数が既存の病床数を下回ることになる自治体は、全国で40の道県と試算されていますが、本県を含む7都府県では、逆に病床数が不足することになります。その理由として、特に本県は、高齢者の増加による年齢階級別人口から、令和5年の必要病床数は1,380床不足すると予測されているからです。
本県は、現時点でも病床の積み増しが難しい中で、新型コロナ第6波に備えた対策として、第5波のピーク時から272床増の2,176床を医療機関に協力要請し、今日現在、2,202床を確保しました。しかし、積み増しが増えるほど各医療機関が持つ病床数の余力はなくなり、これまで以上に搬送待機時間の延長や搬送困難事例の増加、また、一般病床への影響も懸念されます。
基準病床数と必要病床数の算定方法の見直しは、毎年、国への要望をはじめ県選出国会議員にも出されていますが、一向に進んでいない状況です。高齢化により医療需要が年々高まる本県では、安定した医療を県民に提供できる体制を構築していくことが急務です。この課題解決のため、知事のより強い取組が必要だと思いますが、知事の考えを伺います。
A 大野元裕 知事
本県は人口10万人当たりの一般病床数が全国最低であることや、新型コロナウイルス感染症の感染拡大時には病床使用率が急激に高まること、そして今後の高齢化に伴う医療ニーズの高まりを考えれば、議員御指摘のとおり、病床数の確保による医療提供体制の充実・強化は、本県にとって喫緊の課題であります。
県では、本定例会で御審議をいただいている埼玉県地域保健医療計画の変更に伴い、県内の病床数決定の基礎となる基準病床数の引上げについて国と協議を行い、1,259床の引上げを承認いただきました。
その結果、県内6つの圏域において、合計1,763床もの病床整備が新たに可能となり、病床不足の現状が大きく改善をするものと期待をしております。
しかし、推計人口や過去の医療需要を基に算出する必要病床数を事実上の上限とする現在の基準病床数制度では、一般病床との両立を図りながら新型コロナウイルス感染症への対応に必要な病床数を確保することには限界がございます。
また、第6波においては、新型コロナウイルス感染症の重症病床等の使用率が一定程度にとどまっているにもかかわらず、一般医療での重症者患者が増加したことから医療提供体制がひっ迫をいたしました。
私は、734万人の県民の命を預かる者として、まずは現在の制度の中でできる医療提供体制を整備しつつも、今回のパンデミックのような状況に陥った際に十分対応できる病床の確保が必要だと考えます。
したがいまして、私はこれまでの基準病床数や必要病床数の算定方法について、新型コロナウイルス感染症対応を踏まえた加算を可能とすること、新型コロナなど高度で専門的な医療を提供する医療機関の病床を知事の裁量により圏域を越えて弾力的な病床配分ができるようにすることを要望してまいりました。
引き続き、国に対し、一般医療に影響を及ぼすことなく新型コロナウイルス感染症にも対応できるよう、基準病床数制度の見直しを粘り強く要望し、新たな5か年計画で定めた本県の目指すべき将来像である安心・安全を議会の皆様の御協力もいただきながら追求してまいります。
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